はじめに
2022年1月半ばに自分が米国株投資をしている楽天証券から令和3年分の上場株式配当等・特定割引債の償還金の支払通知書が提供されたので例年通り確定申告の準備を行っているのだが、その中で掲題の件について気が付いたので以下に整理しておくことにする。
以下はあくまで自分が調べた範囲での処理であり、これから行う確定申告時に誤りを指摘されたりする可能性がある点は注意。自分のための備忘録という位置づけ。
前提
自分は米国株個別投資を行っており、
- 米国個別株を購入するために円でドルを購入していた
- 自分の米国株投資はバイアンドホールドということもあり、ドルを円に変換することは無かった
- 2020年に退職/完全リタイアを行って、米国個別株のドル配当金を生活費に充当する配当金生活が始まった
- 米国株の配当金はドルで入金されているため、実際に日本で配当金生活をするためにはドルを円に変換する必要がある
というのが前提。
2021年の確定申告準備時に気が付いたこと
例年通り確定申告をしようと準備をしている際に、楽天証券の確定申告サポートページを見ていたところ
と外貨の売却取引について確定申告を行う必要がある事に気が付いてしまった。
今までは前述の通り円でドルを購入するのみの一方通行だったため為替損益が発生することは無かったのだが、完全リタイアしてからはドル配当金を円に変換しているため為替の違いによる損益が発生しており、それに対する確定申告が必要となるわけだ。
ちなみに昨年2020年11月にもドル配当金を円変換して生活費に充当していたので、2020年の情報も見てみたところやはり確定申告必要となっていた。ただしその際のレートは1ドル=104.88円と取得平均より少なかったため為替による損が生じており、本当は5000円程度損金を計上するのが正しかったのだろうが、申告すべき所得ではなく申告すべき損金をし忘れたという事で払うべき税金に対する申告漏れが無かったので良しとすべきだろう。
退職/完全リタイアする前に、米国株の配当金生活を送る場合はこの為替損益による確定申告が必要になる事は何度か意識していた気もするのだが、実際にはすっかり忘れてしまっていたというのが実状。
米ドル売却に伴う2021年度の確定申告計算
繰り返しになるがあくまで自分のやり方なので間違いの可能性がある点には注意。
まず完全リタイア前まで約20年間の円で購入したドルの平均額は、楽天証券のツールMarket Speedから
1ドル=105.3868円であることが判る。
そして2021年中にドルから円に変換したのは
約定日 | 変換前ドル | 変換後円 | レート |
2021/2/24 | 10,000 | 1,052,500 | 105.25 |
2021/7/26 | 10,000 | 1,102,300 | 110.23 |
2021/11/24 | 10,000 | 1,148,600 | 114.86 |
2021/12/23 | 5,000 | 569,600 | 113.92 |
3,873,000 | 110.6571 |
となっている。
従って2021年のドル円為替損益は取得時為替レートから売却時為替レートがドル高になっているため雑所得が発生することになり、
(110.6571-105.3868)×35,000=184,461円
これが確定申告に記載すべき外貨取引に関する雑所得となるはず。
米ドル売却の雑所得申告から派生する色々
米ドル売却の所得約18.5万円が発生する事によって確定申告その他に影響が出るかどうかについて整理してみる。
所得税・還付金
確定申告の所得額は米国株の配当金を分離申告するだけの場合はゼロのはずだが、ドル売却に伴う18.5万円の雑所得を計上すると還付金に違いが出るかどうかをWeb上の確定申告書等作成コーナーで作成した申告書の値を変更して確認してみたが還付金の額は変わらず。
住民税
住民税は自分の居住している地域のサイトを見てみると、
所得が45万円(給与収入のみならば100万円)以下の方は、課税されません。
なお、それ以上の金額の場合でも、扶養親族の人数によっては課税されないことがあります。
と記載されているので住民税も為替差益が45万円以内であれば課税されない模様。ただし均等割分も課税されないのかはまだ確信が持てない。
国民健康保険料
2022年10月で退職時に選択した任意継続保険から国民健康保険に乗り換えなければならないのだが、その金額は以前にも役所に確認したが
賦課標準額=「前年の総所得金額等」-「基礎控除額(43万円)」
となっており、今回の為替差益金額では基礎控除額の範囲内に収まるので国民健康保険料も支払う必要はないはず。
まとめ
確定申告に取り掛かっていきなり想定外の事でつまづいてしまったが、今回のドル配当金の円変換に伴う為替損益は取り合えず大きな影響は無さそうで一安心。
それにしても米株配当金生活における重要な点を考慮に入れ忘れていたなあ。配当金生活を始めてからは、為替がドル高に振れれば受け取る円が増えるので単純に良い事と認識していたのだが、取得時の差額も申告する必要があるのをすっかり失念していた。まあ額が少ないとはいえ申告漏れをする前に気が付いたのを幸いと捉えるべきだろう。
今後はドル配当金を円に変換して生活費に充当する際に、確定申告への影響を意識して取得価額と比べた為替差損にもっと気を遣うようにしたい。2022年からはAT&Tの配当金が減るのでドル円変換は3万ドル程度となるだろうが、もし為替レートが120円を突破してドル取得価額との為替差が15円になれば3×15=45万円となり住民税や国民年金保険料に影響が出てくる可能性もあるのだから。
それにしても完全リタイアから1年以上が経過しているがまだまだ想定外の事が出てくるものだ。残っている不確かなものとして認識しているのは6月に確定する給与所得が全くなった後の住民税と11月から発生する国民健康保険料だが想定内に収まってくれること、それら以外の見落としが無いこと、そして上記の為替損益の確定申告に間違いが無いといいのだが。