はじめに
昨日2022年11月23日(水)の米国市場は
色々材料があった(FOMC議事要旨で利上げペースの鈍化が示された、まちまちな経済指標、翌24日の感謝祭による窮状を控えて薄商い、など)中、3市場とも前日比プラスで終えたのだが自分の米国株資産ポートフォリオは
市場に反して前日比マイナス。こういった時は自分のポートフォリオ銘柄に何か材料があった時が多いので確認してみると、
ポートフォリオに占める割合が大きいシティグループが市場に比べてかなり低調だった。同じく所有している同業のJPモルガン・チェース(JPM)もマイナスであれば銀行業界全体の可能性もあったのだがJPモルガンは前日比プラスで終了していた。
そこでシティグループを調べてみると掲題の件が影響して株価が下落したらしい。以下、その内容について確認しておくことにする。
2022年11月23日(水)のシティに関するデータ管理不備報道より
元データはFRB(米連邦準備制度理事会)とFDIC(Federal Deposit Insurance Corporation:連邦預金保険公社)が23日に発表した複雑な処理を行う大手行に対する問題解決計画レビュー(resolution plan review)の結果。シティの他に8行がレビュー対象となっている。
- シティグループは生前遺言(破綻処理計画書)の不備を早急に是正するよう促された
- データ管理の面で緊急時に正確な情報が把握できない恐れがあるため
- シティの不備への対応策提出期限は2023年1月末に設定
- シティが直面している課題はFRBが2020年、同行のデータ品質や管理態勢に不適切な部分があるとして、内部管理上の「長期的な欠陥」を正してリスク構造などを改善するよう求めたことに関連
- 米通貨監督庁(OCC)も2020年にこの問題に絡んで、シティに4億ドルの課徴金支払いを命じている
- 他の7行が提出した計画については全面的に承認
シティのメキシコ消費者事業入札からインブルサが撤退
こちらは恐らく時間外後。以下ロイター、ブルームバークの報道より。
- メキシコの富豪Carlos Slim氏が率いる金融グループGrupo Financiero Inbursa SAは23日、シティグループによるメキシコ消費者向けリテール事業Banamex売却を巡り、買収意向を撤回したと発表
- Inbursaは23日にメキシコ証券取引所に提出した開示文書で、「問題の事業に対する拘束力のない提案を提出した後、両当事者はInbursaがプロセスの次の段階に進まないことに相互に同意した」とした
- Banamexの売却先としてはInbursaかGerman Larrea氏が率いるGrupo Mexico SABが有力とみられていた(既に複数の有力候補が買収から降りている)
- シティの広報担当者はロイターに「われわれは買い手候補と積極的に対話しており、引き続き株主価値最大化を追求する決意だ」と語った
まとめ
2020年に指摘があって以来、シティはデータ管理・リスク管理には投資を行ってきた(決算時の説明)と言ってきたのだが、今回の様に他行がパスしているレビューに指摘から2年経過してもまだ問題があるというのは正直ガッカリさせられた。
個人的にはシティグループの業績・株価が他銀行に比べて今一つ弱い理由として、この管理に関する投資分の出費が足を引っ張っていると思っているので、未だその問題が解消していないという事は、今後も他行に比べて余計な出費が発生し株価・業績に悪影響を及ぼしてくることになる可能性が高いと思う。そして余計な出費が発生する事による配当への影響も気に掛かる。
今回は2%程度の株価下落で済んだが、2023年1月末までに対応が済むのか、それにいくらコストが発生し業績に与える影響はどれ位か、この件を受けてのアナリストの新たな評価などによって更なる下落の局面もあるかもしれない。
しばらくは情報だけまとめたメキシコ消費者事業売却の行方も含め、このデータ管理不備に関するアップデート情報に注意しておくことにしたい。問題なのは気を付けたからといって自分にはどうしようもないのだが・・・。