AT&Tが財務状況のアップデート情報を提供(2020/4/7)

はじめに

この新型コロナウイルス状況下での配当をとても気にしていたAT&Tだが、昨日の米国市場開場前に、財務状況のアップデートを企業ページに開示していた。

一部の格付け会社から、AT&Tの投資格付けが最近下げられたこともあるのでAT&Tからの発表は重要だと思うので、以下にその内容を確認しておくことにする。


2020年4月7日(現地時間)のAT&Tの発表内容

以下はAT&Tの企業ページより引用・抜粋。

タイトルは「AT&T Provides Financial Update」で財務状況のアップデートの提供が目的。

  • As countries and companies around the world respond to the COVID-19 pandemic, AT&T wanted to provide a financial update to investors.
    世界中の国及び企業がCOVID-19のパンデミックに対応しているように、AT&Tは投資家に財務アップデートを提供したいと考えました

Financial Strength

The company said it has a strong cash position, including a strong balance sheet and attractive liquidity.
同社は(以下のような)強力なバランスシートや魅力的な流動性など、強力な現金ポジションを持っていると語った。

  • AT&T had about $12 billion in cash on hand on Dec. 31, 2019.
    AT&Tは2019年12月31日時点で約120億ドルの現金を手元に置いていました
  • In February, AT&T received ~$4 billion from preferred stock issuances at rates which were measurably below that of its common dividend. During the first quarter, the company executed a $4 billion Accelerated Share Repurchase (ASR) agreement which was completed in March 2020.
    2月にAT&Tは優先株発行から40億ドルを通常の配当よりもかなり低いレートで受け取りました。同社は第1四半期に2020年3月に完了した40億ドルの加速株式買戻し(ASR)契約を締結しました
  • In March, AT&T canceled a $4 billion ASR (planned for 2Q) and stopped all share repurchases.
    3月にAT&Tは40億ドルのASR(第2四半期に予定)をキャンセルし、すべての株の買い戻しを停止しました
  • AT&T today announced a $5.5 billion term-loan* agreement at competitive rates with 12 banks to provide additional financial flexibility to an already strong cash position. The loans are pre-payable without penalty.
    AT&Tは本日、すでに強力な現金ポジションに追加の財務柔軟性を提供するため、12の銀行と競争力のあるレートでの55億ドルのタームローン契約を発表しました。ローンは罰金なしで前払いされます

*term-loan(タームローン):返済期限が一年を超え、一括あるいは分割弁済で返済がなされる中長期事業資金貸出のこと。どうも上の文脈からするとAT&Tにおって有利な内容のようだ。

この他にも資産の売却や年金基金、サプライチェーンについての言及されていたが、ここでは割愛する。それ以外でFinancial Strength以外で気になった一文は、

  • As it has for the past 36 years, the company looks forward to continuing to pay a quarterly dividend to shareholders.
    過去36年間のように、同社は四半期ごとの株主への配当を引き続き支払うことを期待しています

という今後の配当継続を示唆するもの。ただ、これだけでは配当を継続する意向はあるが、場合によっては減配や据え置きなどの可能性もないとは言い切れないような気はする。


まとめ

上記の様な発表が2020年4月7日の米国市場開場前になされたようで、それを受けて昨日のAT&T株は、

約2%程の上昇。ダウ工業平均が結局0.12%のマイナスだったことを考慮すると、昨日のAT&Tの発表は概ね好意的に市場に受け止められたようだ。

あくまで財務状況のアップデートが目的なので先月の格下げの一要因であるワーナーメディアなど個別の事業に対しての言及は今回は無かった。

そういった事業ごとの具体的な内容は2020/04/22に予定されている2020年第1四半期決算で語られるのだろう。

それにしても動画配信サービスのHBO maxの情報が全然出て来ないのが気になるなあ。

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