はじめに
2025年は7月に自分の所有するダウ・インク(DOW)が配当半減を発表し、ダウの税引き後四半期配当がその時点のドル円為替レートで約5万円から約2.5万円に減少することになった。
2020年に完全リタイアし配当金生活を送っている身としては、その際この受取配当減少にどう対処するかを考えたのだが、同月に同じく所有しているシティグループ(C)の増配が発表され、計算してみたところ持ち株数の関係からダウ・インクの配当減(税引き後で四半期配当約2.5万減)はシティの増配分でほぼカバー出来そうだった(税引き後で四半期配当約2.3万増)ため、特に何もせずに時間が経過していた。
しかし、その後自分のポートフォリオ銘柄であるWKケロッグ(KLG)、ケラノバ(K)が相次いで現金買収による上場廃止(WKケロッグ、ケラノバは元々ケロッグが分割された企業)となったことで、両社の株が強制的に現金化されて計3.3万ドルを株式に代わって持つことになり、直近の税引き後四半期配当でWKケロッグ1600円、ケラノバ23800円で合計2.5万円程度受取配当が減少することになった。
WKケロッグとケラノバの上場廃止のにより、自分の証券口座にあるドルがこれまでの手持と併せて約4.7万ドル、わかりやすく1ドル=150円とすると約700万となった一方で、四半期受取配当が約2.5万円無くなることになったので、減少する配当をカバーするため、そして手持ちのドルが遊ばせておくには勿体ないレベルになったことを鑑み、久々に株式購入を検討することにした。
株式購入をするにあたっての考慮事項
今回株式購入をするにあたっての主な考慮事項は以下の通り。
- 自分の所有ポートフォリオに含まれる銘柄から選ぶこと
- 安定して高い配当が期待できる銘柄を選ぶこと
- 所有ポートフォリオに占める割合が高過ぎない銘柄から選ぶこと
1点目は、現在自分の所有ポートフォリオが26銘柄と多く、既にポートフォリオに占める割合の少ない銘柄を中心に四半期決算をまとめていない銘柄もあるため、これ以上自分から所有銘柄を増やすのは得策ではないと思われるため。またそもそも今から新たな銘柄を選ぶのは、非常に時間がかかるだろう。
2点目は、既に完全リタイアして配当金生活に入っているため、安定かつ高配当が期待できる銘柄を選ぶことが重要。また自分の投資スタイルはバイアンドホールドであるため株価の上昇が期待できても、配当割合の少ない銘柄は個人的には望ましくないと考えている。
3点目に関しては、現在自分のポートフォリオでは以下の5銘柄
- シティグループ(C)
- AT&T(T)
- GEエアロスペース(GE)
- エクソン・モービル(XOM)
- ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)
がポートフォリオ全体の70%超を占め、資産価値もそれぞれ10万ドルを超えている。これらの銘柄に何らかの問題が発生した場合のリスクを避けるためにも、これらの銘柄以外から選択したいと思う。
今回の株式購入候補銘柄
上述した内容を元に今回の株式購入候補銘柄を考えてみる。
まず2025年12月22日(月)時点で自分の所有銘柄で配当率が高いトップ10を列挙すると
- アルトリア・グループ(MO):税引前配当率7.30%
- クラフト・ハインツ(KHC):税引前配当率6.53%
- ダウ・インク(DOW):税引前配当率6.02%
- ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY):税引前配当率4.65%
- AT&T(T):税引前配当率4.60%
- フィリップ・モリス(PM):税引前配当率3.75%
- モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ):税引前配当率3.67%
- エクソン・モービル(XOM):税引前配当率3.53%
- ケマーズ(CC):税引前配当率2.96%
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG):税引前配当率2.93%
となっている。
1番配当率の高いアルトリア・グループはタバコ銘柄。高い配当率に加え毎年増配をしているが、主力製品がアメリカでの可燃式タバコということで、徐々にその市場が縮小していることを考えると今後も安定した配当が期待できるかというとやや疑問が残る。無煙製品への移行も今一つ上手くはいっていない。
2番目に配当率が高いクラフト・ハインツだが、過去7年増配なし。株価も2017年には一時90ドル台だったが現在は24ドル台となっており、今後の増配や株価上昇は期待薄だろう。
3番目のダウ・インクは上述した通り今年配当を半減しており、その要因は業績/株価低迷にあるため選択肢としては不適切だろう。
4番目のブリストル・マイヤーズは、自分のポートフォリオに占める割合がそこそこ高く、また株価自体も主力製品特許切れの影響などで2022年には80ドルを超えていた株価が2025年は40ドル台から60ドル程度の範囲での推移と今後に不安が残る。
5番目のAT&Tは自分のポートフォリオに占める割合が2番目と大きく、かつ約4年増配無しということで買い足すには躊躇してしまう。
6番目のフィリップ・モリスはアルトリア・グループと同様タバコ銘柄。アメリカ以外の地域が対象となるためアルトリアより地域リスクは低減するだろうし、アルトリアに比べると代替製品(IQOSなど)への切り替えが上手く行っているが、可燃式タバコの市場縮小は変わらないのが不安材料。
7番目のモンデリーズはスナックなどの食品メーカーであり、この業界は冒頭に述べたWKケロッグ、ケラノバの買収に代表される様にここ最近業界の再編が進んでいる。そのため今後の展開が読みにくい。
8番目のエクソンは自分のポートフォリオに占める割合が4番目。また今年に入って原油価格は下落傾向にあり、原油価格と連動性の高いエクソンの株価/業績は今のところ持ちこたえてはいるものの不安がある。実際COVID-19初期の頃には、経済低迷による原油価格の下落のあおりを受け自分は配当停止を覚悟したこともあるので、エクソン株の追加購入は躊躇される。
9番目のケマーズは、ダウ・インクと同様今年減配をしており、その割合は65%。業績/株価低迷のため選択肢としては不適切。
10番目のプロクター・アンド・ギャンブルは、2025年に入ってから株価下落傾向が続いている事が気にかかる。
以上自分の所有銘柄で配当率の高い10銘柄を簡単に確認してみたが、この中で明らかに外れるのは今年減配をしているダウ・インクとケマーズ。またクラフト・ハインツも過去7年増配無しで配当面での期待は薄い。そしてポートフォリオに占める割合の高いブリストル・マイヤーズ、AT&T、エクソンも外れるだろう。またモンデリーズも業界再編の流れを考えると今後が不透明。
残りはアルトリア、フィリップ・モリス、P&Gの3銘柄。アルトリアとフィリップ・モリスは同じタバコ業界だが、フィリップ・モリスの方が対象地域が広く、可燃式タバコから無煙製品への移行が比較的上手く行っている点はアルトリアよりは評価できる。また同じタバコ業界の2銘柄を購入するというのは分散という点から望ましくないのでアルトリアは外す方向。P&Gは2025年の株式下落傾向が気にかかるが、生活必需品という点ではそこまで大崩れしない様な気はしている。過去69年間増配を続けているし。
株式購入のケースと期待配当(税引前、ドル)
フィリップ・モリスとP&Gを購入候補として具体的に考えてみる。
- 所有株数:フィリップ・モリス100株、P&G129株
- 2025年12月22日時点での株価:フィリップ・モリス@156.84ドル、P&G@144.46ドル
- 楽天証券口座にあるドル:約4.7万ドル
一応ドルは全額費やすのではなく、今年WKケロッグとケラノバが現金買収により上場廃止となって入金された3万ドル強程度を目安に考えてみる。
【フィリップ・モリスのみを購入1】
300株は購入できないので切りのいい250株購入と仮定。
- 購入額:250×@156.84ドル=39,210ドル
- 購入した場合の所有株数:100+250=350株
- 購入前四半期配当(税引き前):100株×@1.47ドル=147ドル
- 購入した場合の四半期配当(税引き前):350株×@1.47ドル=514.5ドル
- 増加税引前四半期配当:514.5-147ドル=367.5ドル
直近のフィリップ・モリスの受取円配当は1.7万円程度だったので、購入した場合は4.25万円ほど四半期受取配当の増加が期待できることになる。
【フィリップ・モリスのみを購入2】
300株は購入できないので切りのいい200株購入と仮定。
- 購入額:200×@156.84ドル=31,368ドル
- 購入した場合の所有株数:100+200=300株
- 購入前四半期配当(税引き前):100株×@1.47ドル=147ドル
- 購入した場合の四半期配当(税引き前):300株×@1.47ドル=441ドル
- 増加税引前四半期配当:441ドル-147ドル=294ドル
直近のフィリップ・モリスの受取円配当は1.7万円程度だったので、購入した場合は3.4万円ほど四半期受取配当の増加が期待できることになる。
【フィリップ・モリスとP&Gを購入】
フィリップ・モリスを100株、P&Gを121株購入と仮定。
- 購入額:
フィリップ・モリス:100×@156.84ドル=15,684ドル
P&G:121×@144.46ドル=17,479.66ドル
合計:15,684ドル+17,479.66ドル=33,163.66ドル - 購入した場合の所有株数
フィリップ・モリス:100+100=200株
P&G:129+121=250株 - 購入前四半期配当(税引き前)
フィリップ・モリス:100株×@1.47ドル=147ドル
P&G:129株×@1.0568ドル=136.3272ドル
合計:147ドル+136.3272ドル=283.3272ドル - 購入した場合の四半期配当(税引き前)
フィリップ・モリス:200株×@1.47ドル=294ドル
P&G:250株×@1.0568ドル=264.2ドル
合計:294ドル+264.2ドル=558.2ドル - 増加税引前四半期配当
フィリップ・モリス:294ドル-147ドル=147ドル
P&G:264.2ドル-180.7128ドル=83.4872ドル
合計:147ドル+83.4872ドル=230.4872ドル
直近の受取円配当はフィリップ・モリスが1.7万円程度、P&Gが1.5万円程度だったので、購入した場合はフィリップ・モリス1.7万円+P&G1.4万円=3.1万円ほど四半期受取配当の増加が期待できることになる。
整理してみると
- フィリップ・モリス250株購入の場合
購入額39,210ドル、増加する四半期税引前配当367.5ドル、直近実績からの税引き後四半期円配当増は4.25万円 - フィリップ・モリス200株購入の場合
購入額31,368ドル、増加する四半期税引前配当294ドル、直近実績からの税引き後四半期円配当増では3.4万円 - フィリップ・モリス100株、P&G121株購入の場合
購入額33,163.66ドル、増加する四半期税引前配当230.4872ドル、直近実績からの税引き後四半期円配当増では3.1万円
となる。
1の場合は、配当率の高いフィリップ・モリス株が一番大きいので配当増も大きいが、想定していたWKケロッグ/ケラノバの上場廃止分約3.3万ドルをかなり上回る購入額となる。
2の場合は、想定していたWKケロッグ/ケラノバの上場廃止分約3.3万ドルよりも購入額が少なく済み、配当増分も3つのケースの中では2番目に大きい。
3の場合は、想定していたWKケロッグ/ケラノバの上場廃止分約3.3万ドルと購入額がほぼ同じ程度だが、購入額がより少ない2の場合よりも配当増分が少なくなる。ただし2銘柄を購入できる点は投資銘柄分散という点ではフィリップ・モリス単独購入よりもリスク面で安心できるだろう。
まとめ
以上、主に2025年のWKケロッグ、ケラノバの現金買収による上場廃止をキッカケとした2020年以来の株式購入について検討してみた。
色々書きながら整理した結果、フィリップ・モリス100株とP&G株121株を購入することにした。フィリップ・モリス株を単独で購入するのは配当面では魅力的ではあるのだが、たばこ産業の先行きを考えると不安が残るため、配当率はフィリップ・モリスより低いがより安定的に見えるP&Gも併せて購入することにした。
またこの場合の購入金額がWKケロッグ、ケラノバの現金買収による上場廃止分の約3.3万ドルとほぼ同じであることも、念のためドルをいくらか残しておきたい自分の心情とも合致しているし、WKケロッグ、ケラノバの上場廃止により配当が無くなる分もカバーできるだろう。
この選択が中長期的に見て奏効することを願いつつ、久々の株式購入に臨むことにしたい。加えて計算が間違っていたら前提そのものが誤っている可能性もあるので、上述してきた計算に誤りがないことも切に願う。