アマゾン携帯プランの追加報道で再びAT&T株下落(2023/6)

はじめに

昨日2023年6月2日(金)の米国市場は、直近での大きな懸念材料であった米債務上限問題に関して米債務上限停止法案が上院を通過したり、同日発表された5月の米雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことから連邦準備理事会(FRB)が6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る公算が大きいとの見方が広がったことを受けて

いずれも1%を超える上昇。自分が所有している米国株25銘柄もほとんど上昇したのだが、そんな中唯一下落したのがAT&T(T)。

前日比3.80%の大幅マイナスとなっているが、これでも米市場の好調さに助けられた感があり開場直後は5%を超える下落局面もあった。

理由は先日も触れた米アマゾンが携帯電話サービスを提供する計画に関してブルームバーグが新たに報道したため。以下、その内容について確認し整理しておく。


2023年6月2日のブルームバーグの報道

以下はブルームバーグの報道より引用・抜粋。

  • 内部情報であることを理由に匿名で語った関係者によると、米アマゾン・ドット・コムはベライゾン・コミュニケーションズやTモバイルUS、ディッシュ・ネットワークとの間で、可能な限り低価格で通信網の提供を受けられるよう交渉している
  • プライム会員であれば月額10ドル、場合によっては無料で携帯電話サービスが利用できるようにすることを目指しており、これにより高額支出顧客の間での忠誠心を高めることができる
  • 交渉は6~8週間続いており時にはAT&T社も参加したこともあったが、計画の立ち上げにはさらに数ヶ月かかる可能性があり、計画が破棄される可能性もある
  • アマゾンの広報担当者は「プライム会員向けの特典をさらに追加することは常に検討しているが、現時点でワイヤレスを追加する計画はない」と文書で説明
  • 名前を挙げられた通信事業者は報道を否定もしくはコメントを控えている

ブルームバーグの報道に挙げられた通信事業者4社の株価は

前回ウォール・ストリート・ジャーナルの報道時と同様にディッシュ・ネットワークは上昇、大手3社は下落となっている。


まとめ

5月下旬のウォール・ストリート・ジャーナルの報道時には、ディッシュ・ネットワークがアマゾンを通じて携帯プランを販売するための交渉を進めている、という旨のものだったが、今回は携帯プランの販売という点では同じだが、ディッシュ以外のキャリアにも声をかけ月額料金が10ドルもしくは無料という点が新しい情報となっている。

これらの報道を受けてAT&T、ベライゾン、Tモバイルの大手3社の株が下落しているのは、アマゾンがプライム会員向け(年間139ドル)に10ドル/無料の携帯電話サービスを提供することになれば、自社サービス(無制限で月額60~65ドル)から乗り換えられたり、より安価なサービスを提供したりなどの可能性が容易に想像されるからだろう。

一方でディッシュが上昇しているのは、大手3社に比べ加入者数が少ないためアマゾンを通じての販路拡大がプラスと見込まれ、自社サービスが月額25ドルと価格面での影響が比較的少ないためだろう。

ただしディッシュの過去1年の株価は

大手3社に比べて著しく悪く魅力があるとは思えない。

自分が所有しているAT&T株に関して言えば、アマゾンの携帯サービスに関する報道に関しては今後の行く末を見守るしかないのが正直なところ。もし実現すればまた一段の下落となるのだろうが、前回のウォール・ストリート・ジャーナルの報道直後の株価が@15.15ドルで今回の報道を受けて@15.21ドルとなっている事を考えると、アマゾンのプランが立ち消えになればこの件はさほど株価に影響を与えないかもしれない。

ただしAT&T株は過去1年で約30%下落し、特に2023年第1四半期の決算でキャッシュフローが懸念されて以降の下落が目立っているので、やはりこの懸念が解消されない限りあまり上昇は見込めないのだろう。何とかここ数日の様に踏ん張って欲しいのだが。

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