はじめに
自分が累計で9万ドル程投資をしているエクソン・モービル(XOM)は、ヨーロッパの同業他社とは異なり石油価格に関する内部の見通しを公表していないのだが、11月25日にウォール・ストリート・ジャーナルがその内部文書を元に報道をしていたので、以下にまとめておくことにする。
エクソンと米シェブロン(CVX)は、投資決定の基礎となる原油価格の見通しについて株主の圧力が高まっているのだが自社の原油価格見通しを専有情報と見なしている。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道要旨
以下はウォール・ストリート・ジャーナルの報道より引用・抜粋。
- 9月のエクソン・モービル内部文書によると、エクソンの原油価格見通しは以下の様になっている。
- 昨年エクソンはブレント原油が以下の様に上昇すると予想していた
- 2025年まで1バレル平均62ドル
- 2026年と2027年に1バレル72ドル
- 9月時点では以下の様に情報修正している
- 2025年まで1バレル平均55ドル(下限50ドル)
- 2026年と2027年に1バレル60ドル
- 昨年エクソンはブレント原油が以下の様に上昇すると予想していた
要旨としては今後の原油価格の見通しをこの1年でかなり引き下げているという事になる。
まとめ
ちなみにヨーロッパの同業他社は以下の様に原油価格を見通している。
- ブリティッシュ・ペトロリアム(BP):2025年までのブレント原油価格を1バレルあたり約55ドル
- ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSA):長期原油価格を1バレルあたり60ドル
原油価格が下がれば、2020年上半期の様に、原油価格下落⇒利益減少⇒配当減、人員削減、設備投資減⇒業績悪化、といった流れが容易に想像できる。
ちなみにこの報道があった25日のエクソン株は、
2.79%の下落。同日の米国市場は前日24日に初めてダウ工業平均が3万ドルを超えたこともあり過熱感のせいからかダウ工業平均が0.58%、S&P 500が0.16%それぞれ下落している(NASDAQは0.48%高)。それを差し引いてもやはりそれなりの下落。
ちなみに同日の同業他社は
- シェブロン(CVX):3.6%減
- ブリティッシュ・ペトロリアム(BP):2.1%減
- ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSA):2.1%減
といずれも株価が下落している。
過去1ヶ月のエクソンの株価が、
市場よりも良いパフォーマンスで油断していたのだが、過去3ヶ月、年初来の株価を見てみると、
ととてもではないが安心できる状態ではないことを再確認してしまった。
恐らくここ1ヶ月のエクソンの株価上昇は、
- 11月になってからの市場全体の上昇に加えて、
- 今年になってからの下がり過ぎからのリバウンド
であって、四半期決算内容などから推察される根本的な業績不安の低迷に対する明確な改善策が提示されての株価上昇ではないと思われる。
やはりここ最近上昇しているとはいえ、エクソン株にはあまり過度な期待をかけないで、気長に回復を期待するに留めておいた方が良さそうだ。