はじめに
2023年4月26日(水)には自分が所有しているボーイング(BA)の2023年第1四半期決算発表があった。
決算前直近4月には
ボーイング(BA)737MAX等の納入が一部中止(2023/4)
で株価が5%以上下落し、その際には
「今回の納入の影響がどの程度になるのかを知って早く不透明感を拭いたいところ。ボーイングの第1四半期決算発表が4月26日に行われる予定なのでそこで具体的な発表がなされることを期待したい。」
と書いていたのだが進捗は明らかになったのか。以下、その点に注意しながら決算内容を確認し整理しておく。
ボーイング2023年第1四半期決算概要
以下の内容はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。
- 2023年第1四半期の売上高(Revenues)は179億2100万ドルで、前年同期比28%増加
- 2023年第1四半期の純損失(Net Loss)は4億2500万ドルの損失、前年同期は12億4200万ドルの損失
- 2023年第1四半期の一株当たり損失(Loss Per Share)は0.69ドルの損失、前年同期は2.06ドルの損失
- 2023年第1四半期の調整後中核事業一株当たり損失(Core Loss Per Share)は1.27ドルの損失、前年同期は2.75ドルの損失
- 2023年第1四半期のフリーキャッシュフローは7億8600万ドルのマイナス、前年同期は35億6500万ドルのマイナス
- 2023年第1四半期の財務状況は総債務(Consolidated Debt)は554億ドル、前四半期から16億ドル減少
事業部別業績
【Commercial Airplanes(商用機部門)】
- 2023年第1四半期の商用機の引き渡しは130件、前年同期は95件で37%の増加
- 売上は67億400万ドルで前年同期比60%の増加
- 損失は6億1500万ドル、前年同期は8億9700万ドルの損失
- 受注残は4500機以上で3340億ドル
【Defense, Space & Security(防衛・宇宙・セキュリティ部門)】
- 売上は65億3900万ドルで前年同期比19%増加
- 損失は2億1200万ドルで前年同期は9億2900万ドルの損失
- 受注残は580億ドル。うち30%は海外からの注文
【グローバルサービス部門】
- 売上は47億2000万ドルで前年同期比9%増
- 利益は8億4700万ドルで前年同期比34%増
2023年通期見通し
2023年の通期見通しは以下の通り。
- Operating Cash(営業キャッシュ):45億~65億ドル
- Capital Expenditure(資本支出):15億ドル
- Free Cash Flow:30億~50億ドル
- 737型機を400~450機納入
- 787型機を70~80機納入
いずれも前四半期の決算発表時から変わらず。
その他
【737MAXのアップデートについて】
- 飛行の安全性には問題はなく、現在稼働中の機体は引き続き運航可能
- ただし引き渡し前に製造上の問題を修正するための手直しが必要になる
- 今後数ヶ月にわたり納入のタイミングに影響を与えるが、今年737型機を450 機を納入する予定は変わらず
- 納入と生産は短期的には減少するが、今後数ヶ月で回復し今年後半には月あたりの生産を38機、2025/2026年には月間50機に増やす予定
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2023年第1四半期の売上高(Revenues)は179億2100万ドル、市場予想の175億6700万ドルを上回っている
- 2023年第1四半期の調整後中核事業一株当たり損失(Core Loss Per Share)は1.27ドルの損失、市場予想は1.07ドルの損失
- 2023年第1四半期のフリーキャッシュフローは7億8600万ドルのマイナス、市場予想の18億6000万ドルのマイナスを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算結果を受けてボーイング株は
0.42%の上昇。同日の米国市場は
マイクロソフト(MSFT)の好決算もあってNASDAQ総合はプラスだったが、S&P 500とダウ工業平均はマイナスとまちまち。それを考えるとボーイングはまずまず無難に決算を乗り切ったと言えるだろう。冒頭に挙げた737MAXの納入に関して短期的に遅れがあるものの通年の目標は据え置きとされ、主な項目の市場予想を上回ったことが市場に安心感を与えたのだろう。
とはいえ決算後数日を含めた年初来のボーイング株を見てみると
市場(S&P 500)とほぼ同じパフォーマンスでプラスになっているものの、上下動が大きく方向感に乏しい動きとなっている。
今後のボーイング株だが、737MAXの納入がアップデートされ、市場予想を上回る決算内容、通年見通しにも変更は無かったことを考えると悪くない気がする一方で、737MAXの新たなトラブルが発生したのは4月のことで今回の決算期(1~3月)には含まれていないことを踏まえると次回決算への悪影響が懸念もされる。何とか市場と同程度のパフォーマンスを維持して欲しいところだがどうなるか。