米銀ストレステスト第2弾結果とシティ、JPM配当(2019/6)

はじめに

今朝起きて自分の米国株ポートフォリオを確認していたら、時間外取引でシティグループ(C)とJPモルガン・チェース(JPM)の銀行株がそれぞれ1%超上昇していた。

どういうことかと思ったら、ドット・フランク法に基づいて実施されているストレステスト(健全性審査)の結果第2弾が発表され、その内容が良かったことに起因していたようだ。以下に2019年の米銀ストレステスト第2弾結果をCJPM中心で整理しておくことにする。


ストレステスト第1弾結果

そもそも掲題が第2弾となっているのは、当然第1弾の結果が既に明らかになっているからで、その結果は2019621日に発表されている。

ストレステストの目的は段階に応じて異なっている。

ストレステスト第1弾の目的は対象大手18銀行(これらの銀行の資産合計は米国の全銀行の資産の約70%に相当)が当局に提出した情報に基づき、FRB(米連邦準備理事会)が設定する基準を達成できるか審査するもの。

ストレステスト第1弾の結果として、FRBは最も厳しいシナリオの下で各行が被る損失は総額で4100億ドルに達するものの、自己資本比率は基準を大幅に超えると指摘していた。声明では「米国の大手銀は金融危機前と比べ大幅に力強さを増し、著しい衝撃を受けたとしても経済を支える力を十分に備えている(“The nation’s largest banks are significantly stronger than before the crisis and would be well-positioned to support the economy even after a severe shock.”)」としていた。また、試算した損失額は過去の数値におおむね匹敵するもので、最も大きな損失はクレジットカード、次いで商業・企業融資で発生するとの見方を示した。

ただ、この結果が報じられた際には自分の所有しているシティやJPモルガン・チェース株は、株価の変動が普段とあまり変わらない範囲で収まっていたのと、2019年6に何を購入するかの検討に集中していたので、2019年のストレステスト第1弾の結果を整理するまでには至らなかった。


ストレステスト第2弾結果

ストレステスト第2弾の目的は各行が資本計画を実施する力を備えているかを審査するもので、結果次第では配当金の支払いや自社株買いができなくなる可能性があるため、最近の配当重視の自分としては第1弾よりも注目していた。

結果18行のうち、自分の所有しているシティ、JPモルガン・チェースを含む16行は問題なく合格。ドイツ銀行は2015年、16年、18年と過去4年で3回不合格となっていたので市場で注目されていたが、今回は合格。そして条件付き合格となってしまったのはクレディ・スイス。FRBは、クレディ・スイスについては市場緊迫化の際のトレーディング損失の想定に甘さがあり、資本レベルの妥当性と資本計画のプロセスに懸念があると指摘。それを改善しない限りは資本還元を昨年並みに制限するとともに、10月までに対応を命じている。


ストレステストの結果を受けてシティグループとJPモルガン・チェースの配当はどうなったか

2弾のストレステストで資本計画の審査を受けた結果、シティとJPMはそれぞれ配当についての発表をしている。

以下はそれぞれコーポレートサイトのニュースより引用・抜粋。

シティグループ:

  • increase of Citi’s quarterly common stock dividend from $0.45 to $0.51 per share (subject to quarterly approval by Citi’s Board of Directors) (シティの四半期毎の普通株式配当を1株当たり0.45ドルから0.51ドルに増額する(シティの取締役会による四半期毎の承認を受け))
  • a common stock repurchase program of up to $17.1 billion during the four quarters starting in the third quarter of 2019(2019年第3四半期から始まる4四半期の間に、最大171億ドルの普通株式買戻しプログラムを行う)

JPモルガン・チェース:

  • JPMorgan Chase’s Board of Directors intends to increase the quarterly common stock dividend to $0.90 per share (up from the current $0.80 per share), effective the third quarter of 2019(JPモルガン・チェースの取締役会は、2019年第3四半期から四半期毎の普通株式配当を1株当たり0.90ドル(現在の1株当たり0.80ドルから増額)に引き上げる予定)
  • authorized gross common equity repurchases of up to $29.4 billion between July 1, 2019 and June 30, 2020 under a new common equity repurchase program. (201971日から2020630日までの間に、新たな普通株式買戻しプログラムに基づき、最大294億ドルの総普通株式買戻しを承認)
  • The 2019 third quarter dividend would be payable on October 31, 2019, to shareholders of record at the close of business on October 4, 2019. (2019年第3四半期の配当金は、20191031日に、2019104日の営業終了時の株主に支払われる予定)

まとめ

ということでシティは約13%JPモルガン・チェースは約12.5%の増配を近々する予定。シティは増配、権利落ち日については627日時点では触れていないが、例年通りであれば8月に受け取る予定の配当から増配がなされるのだろう。

今回の配当増や株式買戻しによる自己資本強化は、既に株式を所有している(JPM100株とごく僅かなのだが…)自分としてはありがたい。

所有株数の多いシティについて述べると、直近の税引後受取配当は20195月の約20万円。これが13%増えるとなると(為替を無視すると)四半期配当は約22.6万円になり、四半期で2.6万円、年間で約10万円の配当増が見込める。⇒ これは見込違いだった。計算のベースに税金を考慮していなかったことが原因。実際の配当は為替の下落もあり約21.9万円

ちなみに20148月から20198月(予定)までのシティグループの配当推移は以下の通り。

このグラフ前の世界金融危機の影響が大きかった20094月~201110月までは無配、2011年6月から20153月まで@0.01ドルの配当だったことを思うとよく回復してくれたものだ。株価も一時は1ドルを切る勢いだったからなあ。

ただ今回のストレステストの結果は良かったのだが、今後米連邦準備理事会(FRB/連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げが見込まれており、その時期やタイミングなどによっては株価が大きく変動する可能性があると思うので、まだまだ安心はできない。

シティグループ株は自分のポートフォリオの中で一番大きな割合を占めているので、その影響はどうしても大きくなってしまう。今後の投資は先行きが今一つ読めないシティ株はこのままにしておいて、他の銘柄を買い足すのが基本になるだろうなあ。

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