はじめに
先日発表された米消費者物価指数(CPI)のまとめの際に、自分の所有銘柄であるAT&T(T)が掲題の理由により市場に比べて大きく下落していたことに簡単に触れた。
この件は今後のAT&T株の動向に大きな影響を与える可能性があるので、以下その件について確認しておくことにする。
米環境保護庁(EPA)の鉛を含む通信ケーブルの潜在的影響の調査拡大について
以下は2024年1月11日のウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道より引用・抜粋。この件に関しては元々2023年7月にウォール・ストリート・ジャーナルが最初に報道している。
- 米環境保護庁(EPA)は1月11日木曜日、AT&Tとベライゾンに書簡を送り、両社の古いインフラが環境中に鉛を放出していないかどうかに関する数ヶ月に渡る調査の一環として、両社との今月下旬の会合を要請した
- EPAの調査員は、以前に特定された場所で子供に対する安全ガイドラインを超える鉛の測定値が100件以上あることを発見
- EPAは通信プロバイダーがどのような役割を果たしたかを解明するため、両社が自社のケーブル試験に関する内部データや試験とサンプリングに関連する技術報告書の詳細を共有することを期待している
- EPAの土地・緊急事態管理局の責任者であるClifford Villa氏は、体内への現実的な暴露と経路に基づき、「これは懸念すべき鉛である」とウォール・ストリート・ジャーナル誌に語った
以下はその後のロイター通信の報道より引用・抜粋。ウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道を受けて関係各所へインタビューしたものと思われる。
- 米環境保護庁(EPA)は1月11日木曜日、鉛を含む電気通信ケーブルの潜在的影響について綿密な検討を続けるため、AT&T及びベライゾンとの今月中の面会を求めていると述べた
- EPAはペンシルバニア、ニュージャージー、ルイジアナで独自のサンプリングを実施した
- サンプリングされたいくつかの場所は、長期暴露のスクリーニングレベルを超える濃度を示しているが、既存のデータはケーブルからの鉛が人の健康や環境に脅威、または潜在的な脅威をもたらすかどうかを判断するには十分ではない
- 現在までのところ緊急または緊急の除去措置を必要とするような差し迫った脅威は見られない
- ケーブル付近の鉛の濃度をより明確にするため、今年初めにさらにデータを収集する予定である
- 業界団体USTelecomのコメント
- 各社は昨年技術的な結果を提出した際、技術的な結果について検討するため当局との面談を希望していた
- 要するに、試験結果は引き続き電気通信用の鉛ケーブルが公衆衛生上の重大なリスクをもたらさないことを示している
報道を受けてのAT&T株の動き
報道をAT&T株の動きは1月11日が
と3.79%の下落だったが、翌日1月12日は
1.54%上昇し、自分が懸念した様に続落することは無かった。
詳しくAT&T株の動きを見てみると
1月11日の15時に株価が急落しているが、これがウォール・ストリート・ジャーナル誌が報道したタイミングだろう。そしてその後ロイターが後追いで関係各所へインタビューした内容が前述の通り、事実としてはウォール・ストリート・ジャーナルと同じだが、追加された情報ではウォール・ストリート・ジャーナルの報道トーンよりも大きな問題が発見された訳では無く、後追い報道が恐らく11日の株式取引終了以降であったために株価が回復したのだろう。
まとめ
1月11日のAT&T株を見た時には先行きが懸念されたが、その後の株価や報道を調べてみた結果個人的にやや懸念は和らいだ。とはいえこの件が完全に解決したというわけではないので、引き続き注意していく必要はあるだろう。
それにしても、事実としてはEPAがAT&T及びベライゾンに鉛を含む電気通信ケーブルの潜在的影響について綿密な検討をするため今月中の面会を求めている、という点でウォール・ストリート・ジャーナル及びロイターの報道は一致しているのだが、報道の仕方によって大きな違いが出てくるものだ。この件に限らず今後もそういった点を気に留めて情報の収集・整理をしていきたいものだ。