JPモルガン(JPM)2021年第1四半期決算(2021/4)

はじめに

昨日2021年4月14日から米国企業の2021年1~3月期の決算発表が本格化しだした。

その中で自分の所有銘柄であるJPモルガン・チェース(JPM)も2021年第1四半期決算を発表している。以下にその内容を整理してまとめておく。


JPモルガン2021年第1四半期決算発表まとめ

以下の内容はJPモルガン・チェースの企業サイトから引用・抜粋。

  • 総収入(Managed Revenue)は331億1900万ドルで、前四半期比10%増、前年同期比14%増
  • 純利益(Net income)は143億ドルで、前四半期比18%増、前年同期比399%増
  • 希薄化後1株あたり純利益(EPS – diluted)は4.50ドルで前四半期より19%増、前年同期比477%増
  • 純金利マージン(調達金利と貸付金利の差)は1.69%で前四半期の1.80%から低下

貸し倒れ引当金繰入額(Reserve Build/(release))は今四半期は52億ドルを差し戻している。これにより希薄化後1株あたり純利益(EPS)は1.28ドル増加したことになる。


その他JPモルガン決算関連

6月の米銀ストレステストに向けて気になるCET1(Common Equity Tier 1)は以下の通りで、前四半期と比べて特に大きな変化は無し。

SLR(Supplementary Leverage Ratio:補完的レバレッジ比率)に吹き出しが付いているのは、以前にまとめたように2021年3月末でSLRの条件緩和措置が終了するため。条件緩和を除いた場合のSLRは5.5%であったとしている。

また2021年第1四半期に43億ドルの自社株買い戻しを実施したとしている。


2021年通期見通し

2021年通期見通しについては以下の通り。

  • 純金利収入(net interest income)が前四半期決算時の~$55.5Bから下方修正
  • 調整後費用(adjusted expense)が前四半期決算時の~$68+Bからやや増加

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2021年第1四半期の総収入(Managed Revenue)は331億1900万ドル、市場予想の305億ドルを上回っている
  • 2021年第1四半期の希薄化後1株あたり純利益(EPS)は4.50ドル、市場予想の3.10ドルを上回っている。貸倒引当金の差し戻し1.28ドルを差し引いても市場予想を上回っている

となっている。


まとめ

上記の決算内容を受けて昨日のJPモルガンの株価は

何故か1.87%の下落。決算内容も市場予測を上回っており下落する様な要因はないと思うのだが。

もう一度決算資料をよく見てみると下落要因として考えられるのは

  • Net interest income(純金利収入)が122億8900万ドルと前四半期比マイナス3%、前年同期比マイナス11%となっている
  • 2021年見通しで純金利収入を下方修正し、調整後費用が増加すると見込んでいる
  • 決算資料のConsumer & Community Bankingの説明で以下の様な個人消費の弱さに言及している
    • Loan demand remained challenged as Card outstandings remain lower despite spend recovering to pre-COVID levels
      支出がCOVID以前のレベルに回復したにもかかわらず、カードの残高が低いままであるなど、ローン需要は依然として困難でした

などだろうか。ただ個人消費についてはアナリストとのカンファレンスコールで最高経営責任者(CEO)のJamie Dimon氏は上記決算資料の記述を以下の様に補足している。

  • “I think I made a mistake in my quote using the word ‘challenged.’ What happened is the consumer has so much money they’re paying down their credit loans, which is good. Their balance sheet is in excellent, outstanding shape”
    「「困難(challenged)」という言葉を誤って引用したと思います。消費者に何が起こったのかというと、消費者はクレジットローンを返済するのに多額のお金を持っているということでこれは良いことです。彼らのバランスシートは良好で、優れた形になっています」

書いては見たものの今一つ明確な下落要因ははっきりしない。基本的には資料・カンファレンスコール共に概ねポジティブな内容だったと思うのだが。ちなみに他の銀行・金融株は以下の様に上昇銘柄が多かった。このうちウェルズ・ファーゴは同日決算発表をしている。

昨日JPモルガン株は下落したが、年初来の株価は2月下旬からの米国債利回り上昇の影響もあって伸び悩んではいるものの下落はしていないし、

決算内容を見る限りではそれ程心配する必要は無いように見受けられるので、このまま市場なりに推移して欲しいものだ。

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