デュポン(DD)2023年第4四半期決算(2024/2)

はじめに

2024年2月6日(水)には自分の所有銘柄であるデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)の2023年第4四半期決算が発表された。

デュポンはこの本決算に先立って先月

デュポンの暫定決算発表と株価急落(2024/1)

でまとめた様に暫定決算を発表しており、その際には2024年第1四半期の見通しが低調であったことが響いて

14%を超える急落となっていた。

今回の本決算結果そしてそれを受けての株価はどうなったのか。以下決算内容と株価の動きを確認し整理しておく。


デュポン・ドゥ・ヌムール2023年第4四半期決算概要

以下の情報はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2023年第4四半期の総売上(Net Sales)は28億9800万ドル、前年同期は31億400万ドルで前年同期比7%減
  • 2023年第4四半期の継続事業における希薄化後1株当たり損失((Loss) earnings per common share from continuing operations – diluted)は0.62ドルの損失、前年同期は0.20ドル

損失となったのは暫定決算でも言及されていた、主にWater & Protection部門における現金支出を伴わないのれん代減損を含め約8億ドルを計上しているため。

  • 2023年第4四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.87ドル、前年同期は0.89ドルで前年同期比2%減少

事業部別業績

【Electronics & Industrial部門】

売上は前年同期比1%増の13億6100万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)は7%減。営業EBITDAは前年比7%減、営業EBITDAマージンは前年比2.5%減。

【Water & Protection部門】

売上は前年同期比15%減の12億7700万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)も15%減。営業EBITDAは前年比13%減、営業EBITDAマージンは前年比0.6%増。

2024年見通し

2024年通期及び2024年第1四半期の見通しは以下の通り。

【2024年通期】

  • 総売上(Net Sales):119億7000万ドル~123億ドル
  • 営業EBITDA(Operating EBITDA):28億ドル~30億ドル
  • 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):3.25~3.65ドル

【2024年第1四半期】

  • 総売上(Net Sales):~28億ドル
  • 営業EBITDA(Operating EBITDA):~6億1000万ドル
  • 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):0.63~0.65ドル

通期見通しに比べて2024年第1四半期の見通しが低調なのは、暫定決算の発表でも言及された中国での需要低迷や在庫調整が続くため。回復は第2四半期、特に下半期以降と想定される。

その他

その決算発表資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 今回の決算発表は1月24日に発表した暫定決算と一致
  • 2023年9月に開始した20億ドルの早期自社株買い取引を完了
  • 新たに2024年末を期限とする10億ドルの早期自社株買いを承認
  • 四半期配当の6%増配を発表
  • 引き続きリストラによる1億5000万ドルのコスト削減を目標としており、これは第1四半期後半には実現し始める予定で今後の利益率はさらに強化される見込み
  • 2024年中にリストラ効果目標1億5000 万ドルの少なくとも3分の2の効果が得られ、残りは来年実現すると予想
  • 第4四半期に支払期限の負債3億ドルを手元現金で返済
  • 全社の売上高と利益は第1四半期が底で、その後年が進むにつれて着実に回復し下半期には前年比で成長になると想定
  • 第2四半期には、売上高が第1四半期比1桁台半ばの改善、営業EBITDAが第1四半期比約10%増加すると想定
  • PFASに関しては裁判が行われる前にこれらのことを解決したいと考えているが、2024年中の問題ではないと考えている
  • Water & Protection部門は第4四半期低調だったが、1月の受注は13%増加し、その大部分は中国。実際の納入は5月頃から

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2023年第4四半期の総売上(Net Sales)は28億9800万ドル、市場予想の29億2000万ドルを下回っている
  • 2023年第4四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.87ドル、市場予想の0.85ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算を受けてデュポン・ドゥ・ヌムールの株価は

前日比7.4%の上昇。同日の米国市場が

前日比でほぼ変わらなかったのと比べると、大きく上昇している。

これは第4四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)が予想を上回ったことや、新たに10億ドルの自社株買い戻しプログラムを発表したことなどが市場に評価されたのだろう。とはいえ決算を受けて上昇した株価は暫定決算発表を受けて大幅下落した株価とほぼ同程度に過ぎない。

前回決算から決算翌日を含んだ約3ヶ月のデュポン株の推移を見てみると

11月の前回決算を受けて大きく下落した後は市場と同程度の動きをしていたが、暫定決算を受けて再び大幅下落。そして今回の決算では懸念していた更なる下落とはならずに上昇している。

今後のデュポン株だが、11月そして暫定決算での下落要因となった在庫調整及び中国の遅い需要回復の影響が、2024年第1四半期はその見通しからすると続くことになるのだろう。我慢の時が続きそうだ。ただ、カンファレンスコールでの説明では第2四半期後半、下半期に向けて改善の兆しが見えているような発言もなされていたので、第2四半期以降に期待される業績回復までを何とか乗り切ってもらいたい。

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