米・イランの停戦枠組み合意発表と市場の動き(2026/6)

はじめに

米現地時間の2026年6月14日(日)(日本時間では6月15日(月)早朝)に、米・イランの停戦枠組みに関する覚書(MOU)が合意されたとの発表/報道が相次いであった。

以下、発表/報道の状況整理とそれを受けての6月15日(月)の米国市場の動きについてまとめておくことにする。


米・イランの停戦枠組みに関する覚書(MOU)合意に関する発表/報道まとめ

以下は断りない限り米現地日付/時間。

アメリカ、パキスタン(仲介役)、イランの発表

  • 2026年6月14日(日)17:30頃のトランプ大統領のSNSへの投稿
    • イラン・イスラム共和国との合意が完了した
    • ホルムズ海峡の通行無料化を全面的に承認し、同時に米国海軍による海上封鎖の即時解除を承認する
  • 2026年6月14日(日)夜、仲介役を務めるパキスタンのシャリフ首相のSNSへの投稿
    • 集中的かつ緊密な協議を経て、米国とイランとの間で歴史的な和平合意(枠組み合意・覚書)が正式に成立したことを嬉しく思う
    • 米イランの双方が、レバノンを含むすべての戦線において、軍事作戦を即時かつ恒久的に停止することを宣言した
    • 公式な覚書(MOU)の調印・署名式は、6月19日(金)にスイスのジュネーブで執り行われる
    • 今週中に技術面や実務レベルの詳細を詰めるための協議を調整・実施する予定
  • 2026年6月14日(日)夜、イランの国家安全保障最高評議会(SNSC)事務局が国営メディアを通じて以下の発表
    • 米国との戦争・敵対行為を終結させる覚書(MOU)を正式に承認・確定した
    • 合意に基づき、レバノンを含むすべての戦線において、軍事作戦を即時かつ恒久的に停止する
    • イランの港湾に対する米海軍の海上封鎖は直ちに、かつ完全に解除される
    • 今後60日以内に行われる最終合意に向けた本格的な交渉は、米国側が今回の覚書にあるコミットメントを履行した後にのみ開始される

その後の動きなど

  • 2026年6月14日(日)夜、ニューヨーク・タイムズによるトランプ大統領の電話インタビュー
    • 署名後60日間の検証・交渉期間中に、イランが核開発プログラムに関して適切な最終合意に応じない場合、軍事攻撃をただちに再開する
    • イランが交渉に従わない場合、米国が中東地域に圧倒的な軍事力を配備して「中東の守護者(guardian of the Middle East)」となり、その見返りとして中東地域の収益の20%を米国が受け取る
  • 2026年6月14日(日)夜、イラン国営テレビによるガリババディ外務副大臣へのインタビュー
    • 今後60日間にわたる、経済制裁の完全解除や核問題に関する最終合意に向けた本格的な交渉段階に入るかどうかは、米国側が今回の暫定合意(MOU)に基づく初期の義務をまず履行し、それをイラン側が検証した後にのみ開始される
      • 米国は、軍事敵対行為の即時停止、イラン港湾に対する米海軍の海上封鎖の全面解除、海外で凍結されているイラン資産の解除をしなければならない
      • また国連安全保障理事会の決議、国際原子力機関(IAEA)理事会決議の完全な取り消しも含まれなければならない
      • 弾道ミサイル開発プログラムや周辺国の親イラン武装組織への支援といった根本的な安全保障問題は、今後の交渉議題から除外されており交渉外(ノン・ネゴシャブル)である
    • もし米国がこの60日間の検証・履行期間中に少しでも約束を破ったり合意に違反したりした場合は、イラン側もただちに対抗措置を取り、独自の計画を再開する
      • 我が国の軍隊は、あらゆる敵の陰謀に対抗するため、常に引き金に指をかけた状態(fingers on the trigger)を維持している
    • 今回のMOUの全テキストが公開されれば、イラン側が約束した義務が、我が国が勝ち取った外交的成果に比べて極めて僅かなものであることが、国民の目にも証明されるだろう
  • 2026年6月15日(月)、(米国時間深夜)イスラエルのカッツ国防相の声明
    • イスラエルは現在および将来のいかなる圧力にも屈せず、レバノンからの軍撤退に反対する
    • 自分とネタニヤフ首相は、この駐留継続の方針をトランプ米大統領や米政府当局者に対してすでに明確に伝えてある
  • 2026年6月15日(月)、フランスのエビアンでトランプ大統領の記者団へのコメント
    • 合意は全て署名済みだ
    • ご存じの通り、海峡は既に一部開放されている
    • (19日にジュネーブで開催される予定の署名式について)出席するかは分からない
  • 2026年6月16日(火)、フランスのエビアンでトランプ大統領の記者団へのコメント
    • 私にとって本当に重要なのは、イランが決して核兵器を持たないということだ。そしてそれは明記されている
    • イランが核兵器を保持しようとすれば地獄が降りかかる
    • 今回の合意は核兵器を防ぐ壁だ。オバマ氏の合意は核兵器への道だった
    • ヒズボラの対応はシリアに任せてはどうかとイスラエルに提案した。正直なところ、その方がうまくやれると思うからだ

2026年6月15日(月)の市場の動き

米国株式市場

米現地時間6月14日に発表された米イランの停戦枠組みに関する覚書(MOU)合意発表を受けて上昇して始まり、大きな変動はなくそのまま取引を終えている。

覚書の合意自体が評価されたこと、それに伴い原油先物価格が大きく下落したことで、直近の経済指標などで高まっていたインフレ懸念がやや後退したことで、金利に敏感なハイテク銘柄を中心に上昇したと思われる(ハイテク銘柄の比重が多い指数ほど上昇幅が大きいので)。

CMEのフェドウォッチツールでも

  • 2026年6月12日の2026年12月FOMCでの政策金利確率
    • 3.25%~3.50%(0.25%利下げ):0.0%
    • 3.50%~3.75%(金利据え置き):31.6%
    • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):53.4%
    • 4.00%~4.25%(0.50%利上げ):15.0%
  • 2026年6月16日の2026年12月FOMCでの政策金利確率
    • 3.25%~3.50%(0.25%利下げ):11.0%
    • 3.50%~3.75%(金利据え置き):38.0%
    • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):42.0%
    • 4.00%~4.25%(0.50%利上げ):9.0%

と先週までは利上げ確率が約65%だったが、週が明けると約51%とやや後退している。

米国10年債

米イランの停戦枠組みに関する覚書(MOU)合意発表を受けて利回りは大きく低下し、一時は5月12日以来の4.197%となった。しかしその後は前日比では低下しているものの、やや利回りが上昇して取引を終えている。

株式市場よりも、今回の覚書合意によるインフレ圧力低下の期待を慎重に見ていることが原因と思われる。

ドル円為替

米イランの停戦枠組みに関する覚書(MOU)合意発表を受けて週明けの取引は、先週末の1ドル=160.2円台から159.9円台までドル安に。しかしすぐに先週と同水準に戻り、その後は160円台前半の狭いレンジながらもややドル高傾向となっている。

ドル円為替に関しては今回の覚書合意はあまり影響を及ぼしていない様子。今日、明日行われるFOMCの結果待ちなのだろうか。

ニューヨーク原油先物価格

米イランの停戦枠組みに関する覚書(MOU)合意発表を受けて週明けの取引は、先週末の1バレル=約85ドルから80ドル近辺まで下がり、一時は1バレル=80ドルを割り込む局面(2026年3月以来)もあった。

その後は1バレル=80~81ドルの間で方向感が定まらない動きが続いてたが、数時間前に一気に1バレル=77ドル台となっている(調べたがこれを書いている時点では直接の原因は不明)。


まとめ

以上、米・イランの停戦枠組みに関する覚書(MOU)合意と市場の動きについてまとめてみた。

同日の日経平均が4.99%上昇していたのと比べると、その後の情報精査もあってか米国市場はそこまで大きく変動せず。覚書合意はある程度市場に好感されたものの、あくまで覚書自体の合意であること、覚書の詳細が不明なこと、米イラン双方の隔たり(イランの凍結資産、核開発、ホルムズ海峡、イスラエルの扱いなど)が未だ存在することなどから、今後の先行きに慎重な見方が未だ存在しているためだろう。

完全な停戦合意へと進むのか、それともまだまだ一波乱あるのか、それに伴い市場がどう反応するかなど、事態の推移に引き続き注億していきたい。

ちなみに自分の米国株資産は

とハイテク銘柄がほぼ無いこと、自分んおポートフォリオでそれなりに占める割合の大きいエクソン・モービル(XOM)が4.14%下落したこともあって、市場と比べてかなり見劣りのするパフォーマンスであった。

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