はじめに
昨日2020年6月15日(月)の米国市場は開場早々は先週のコロナ第2波懸念の流れを受けて大きく下がっていたのだが、掲題の発表がFRB(連邦準備制度理事会)からなされたことで最終的にはプラスに転じる結果となった。以下はダウ工業平均のチャート。
就寝する前は自分の資産も一時3万ドルを超える下落だったと記憶しているのだが、
5000ドル程のプラスで終わり、再び100万ドルに到達した。
結果的に上昇で終わってくれたのは嬉しいのだが、何故FRBが社債買い入れを発表したことでこれだけ市場が上昇したのかよく分かっていないのが正直なところなので、その関係について自分なりに整理しておくことにする。
2020年6月15日のFRBの発表内容
以下はFRBのサイトより引用・抜粋。
- The Federal Reserve Board on Monday announced updates to the Secondary Market Corporate Credit Facility (SMCCF), which will begin buying a broad and diversified portfolio of corporate bonds to support market liquidity and the availability of credit for large employers.
連邦準備制度理事会は月曜日に市場における企業の流動性と大規模な雇用者の信用の可用性をサポートするために、社債の幅広い分散ポートフォリオを購入し始める流通市場企業信用枠(SMCCF)の更新を発表しました。 - As detailed in a revised term sheet and updated FAQs, the SMCCF will purchase corporate bonds to create a corporate bond portfolio that is based on a broad, diversified market index of U.S. corporate bonds.
改訂されたタームシートと更新されたFAQに詳細が記載されているように、SMCCFは社債を購入して、米国の社債の広範で多様化した市場指数に基づく社債ポートフォリオを作成します。 - This index is made up of all the bonds in the secondary market that have been issued by U.S. companies that satisfy the facility’s minimum rating, maximum maturity, and other criteria.
この指数は、米企業が発行した流通市場の社債で、SMCCFが定める最低格付け条件や最大償還期限といった基準を満たすもの全てで構成されています。 - This indexing approach will complement the facility’s current purchases of exchange-traded funds.
この指数に基づくアプローチは、ファシリティ(SMCCF)が現在行っているETFファンドの購入を補完します。
何故この発表で市場が上昇したのか
各種報道を調べてみるとどうも、
- これまでFRBの緊急融資プログラムであるSMCCF(セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ)が5月に始めた買い入れは上場投資信託(ETF)に限定されていた
- 今回の追加購入ではETFに限らず、SMCCFが定める基準を満たす米個別企業の社債も買い入れの対象となる
- これまで企業は緊急プログラムで示された制限を順守していると証明する必要があった
- 今回はFRB内部で指数(基準)を作成し、それを満たせば買い入れの対象となる
という違いが市場に好感されたようだ。確かに素人考えでもETFに限定されない広範な社債をその基準を引き下げて購入してくれるのは実効性があるだろうし、FRBが引き続き積極的な景気支援を行う姿勢であるとも受け取れる。
ちなみにこの発表がなされたのは現地時間14時。先に挙げたダウ工業平均のチャートも14時で急上昇している。
まとめ
という事で冒頭に上げた「何故FRBが社債買い入れを発表したことでこれだけ市場が上昇したのか」という点については自分の中では一応の納得が出来た。また今週はFRB議長のパウエル氏が議会証言などを行う予定なので、その発言内容によって市場が変動するのだろう。
最後に先週の大幅下落、そして昨日前半の下落の要因であるコロナ第2波の懸念が解消されたわけではない事は忘れてはいけない。後10日もすると自分の定期購入タイミングだが、FRBの景気支援策への期待はあるが、コロナ第2波の懸念についても注意深く判断する様に気を付けないと。