はじめに
2001年7月に始めた米国株式投資を振り返っている中で、2013年9月の購入時に表題の値頃/割安感とナンピン買いに関して考えるところがあったので、まとめてみる。
基本的な購入スタンス
購入する銘柄は、別の所で書いた通りに最初に決めたポートフォリオ銘柄の中から値頃感/割安感のあるものを基本的には買い足している。
2013年9月の購入に際しての考え
2013年9月までの自分の購入パターンだと、その時に保有している銘柄の株価が取得価額比で一番マイナスになっている値頃感/割安感のある株を購入することが多かった。いわゆるナンピン買いに近いと言えるだろう。それに従うと、2013年9月は前月取得価額比で唯一マイナスだったJCペニー(JCP)を買うのが有力になるのだろうが、その選択はしなかった。
これはあくまで今までが結果としてナンピン買いに近い形になっていただけで、値頃感/割安感のある銘柄を購入するという原則は変わっていないため、だと思う(もちろん全部がそうだったとは言えないだろうが)。
JCペニーは2013年3月に追加購入しているのだが、その前後から情報が結構出ている。以下はそれらを中心とした主な内容。
2010年10月:ビル・アックマン氏が1株25ドルで3,900万株(36.5%)を取得
2011年1月:ビル・アックマン氏が取締役に就任
2011年11月:ディスカウントストア大手のターゲットを経て、アップルの小売部門を統括していたロン・ジョンソン氏がCEO(最高経営責任者)に就任。ビル・アックマン氏の招聘に拠るもの
2013年2月27日:27日閉場後発表の第4四半期決算で既存店売上高が31.7%減と大幅な落ち込み。27日終値が@21.16ドルだったのが、28日終値@17.57ドルとこの一日だけで約17%の下落
2013年4月8日:ロン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)を解任し、前任者のマイロン・ウルマン氏をCEOに復帰させることを発表
2013年4月26日:ジョージ・ソロス氏が、JCPの株式約1,740万株、7.9%を取得
2013年8月上旬:ビル・アックマン氏がマイロン・ウルマン暫定最高経営責任者(CEO)とトーマス・エンジバス会長の更迭を求めたことが引き金となり、幹部人事をめぐる対立がエスカレート
2013年8月13日:ビル・アックマン氏が取締役を辞任
2013年8月20日:第2四半期決算発表で既存店売上高が11.9%減
2013年8月26日:ビル・アックマン氏の率いる米ヘッジファンド、パーシング・スクエアが、JCペニー株の約17.7%となる3,900万株を売却
と言った具合で2013年9月時点では、経営、売り上げ、株価等々の不安定感が増しており、いくら取得価額比がマイナスであっても、割安感/値頃感があるとは自分には思えなかった事がJCPの購入を見送った主な原因だろう。取得価額比の株価だけから単純に購入銘柄を決めている訳ではなかったことが再確認できた。
まとめ
値頃/割安感とナンピン買いは、必ずしも同じ意味ではないという例として自分の中で整理をしてみた訳だが、銘柄の色々な前提が変わらず、長期投資/バイアンドホールドの投資スタンスであれば取得価額比マイナスの銘柄に値頃/割安感がある可能性が高いのも事実だろう。要はそこの判断を自分なりにどうするか、という点になるのだがこれに明確な解答がないのがまた困ったところ。そのような解答が存在していれば、誰も株式投資で苦労しないものなあ…。
これを書いている2019年3月時点でJCペニーの株価はわずか1ドル台にまで落ち込んでいる(2013年9月末の終値は@8.8ドル)ので、現時点での結果から見ると2013年9月(及びそれ以降)にJCペニーを購入しなかったのは正解だったと言える。
もしこの時点であまり考えもせずに、取得価額比がマイナスだから割安だ、と思って買い続けることにしていたら今頃は酷いことになっていただろう(もしかすると今後何らかの要因で株価が上がる可能性があるかもしれないが)。
とはいえ本当に投資センスのある人であれば、2013年3月の購入もしなかったかもしれず、100万円投資を塩漬けにせざるを得ない状況にはなっていないかもしれない。投資はやはり難しい。可能な限り購入前には正しい情報を収集して、自分なりに納得のいく購入をすることが大事だと改めて思う。
補足
ちなみにこのJCペニーの件で大損をしたビル・アックマン氏は、昨年2018年10月9日にスターバックスに約9億ドル(アックマン氏が率いるヘッジファンドのパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントは、スターバックスの発行済み株式のうち約1.1%に当たるおよそ1500万株を取得)投資している。いわゆる「アクティビスト(物言う株主)」として著名な人。