民主党大勝の米中間選挙を受けての米市場の動き(2026/11)

はじめに

現地日付2026年11月3日(火)には、アメリカで連邦議員その他の公職選挙のうち、4年ごとの大統領選挙と重複しない年に行われる、いわゆる中間選挙が行われた。

今回は上院議員のうちの3分の1、下院議員全員が改選され、州知事選挙も36の州で行われたのだが掲題の通り民主党が大勝となり、現時点ですべての投開票が終了してはいないが、上院、下院ともに民主党が過半数を確保し、州知事選でも民主党が20を超える当選となっている。

以下、この結果を受けて米市場がどう動いたかについて整理しておくことにする。


米中間選挙を受けての米市場の動き

米主要3株式指数

米主要3株式指数はいずれも1%を超える大幅上昇。特にダウ工業平均の伸び幅が大きく、トランプ大統領が2025年4月に相互関税を一時停止して以来の伸び幅。

開票結果が少しずつ明らかになるにつれ、民主党は共和党よりも企業寄りではないという見方や、民主党が下院と上院の両方を支配することで政権運営が困難になるとの見方から時間外取引での株価は下落傾向。

しかし上記の様に実際の取引が始まると株式市場は大きく上昇している。民主党の大勝により上述の様な懸念はあるものの、ここ数週間市場にあった中間選挙結果への不透明感が払拭されたこと、またトランプ大統領が基本的には選挙結果を受け入れる姿勢を示したことが、上昇に寄与したものと思われる。

ただ主要3株式指数が上昇したとは言え、その中身はまちまち。大きいところでは以下の様な傾向が見られた。

  • 一部の大型ハイテク株はAIインフラの拡大鈍化が競争上有利になるとの見方から上昇
    • マイクロソフト(MSFT)が6.7%、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が6.1%、アルファベット(GOOGL.O)が3.2%上昇
  • テキサスやジョージアなど主要なデータセンター立地州で民主党が勝利したことで、半導体メーカーやデータセンター運営会社は下落
    • フィラデルフィア半導体指数は3.1%下落
  • 米・イスラエルとイランの戦争終結が早まるとの期待から原油先物価格が下落し、関連企業が下落
    • エクソン・モービル(XOM)が4.6%下落、シェブロン(CVX)が3.7%下落
  • トランプ政権で削減対象になっていた医療関連予算が民主党多数になり、見直されるのではという期待から製薬関連株が上昇
    • メルク(MRK)が3.9%上昇、ファイザー(PFE)が2.6%上昇、アストラゼネカ(AZN)が2.8%上昇、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)が4.0%上昇
  • 共和党に多額の出資をしていたイーロン・マスク氏が率いる企業が下落
    • SpaceX(SPCX)が3.8%下落、テスラ(TSLA)が3.3%下落

米国10年債

前日(4.95)より利回りは低下して取引が始まったが、不安定な動きで一時前日より利回りが高くなる局面も。しかしそこからは利回り低下傾向となり、結局前日比1%を超える利回り低下で取引を終えている。

当初は選挙結果を受けての不透明感から方向感が乏しかったが、これまでトランプ政権で顕著だった財源確保のための国債発行が議会によって抑制され、財政赤字のこれ以上の拡大が鎮静化するとの期待感から利回り低下傾向になったと思われる。

ドル円為替

米中間選挙の開票が始まったのは上記チャートのGMTでは23:00から(全米一斉ではなく東部の州から開票)。

それまでドル高傾向で1ドル=158.75円近辺だったが、開票が始まり民主党優勢が伝わると1ドル=157.5円近辺までドル安に。その後米国市場が開場してしばらくするとドル高に転じ再び1ドル=158.5円台に。その後は方向感が定まらない動きでややドル安となったが157円台後半。そして欧州市場が本格化するとドル高傾向となり、現在は1ドル=158円台半ばと開票前の水準に近くなっている。

ニューヨーク原油先物価格

米中間選挙を受けてやや下落傾向だったが、米東部時間11時前に更に値を下げている。これは10時頃にバンス米副大統領がSNSに

  • We got our asses kicked tonight, and the main reason why is the war. The American people are tired of energy prices being high, they are tired of inflation, and they blamed us for the military escalation in the Middle East
    今夜、我々は完敗した。その主な理由は戦争だ。アメリカ国民はエネルギー価格の高騰にうんざりしており、インフレにも疲れ果てている。そして、中東における軍事的な緊張激化の責任を、我々に押し付けたのだ。

と投稿し、11時前にブルームバーグやその他ニュースの速報で「トランプ大統領、イラン攻撃を現時点で見送り。外交的解決を模索か」といった報道がなされ、中東情勢の緊張緩和が意識されたことが原油先物価格が大きく下落した原因と思われる。

ただ1バレル=87ドル近辺まで下がった後は、少しずつ上昇して現在は1バレル=89ドル台となっている。


同日の自分の米国株ポートフォリオ資産

ちなみに同日の自分の米国株ポートフォリオ資産は

と上昇はしたものの米主要3株式指数に比べると見劣りがする上昇幅。原因は

  • 上述した様にテキサスやジョージアなど主要なデータセンター立地州で民主党が勝利したことで、データセンターへの電力供給をしているGEベルノバ(GEV)株が大きく下落したため
    • 9.3%下落、評価額ベースでは約1万ドル減少
  • 原油先物価格の下落に伴いエクソン・モービル(XOM)が下落
    • 4.6%下落、評価額ベースでは9000ドル超減少
  • 自分のポートフォリオに占める割合が一番大きいシティグループ(C)が最終的には上昇したものの伸び悩んだこと
    • 1.7%上昇、ただし取引時間内には他の大手米銀株(2.2%~4.2%上昇)とは異なり序盤は何故か前日比マイナスに沈む局面もあり、就寝前は全体の資産も前日比マイナスになっていた

といった所が大きい。


まとめ

以上、米中間選挙での民主党大勝を受けての米市場の動き、ついでに自分の米株ポートフォリオ資産について確認してみた。

上述の通り中間選挙の翌日、株式市場は大きく上昇したものの、個別の内容はまちまち。債券市場は利回り低下、ドル円為替は大きな変動は無し、原油先物価格は下落といった内容で、身構えていたよりは落ち着いた結果で乗り切ったが、1日だけで今後を判断するのは時期尚早だろう。基本的には選挙結果を受け入れているトランプ大統領の動向や、今後数日市場が選挙結果をどう織り込んでいくかには気を付けていきたい。

また今後はこの選挙結果を受けて、本格化する2027会計年度の予算審議がどうなるかにも注目しておきたい。中間選挙の影響を避けるため例年より早く2026年9月2日に12月11日までのつなぎ予算が可決/承認されており、今回の中間選挙結果が反映されて民主党が多数を占めることになる2027年1月以前の共和党が多数を占めている間に政権/共和党は予算を通そうとするだろうし、民主党は新議会体制となる2027年1月以降に審議を本格化したいという思惑だろう。

現時点での大きな争点は、国防費を前年度比約4割増(1.5兆ドル)に拡大する一方、非国防費を10%削減するという政権/共和党の方針、そして2025年7月成立の「One Big Beautiful Bill Act」で上限が5兆ドル引き上げられた連邦債務(2027年に債務上限に達すると言われている)についてだが、それらを中心にいつどういった形で予算審議が落ち着くのかは不透明であり、市場への大きな変動要素となる可能性がある。

色々とあるとは思うが、何とか自分の資産が悪い方向に向かわないといいのだが・・・。選挙結果を受けて上昇した株式市場が、翌日以降も反落せずに上昇傾向を続けてくれることを願いたい。

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