ウォルトディズニー(DIS)2020年1Q決算(2020/2)

はじめに

先日2020年2月4日に、自分が所有しているウォルト・ディズニー(DIS)の2020年第1四半期決算発表があった。以下にその決算発表内容を整理しておく。


2020年第1四半期決算概要

以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第1四半期の売上高(Revenues)は208億5800万ドル、前年同期は153億300万ドルで前年同期比36%の増加
  • 2020年第1四半期の特定項目を除く一株当たり利益(EPS excluding certain items affecting comparability)は1.53ドル、前年同期は1.84ドルで前年同期比17%の減少

売上高(Revenues)と総セグメント営業利益(Total Segment Operation Incomes)以外は前年同期比マイナスになっているが、これは決算資料に

  • Results for the current quarter reflect the consolidation of TFCF Corporation (TFCF) and Hulu LLC (Hulu), which the Company started consolidating on March 20, 2019.

とあるようにTFCFとHuluの統合の結果が今四半期から反映されているため。ちなみにTFCFはTwenty-First Century Foxの略称で21世紀フォックスの方が自分には理解しやすい。

2020年第1四半期の各事業セグメントごとの売上(Revenues)、営業利益/損失(operating income/loss)は以下の通り。

メディア・ネットワークス部門

売上は73億6100万ドルで前年比24%増、営業利益は16億3000万ドルで前年比23%増。これは主に21世紀フォックス事業の統合によるもの。

テーマパーク部門

テーマパーク(および消費者製品部門)は、前四半期に引き続き映画「フローズン」や「トイストーリー」に加えて「スターウォーズ」に関連する商品販売の増加とゲストの支出増が寄与して、売上は73億9600万ドルで前年比8%増、営業利益は23億3800万ドルで前年比9%増。懸念されていた香港ディズニーランドの業績低下は上海ディズニーランドの成長により一部相殺されている(新型コロナウイルスの影響は後述)。

映画部門

映画部門は、「フローズン2」と「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の世界的な大ヒットの恩恵を受け、売上は37億6400万ドル、営業利益は9億4800万ドルとなり、共に前年比100%以上の上昇をしている。

ディレクト・トゥ・コンシューマー・アンド・インターナショナル部門

収益は9億ドルから40億ドルに増加し、営業損失は1億3,600万ドルから6億9,300万ドルに拡大した。営業損失の増加は、ディズニー・プラスの開始、Huluの統合に関連した費用によるもの。

以下はディズニー・プラス、ESPN+、Huluの2019年末有料視聴者数と月平均利用額。

【有料視聴者数(単位100万)】

【月平均利用額】

ESPN+とHuluの月平均利用額が前年比で減少しているのは、2019年11月に開始したディズニー・プラス、ESPN+、Huluのバンドルサブスクリプションサービスに視聴者が移行した影響。


新型コロナウィルスの影響に関して

決算資料は2019年12月までの内容なのでコロナウイルスの影響には触れていなかったのだが、決算発表後のアナリストとのカンファレンスコールでは言及されていた。

まず冒頭にロバート・アイガー(Robert A. Iger)最高経営責任者(CEO)が、

  • In line with numerous prevention efforts taking place across China, we’ve temporarily closed our parks in Shanghai and Hong Kong, and we will continue to closely monitor this public health crisis.
    中国全土で行われている数多くの予防努力に合わせて、上海と香港の施設を一時的に閉鎖し、この公衆衛生危機を引き続き監視します

と述べている。また財務上の影響については、シニア・エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼最高財務責任者(Senior EVP & CFO)のChristine Mary McCarthy氏が以下の様に述べている。

  • the recent closure of our parks in both Shanghai and Hong Kong due to the ongoing coronavirus situation will negatively impact second quarter and full year results.
    コロナウイルスの状況が続いているため、上海と香港双方の施設が最近閉鎖されたことは、第2四半期と通年の業績に悪影響を及ぼします
  • The precise magnitude of the financial impact is highly dependent on the duration of the closures and how quickly we can resume normal operations.
    経済的影響の正確な大きさは、閉鎖期間と通常の運用をどれだけ早く再開できるかに大きく依存します
  • At Shanghai Disney Resort, we currently estimate the closure of the park could have an adverse impact to second quarter operating income of approximately $135 million, assuming the park is closed for 2 months during Q2.
    上海ディズニーリゾートでは、現在、第2四半期中に2か月間閉鎖されたと仮定すると、第2四半期の営業利益に約1億3500万ドルの悪影響を与える可能性があると見積もっています
  • At Hong Kong Disneyland, we currently estimate the closure of the park could have an additional adverse impact to operating income of about $40 million for the second quarter.
    香港ディズニーランドでは、現在、施設の閉鎖が第2四半期の営業利益に約4000万ドルの追加の悪影響を与える可能性があると見積もっています
  • As I discussed last quarter, we were already seeing a significant decrease in visitation to Hong Kong Disneyland from China and other parts of Asia.
    前四半期で説明したように、中国や他のアジア地域から香港ディズニーランドへの訪問数はすでに大幅に減少しています
  • So in aggregate, we estimate these 2 factors could result in a decline in Hong Kong Disneyland’s operating income of about $145 million for the second quarter.
    したがって、これら2つの要因を総合すると、香港ディズニーランドの第2四半期の営業利益は約1億4500万ドル減少する可能性があると推定しています

まとめ

上記決算結果と主な市場予想の比較は、

  • 2020年第1四半期の売上高(Revenues)の市場予測は200億7800万ドルだったのに対し、実際は208億5800万ドルと上回る
  • 2020年第1四半期の特定項目を除く一株当たり利益(EPS excluding certain items affecting comparability)の市場予測は1.46ドルだったのに対し、実際は1.53ドルと上回る

となる。また、アナリストとのカンファレンスコールで、ロバート・アイガーCEOが最新のディズニー・プラス有料加入者数についても述べており、

  • So I’m pleased to say that as of Monday, we were at 28.6 million paid subscribers.
    月曜日の時点(2月3日)で、有料加入者数は2860万人です

と2020年も順調に加入者は増加している様に見受けられる(ちなみにESPN+は2月3日時点で760万人、Huluは3070万人)。

この決算結果を受けてのディズニーの株価は2.41%上昇。年初来の株価チャートは以下の通り。

やはり新型コロナウイルスの影響か1月下旬に株価はやや下落したが、2月に入ってから持ち直している。過去1年のチャートでは、

2019年4月のディズニー・プラス発表2019年11月のディズニー・プラスサービス開始で大きく上昇しているが、今回の決算発表ではそれほど顕著な株価上昇とはならなかった。

これを踏まえてディズニー株をどうするか。

2020年第1四半期の各セグメントの売上、営業利益は前年比ほぼ上昇で堅調に見受けられる。

注目のディズニー・プラスは有料会員数が堅調に伸びている様に見受けられる(ちなみにNetflixの有料会員数は最新の発表ではアメリカ・カナダで6770万人)。2020年3月29日にはインド、3月31日にはヨーロッパ地域でもサービス開始予定となっている。

一方で懸念としては、新型コロナウイルスの影響がまず一つ。カンファレンスコールでの上海、香港の営業利益へのインパクトは併せて2億8000万ドル(2ヶ月休園の場合)。2020年第1四半期のテーマパーク部門の営業利益が23億3800万ドルであったことを考えると、約10%強の影響が出ることになるがこれをどう考えるか。ちなみに米国では今のところ来園者数に顕著な影響は見られていないとのこと。

また、ディレクト・トゥ・コンシューマー・アンド・インターナショナル部門の営業損失も気に掛かる。ディズニー・プラスへの投資が嵩むのは仕方がないところだが、これと今四半期から統合されたHuluや21世紀フォックスの影響ががどのくらい何時まで続くのか。

そして、これは決算発表と直接関係ないかもしれないが、最新の受取配当が据え置きだったことが最近配当重視の自分としては気に掛かる。株主還元よりも投資重視ということなのだろうか。

つらつらと書いてみたが、短期ではなく中長期で見れば業績・株価は安定しているような気がするのだが、配当率が1.24%(2月10日時点)ということを考えると、個人的には買い足しづらい銘柄ではある。

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