ゼネラルエレクトリック2020年第3四半期決算(2020/10)

はじめに

昨日の米国市場はある程度予想した通り、ダウ工業平均が3.43%、S&P 500が3.53%、NASDAQが3.73%それぞれ大きく下落となった。

そんな2020年10月28日には所有銘柄の一つであるゼネラル・エレクトリック(GE)の2020年第3四半期決算の発表があったのだが、結果は

4.58%の大幅上昇。市場の下落振りを考慮するとかなりのポジティブサプライズだったことが伺える。以下にその決算内容を確認・整理しておく。


2020年第3四半期決算概要

以下の内容は、ゼネラル・エレクトリックの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第3四半期の総売上高(Total Revenues)は194億1700万ドル、前年同期は233億6000万ドルで前年同期比17%の減少
  • 2020年第3四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.06ドル、前年同期は0.15ドルで前年同期比60%の減少
  • 2020年第3四半期のインダストリアル事業のフリーキャッシュフロー(純現金収支・GE Industrial Free Cash Flows)は5億1400万ドル、前年同期は6億5000万ドルで前年同期比21%の減少

前年同期で比べるとマイナスにはなっているものの、前四半期

  • Adjusted EPSが0.15ドルの損失
  • インダストリアル事業のフリーキャッシュフローが20億6700万ドルの赤字

に比べれば大幅に改善されている。

事業部別を以下に確認してみる。

Aviation(航空機事業):

受注は40億7200万ドルで前年比54%減、売上は49億1900万ドルで前年比39%減。収益は3億5600万ドルで前年比79%減。ただし、前四半期は収益が6億8000万ドルの損失だったのがプラスに転じている。

Healthcare(ヘルスケア事業):

受注は41億2500万ドルで前年比20%減、売上は45億6500万ドルで前年比7%減。収益は7億6500万ドルで前年比21%減。ただし収益ベースではこちらも前四半期を上回っている。

Power(電力事業):

受注は33億8800万ドルで前年比12%減、売上は40億2500万ドルで前年比3%増。収益は1億5000万ドルで前年は1億4400万ドルの損失。

Renewable Energy(再生可能エネルギー事業):

受注は39億8100万ドルで前年比21%減、売上は45億2500万ドルで前年比2%増。収益は500万ドルで前年は9800万ドルの損失。

いずれも前年比では低調ではあるが、収益がいずれもプラスになっており前四半期のヘルスケア事業以外の3部門がマイナスだったのを考えると改善の兆しが見られるのではないだろうか。

フリーキャッシュフローは以下の様になった。

2020年第3四半期のGE Industrial FCFは5億1400万ドルの黒字(流入)。前四半期は20億6700万ドルの赤字(流出)。

フリーキャッシュフローに関しては、確かに前四半期の決算では

  • We expect to return to positive Industrial free cash flow in 2021.
    2021年にはインダストリアル事業のフリーキャッシュフローがプラスになると見込んでいる

としていたし、ひと月ほど前にも下半期の黒字化が示唆されていたが、

GE今年下半期にキャッシュフロー黒字化?(2020/9/17)

第三四半期に黒字になるとは自分の想定外。

2020年第4四半期の見通しについてはフリーキャッシュフローのみ資料で明示されており、

25億ドル以上の黒字(流入)を見込んでいる。アナリストとのカンファレンスコールで最高経営責任者(CEO)のLawrence Culp氏はもう少しく詳しく説明しており、

  • we expect fourth quarter Industrial free cash flow of at least $2.5 billion, with positive contributions from all segments, but how much more really depends on how Aviation fares through the quarter
    第4四半期のインダストリアルフリーキャッシュフローは少なくとも25億ドルで、すべてのセグメントからプラスの貢献が見込まれますが、実際には航空機事業がの四半期がどのようになるかによって異なります
  • And importantly, the momentum we’re building should help us deliver positive Industrial free cash flow in 2021
    そして重要なことに、私たちが構築している勢いは2021年にプラスのインダストリアルフリーキャッシュフローを実現するのに役立つはずです

としている。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2020年第3四半期の総売上高(Total Revenues)は194億1700万ドル、市場予想の191億4900万ドルを上回っている
  • 2020年第3四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.06ドル、市場予想の0.04ドルの損失を上回っている
  • 2020年第3四半期のインダストリアル事業のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は5億1400万ドルの黒字、市場予想では8億7600万ドルの赤字

となっている。


まとめ

決算内容を見てみるとさすがにこのコロナ状況下という事もあり前年比ではマイナスが多いが、市場予想を上回っており、前四半期に比べると改善が見られる点が市場に評価され、株価も上昇したと思われる。

特にインダストリアル事業のフリーキャッシュフローが赤字から黒字に転じたのは大きかっただろう。9月にフリーキャッシュフローが下半期には黒字に転じるとしていたのは、あくまで下半期には、という事であったし、8月末にはゼネラル・エレクトリック(GE)の株価に影響をよく及ぼすJPモルガンのアナリストであるStephen Tusa氏が、今後のGEのキャッシュフローに否定的見解を示していたこともあり、第3四半期にフリーキャッシュフローが流入になるとは繰り返すがポジティブなサプライズだった。

気に掛かるのは、アナリストとのカンファレンスコールでLawrence Culp氏が言及したようにAviation(航空機事業)が第4四半期のGEの業績に及ぼす影響は大きそうである点。

近頃の欧米でのコロナ第2波とも言える拡大に伴い、再度のロックダウンが検討・実施されており、それに伴い再び旅客需要の低減、そして航空機需要の減少につながらなければ良いのだが、こればかりは致し方ないだろう。何とかその影響を最小限にとどめ、第4四半期も改善が続くことを期待したい。

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