パラマウントと米州がワーナー買収訴訟の和解に合意(2026/9)

はじめに

自分が所有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)は2026年2月末に

ワーナー買収がネットフリックスからパラマウントへ(2026/2)

でまとめた様に、2025年12月に合意されたネットフリックスによる買収からパラマウント・スカイダンスによる買収へと変更されている。

その後は規制当局による審査が行われ、国レベルので買収承認はほとんど終わっているのだが、2026年7月の米州レベルでの反トラスト法訴訟により買収が一時停止する状態となっており、2026年8月半ばのワーナーブラザースの2026年第2四半期決算時には米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所が反トラスト法訴訟の審理を2027年3月2日に開始するという予定となっていた。

そのためワーナーブラザース株は来年までは大きな動きがない可能性が高いと思っていたのだが、2026年9月21日(月)の米国市場では

大幅上昇している。

調べてみると前終末にロイター通信やウォール・ストリート・ジャーナル誌が報道したこと、そして掲題の通り和解に合意されたことが原因だったようだ。以下その内容について確認し、整理しておく。


パラマウントによるワーナーブラザース買収に関する直近の報道

2026年9月18日(金)のロイター通信報道(取引終了後)

  •  パラマウントと、同社によるワーナーブラザースの1100億ドル規模の買収を阻止しようとしている各州は、早ければ今週末にも和解に至る可能性がある
  • 事情に詳しい情報筋が金曜日にロイターに語ったところによると、協議中の条件には、CNNに対する独立したコンテンツ監視の実施などが含まれているという
  • また、和解条件の一環として、劇場公開作品数の約束についても協議されている

2026年9月20日(日)のウォール・ストリート・ジャーナル報道

以下はウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道より引用・抜粋。

  • 交渉に詳しい関係者の話として、パラマウントとカリフォルニア州司法長官が和解に向けた事前交渉において、同州での制作への15億ドルの投資を含む一連の譲歩案について協議した
  • 巨額の制作投資に加え、両スタジオの敷地を売却せず、カリフォルニア州に拠点を維持するという約束も譲歩案として議論されている
  • パラマウントが合併後、年間30本の映画を製作するという以前の公約を履行できなかった場合の罰則についても協議が行われており、その中には『ノーカントリー』や『パルプ・フィクション』などの作品で知られるミラマックスの株式を売却することも含まれている
  • 検討されているその他の措置には、一部のケーブルチャンネルの売却や、CNNが編集上の独立性を維持できるよう支援する委員会の設置などが含まれている

これら報道の後、カリフォルニア州司法長官の広報担当者は以下の声明を出している。

  • 和解交渉の可能性については機密事項である。和解交渉が行われているか、またその内容とされるものについて、確認も否定もできない

2026年9月22日のパラマウントと米12州の和解合意概要

以下は、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提出された和解案の主な条件より引用・抜粋。

  • 劇場用映画の製作および公開割当
    • 製作本数(最初の2年間は年間最低30本公開、その後3年は32本)
    • インディペンデント映画と大型作品の比率(少なくとも4本のインディペンデント映画公開と公開作品の20%は大型作品)
    • 最低支出額(2025年の水準と比較して、国内映画製作に年間少なくとも3億ドルを追加)
    • 作品ごとの未達ペナルティ(割当数を下回る作品1本につき3000万ドル支払い)
    • インディーズ映画基金の設立と資金提供
    • 映画館の保護措置(映画館運営者に課される関連手数料は3年間据え置き)
  • ベーシック・ケーブルのライセンスおよび配信契約
    • 個別交渉(合併後5年間、パラマウントとワーナーブラザースは、市場競争を維持するため、それぞれのベーシック・ケーブル・チャンネルに関する配給および放送契約について、独立して交渉を行わなければならない)
    • 情報のファイアウォール(一方の旧会社の機密となるライセンスおよび系列局データの他方が関与する交渉における共有または使用制限)
    • 加盟局料金の規制(消費者価格を保護するため、有料テレビおよび衛星放送事業者との加盟局料金に関する交渉および契約の変更制限)
  • 労働、従業員、およびスタジオ施設
    • スタジオ敷地(合併後の両旧スタジオの物理的な制作用敷地維持)
    • 団体交渉(既存のすべての団体交渉協定を遵守し、業界の労働組合と誠実に交渉を行う義務)
    • 労働力への投資(エンターテインメント業界のキャリア開発、労働力育成、映画教育プログラム、および地域芸術団体に対し、年間950万ドルを拠出)
  •  ニュース・編集の独立性
    • 編集委員会(客観的かつ事実に基づく報道基準を維持し、CBSニュースおよびCNN全体における編集の自主性を守るため、独立したニュース編集の独立性委員会の設置義務)
  • コンプライアンスおよび是正措置
    • 独立した監督体制(独立した監視受託者、内部コンプライアンス監視責任者、および5州からなる監督委員会が、本判決の遵守状況を監督)
    • 資産売却を伴う罰則(主要条項に違反した場合、構造的な資産売却や金銭的罰則を含む厳しい法的措置が発動される可能性)
    • 合併承認(本和解により、2026年7月24日付の取引完了禁止命令が解除され、両社はクレイトン法第7条に基づく責任や不正行為の認諾なしに、本取引を完了することが可能

最後に取引完了禁止命令が解除されたことが明記されている。


まとめ

以上、ウォール・ストリート・ジャーナルによるワーナーブラザース買収に関する最新報道について整理してみた。

日中のワーナーブラザース株の動きを見てみると

週末の報道を受けて大きく上昇して取引を開始し、米東部夏時間午前10時前に和解合意が報道されると更に一段高となって、パラマウントによるワーナーブラザース買収合意の条件である一株当たり@31ドルでに近いレベルまで上昇して、その水準を維持して取引を終えている。

一方でパラマウントも開場直後から上昇し、やはり和解合意の報道を受けて前日比10%を超える局面もあったのだが落ち着かない動き。そして午後からは明らかな下落傾向となり最終的には前日比マイナスで取引を終えている。

和解合意に達したものの、取引条件にある2026年9月30日を過ぎても取引が成立しない場合にパラマウントがワーナーブラザースの株主に対して1日あたり700万ドルの違約金を支払う可能性が高い(裁判所による正式な承認手続きに要する時間(今回はあくまで当事者間の和解合意)、全米脚本家組合(WGA)との和解はされていないこと、など)ことがパラマウントの財務に悪影響を及ぼすのではという懸念が徐々に市場に重視されたことが、パラマウント株の下落に繋がったものと思われる。

自分としてはパラマウントと米州が和解するとは思っていなかったので、今回の合意には意外の感がある。恐らくパラマウントによるワーナーブラザース買収の最も大きな障害がクリアされたことで、買収成立へ向けてのプロセスが進んでいくことになるのだろう(タイムラインは未だ不明だが)。今回の件を受けてワーナーブラザース株が買収価格の一株当たり@31ドルに近付いていることは市場が買収の可能性が限りなく高くなったことを反映しているものと思われる。

今後は引き続き買収の進捗に気を付けながら、買収による自分のワーナーブラザース株強制現金化のタイミング、それに伴う確定申告がいつどうなるかを考え始めたいと思う。想定では2025年度の確定申告(ケラノバ及びWKケロッグの現金買収があり、利益分を確定申告した)の時より利益は少ないと思っているのだが、さてどうなるだろうか。またワーナーブラザース株が現金化された後に、それを使った既存銘柄の買い足しについてもゆっくりと検討していきたい。

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