はじめに
日本に住んでいると実感として分かりにくいのだが米国株の確認をしていると12月に入ってからも欧米でのオミクロン変異株を含めたCOVID-19に関する報道が増えてきた気がする。
以下に現時点でのアメリカのCOVID-19状況の実際を簡単に確認してまとめておくことにする。
現時点でのアメリカのCOVID-19状況
新規感染者数
以下のグラフは米CDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)より引用・抜粋。
2021年12月17日時点では17日の新規感染者数が15万6754人、7日間平均が12万2296人。
ちなみにニューヨーク州の発表ではニューヨーク州の12月16日の新規感染者数は2万1027人で、これは2021年1月に記録した1万9942人を上回る過去最多。
死亡者数
2021年12月17日時点では17日の死亡者数が1816人、7日間平均が1128人。累計の死亡者数は80万2869人。80万人の死者数はボストンや首都ワシントンなどの都市の人口より多く第2次世界大戦のアメリカの死者の2倍近いとのこと。
直近のアメリカでの動き
- アメリカの航空機、電車、バスの中でのマスク着用義務は2022年3月まで延長
- 12月10日ニューヨーク州がワクチン接種証明の提示を必要としない飲食店などの屋内施設でのマスクの着用を義務化すると発表
- カリフォルニア州では12月15日から1ヶ月間、ワクチン接種の有無に関係なく州内全域の屋内施設でマスク着用が義務化
- ブロードウェイでのミュージカル、NBA、NFL、NHLで試合が休園・中止になるなどの影響
- 12月17日米連邦控訴裁判所は規模の大きい職場(従業員100人以上の民間企業を対象)でのCOVID-19ワクチン義務化などを定めた労働省労働安全衛生局の規則の執行を認める判断を下す。ただし控訴裁の判断を受け連邦最高裁に規則の差し止めを求める申し立てが少なくとも3件提起されており施行はされていない
- バイデン大統領が12月21日(火)にCOVID-19に関するスピーチを行う予定
過去1ヶ月の市場(S&P 500)の動き
過去1ヶ月のS&P 500の動きは以下の通り。
2021年12月で見るとまだ前月比プラスではあるが、10日以降はCOVID-19だけに起因している訳ではないものの15日を除いてマイナスとなっており下げ基調に見える。
まとめ
アメリカでのCOVID-19状況を簡単に確認してみた。
個人的には市場(S&P 500)がCOVID-19増加傾向にもかかわらずよく持ちこたえていると印象だったのだが、先週ぐらいから遂に市場にもマイナスの影響が出始めた様に思われる。またワクチン義務化が実施されることになると、ただでさえ問題になっているサプライチェーンが労働力の不足によって更に深刻化する可能性も考えられる。
こういった状況に加えて12月20日週は
- 先日の米債務上限問題まとめでも少し触れたBuild Back Better法案が成立しない可能性
- 民主党のManchin上院議員がBuild Back Better法案が財政赤字を拡大させ一段の物価高を招くとし、この巨額法案を前に進めるための賛成票を投じることはできないと19日に声明を発表
- 民主党から1票でも反対が出るとこの法案は成立しない
- この動きを受けてGoldman Sachsはアメリカの2022年第1四半期の実質国内総生産の予測を以前の3%から2%に引き下げ
- 米商務省経済分析局による個人消費支出(PCE)に関する最新データ発表(23日)
- 24日はクリスマスで米市場休場
などもあり、その結果によっては更に市場が下落する可能性があると思われる。年末に向けて気の重い展開が続きそうだなあ。