2024年6月26日発表のFRB米銀ストレステスト結果まとめ

はじめに

現地時間2024年6月26日(水)の米国市場閉場後16:30に2024年の米銀ストレステスト結果が公表された。

少し前には大手米銀の破綻処理について不備の指摘もあり、個人的には本年度の米銀ストレステストの結果が懸念されていたのだがどのような結果となったのか。そして発表を受けての大手米銀株の動きはどうだったかについて確認し整理しておく。


2024年6月26日のFRBの米銀ストレステスト結果まとめ

以下はFRBのサイトの発表文より引用・抜粋。

【総論】

  • 米連邦準備理事会(FRB)の年次銀行ストレステスト結果は、大手銀行が昨年のテストよりも大きな損失を被ることになるものの、深刻な不況を乗り切り最低資本要件を上回る態勢を整えていることを示した。加えて理事会は最初の探索的分析(first exploratory analysis)の集計結果を発表したが、これは銀行の資本要件には影響しない
  • 調査対象となった全31行は、仮定の景気後退期に約6850億ドルと予測される損失を吸収した後も、最低普通株等Tier 1(CET1)資本要件を上回った。ストレステスト下では、損失に対する緩衝材となる総合CET1資本比率は12.7%から9.9%へと2.8%ポイント低下すると予測されている。これは昨年よりも大きな低下ではあるが、最近のストレステストの範囲内である
  • 今年の仮想シナリオは昨年のシナリオとほぼ同様である。商業用不動産価格が40%下落してオフィス空室が大幅に増加し、住宅価格が36%下落する深刻な世界的不況が想定されている。失業率は6.5%近く上昇してピークの10%に達し、経済生産高もそれに応じて減少する
  • シナリオは昨年とほとんど変わっていないが、今年のテストで資本の減少が大きくなった主な要因は3つある
    • 銀行のクレジットカード残高の大幅な増加と延滞率の上昇により、クレジットカード損失の予測がさらに増加し​​た
    • 銀行の企業信用ポートフォリオリスクが高まりを反映し、企業損失の予測が高まっている
    • 近年の経費の増加と手数料収入の減少により、損失を相殺するための予想収入が減少した
  • 約6850億ドルの予想損失総額には、クレジットカード損失1750億ドル、商業・産業ローン損失1420億ドル、商業用不動産損失約800億ドルが含まれる
  • また理事会は、テスト対象のすべての銀行に対する2回の資金調達ストレスと、最大規模で最も複雑な銀行のみに対する2回のトレーディング勘定(trading book)ストレスを含む探索的分析を実施した。探索的分析はストレステストとは別のものであり、より広範な銀行システムに対する追加の仮想リスクを調査する
  • 資金調達の2つのストレスには、預金の急速な再評価と、より深刻な景気後退およびより軽微な景気後退が含まれる。各要素の下では、大手銀行は総じて最低資本要件を上回り、資本比率はそれぞれ2.7%と1.1%低下する
  • 異なる市場状況下で5つの大手ヘッジファンドの破綻を含む2つのトレーディング勘定のストレスにより、最大規模で最も複雑な銀行は700 億ドルから850億ドルの損失を被ると予測されている。この結果は、これらの銀行がヘッジファンドに対して大きなエクスポージャーを抱えているものの、様々なタイプのトレーディング勘定のショックには耐えられることを示している

【自分が所有している米銀株の結果】

自分が所有している大手米銀株JPモルガン・チェース(JPM)のストレステスト下での損失は約843億ドル、自己資本比率は12.5%、シティグループ(C)の損失は約523億ドル、自己資本比率は9.7%という結果になっている。Category Iに分類される両行のFRB最低自己資本要件は4.5%。

参考として同じくCategory Iに属する他の大手米銀株であるバンク・オブ・アメリカ(BAC)の損失は約604億ドル、自己資本比率は9.1%、ウェルズ・ファーゴ(WFC)の損失は約559億ドル、自己資本比率は8.1%となっている。


2024年米銀ストレステスト結果公表後の大手米銀の株価

2024年6月27日(木)の大手米銀4行の株価は

いずれもやや上昇。日中の動きも多少の違いはあるが

概ね似たような動きを示している。

また同日の米国株式市場

と比較してもやや上昇幅が大きく、まずは無難にストレステストを乗り切った様に見える。


まとめ

以上2024年の米銀ストレステストの概要を確認し整理してみたが、結果を受けての株価変動も市場に比べてまずまずであり、冒頭の件に絡んで自分が懸念していた様な事態には陥らなかった。ただし今後個別行のストレステスト結果が発表されてその詳細が明らかになるまでは個人的にはまだ安心できない。アナリストの分析などにも要注目だろう。

そして結果を受けて自分の所有銘柄であるシティが配当増をするかが気になるところ。昨年2023年のストレステスト後には4年据え置きだった四半期配当を増配(3.9%)したのだが、今年はどうなるか。自分のポートフォリオに占めるシティ株の割合は大きいので、今年もシティがそれなりの増配をしてくれると有難いのだが・・・。

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