AT&T(T)2020年第3四半期決算発表(2020/10)

はじめに

昨日2020年10月22日は自分が所有しているAT&T(T)の2020年第3四半期決算発表があった。所有株数が多く、配当額も高いことから自分にとっては重要な銘柄である。

特に目立ったニュースがあるわけではなかったにもかかわらず、AT&Tの株価は10月に入ってから市場とは関係なく右肩下がりの株価が続いており不安が募る状況だったが、昨日の株価は

と久々に大幅上昇。以下にその原因となったであろう決算内容を整理しておく。


AT&T2020年第3四半期決算概要

以下の内容はAT&Tの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第3四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は423億4000万ドルで、前年同期の445億8800万ドルから5.0%減少
  • 2020年第3四半期のAT&T帰属の純利益(Net Income Attributable to AT&T)は28億1600万ドルで、前年同期の37億ドルから23.9%減少

  • 2020年第3四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.76ドルで、前年同期の0.94ドルから19.1%減少

前年同期比での減少の理由として、COVID impacts of ($0.21)とCOVID-19の影響がマイナス0.21ドルあったとしている。

各事業部を見てみると、

相変わらずCommunicationsに含まれるEntertainment Group(DirecTVなど含む)が低調で今期も前年同期比で収益が10.2%減少している。ただし、Mobilityが堅調で

  • ワイヤレス加入者の総数が550万人増加し、トータルで1億7670万人のサービスに到達
  • 在宅勤務の傾向が高まるにつれ、電話、ウェアラブル、非タブレットコンピューティングデバイスに100万を超える純増
  • 月額料金を支払う携帯電話契約者数(Postpaid phone)が645,000の純増
  • 後払いの解約率が前年同期の1.19%から0.85%と大幅に改善

といった点をハイライトとして挙げ、前年同期比の収益は1.1%増となっている。

ワーナーメディアも相変わらず低調だが、前四半期の22.9%減よりは改善されて10%減。引き続きCOVID-19の影響による映画館の閉鎖などが足を引っ張っている(Estimated ($1.6B) revenue)。

HBO Maxについては前四半期までは独立したプレゼンテーションスライドがあったのだが、今回は他の加入者データの一部として取り扱われている。

前四半期のHBOとHBO Maxの米国内加入者数は3630万人だったのが、3800万人へと増加している(ちなみに全世界では5700万人)。これは2021年の目標を前倒しで達成したことになる。

2020年第3四半期のCOVID-19による財務的な影響度は以下の通りで、全体として売上高に25億2500万ドルの影響があったとしている。前四半期の28億1000万ドルの影響からやや減少しているものの、未だCOVIDの影響は大きい。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2020年第3四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は423億4000万ドルで、市場予想の415億9000万ドルを下回っている
  • 2020年第3四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.76ドルで、市場予想の0.75ドルを上回っている
  • 2020年第3四半期の月額料金を支払う携帯電話契約者数は64万5000人の純増、アナリスト予想は9000人の純減

となっていた。


まとめ

冒頭に上げた通り決算を受けてAT&Tの株は大きく上昇した。報道を見る限り携帯電話契約者数の純増がポジティブなサプライズとして市場に受け止められた事が大きかったようだ。

とはいえこれでひとまずAT&T株の下落傾向に歯止めがかかって安心、と考えていいのだろうか。過去3ヶ月のAT&T株の市場(ダウ工業平均、S&P 500)と比較した推移は以下の通り。

AT&Tは市場とは関係なく概ね右肩下がりが続いていたが、昨日に急上昇。ただし、前四半期決算後の株価は@29.90ドルで、昨日上昇したとはいえまだ@28.28ドル。

確かに決算内容は市場予想より堅調であったのだが、これが今後も続くかどうかが問題。AT&Tは特に見通しを示していないため判断が難しい。個人的には以前まとめた不調のDirecTVの売却の話もその後進展は無いようだし、COVID-19の影響が完全に払拭されるまでは本格的な業績改善・株価上昇は難しい気がするのだがどうだろう。

とりあえず今回の決算結果を受けて、ここ最近の下落傾向に歯止めがかかり、市場並みのパフォーマンスをしてくれればと期待したい。

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