はじめに
アメリカ現地時間の2020年1月21日にボーイング(BA)が737MAXの運航再開についての発表をしたが、1月22日はボーイングに関して掲題の報道があったほか、色々な報道があったので整理してまとめておく。
アナリストのボーイングの投資格付けまとめ
1月21日のボーイングの発表を受けて、翌日2人のアナリストが投資格付け、目標株価を引き下げている。
- Vertical Research PartnersのアナリストRobert Stallard氏が1月22日にボーイングの投資格付けをBuyからHoldに格下げし、目標株価を従来の388ドルから294ドルに引き下げた
- CFRAのアナリストJim Corridore氏も1月22日にボーイングの投資格付けをBuyからHoldに格下げし、目標株価を従来の427ドルから350ドルに引き下げた
Stallard氏は、
- 火曜日に公開された運航再開スケジュールは“bad enough” で、その影響は“have yet to reverberate「まだ反映されていない」”
- “From a Boeing perspective, this means over a year without deliveries of its most profitable product line, while customer compensation costs are likely to be higher than previously thought,”
「ボーイングの観点から見ると、これは最も収益性の高い製品ラインを納入せずに1年以上を意味するが、顧客に対する補償費は以前考えられていたよりも高くなる可能性が高い」 - “As we noted in our 4Q19 earnings preview, we are expecting Boeing’s up-coming results to be ‘an absolute disaster,’ and that now looks guaranteed.” 「4Q19の収益プレビューで指摘したように、ボーイングの今後の結果は「目も当てられない状態」になると予想しており、現在そうなる事は確実に見える」
と述べており、Corridore氏は、
- “We still think (Boeing) has an amazing aerospace franchise, a strong order book and strong commercial, military, and services businesses that will persist for many years; however, we think the Max grounding has gone on far longer than our initial worst-case scenarios, and we worry that the company does not have the right people in place to manage this crisis,”
- 「(ボーイングには、)驚くべき航空宇宙フランチャイズ、強力な注文、そして長年にわたって続く強力な商業、軍事、およびサービス事業があるとまだ考えています。ただし737MAXの運航停止は最初の最悪のシナリオよりもはるかに長く続いたと考えており、この危機を管理する適切な人材が会社にないのではないかと心配しています」
としている。
1月22日のボーイングCEOカルホーン氏の発言まとめ
一方でボーイングCEOのカルホーン氏は記者との電話会議を22日に行っている。以下はその発言のまとめ。
- “financial capacity and capability to do the things we need to do.”
「(ボーイングには)必要なこと(=配当金支払い)を行うため十分な財務力があります」 - “will stay on that path unless something dramatic changes.”
「何か劇的なことが起きない限り、(配当金支払いの)軌道から外れません」 - “will slowly, steadily bring our production rate up a few months before that date in the middle of the year.”
「年の半ばのその日付(運航再開)の数ヶ月前にゆっくりと着実に生産率を上げます」 - “Production will be reinvigorated months before that moment in June, because we’ve got to get that line started up again,”
「生産は6月のその瞬間の数ヶ月前に再活性化されます。そのラインを再び立ち上げる必要があるからです」 - “The supply chain will be reinvigorated even before that.”
「サプライチェーンは、それ以前に再活性化されます。」 - (一部で報道のあった737MAXのブランド変更については)“sort of silly”「馬鹿げている」としている
トランプ大統領のCNBCインタビューコメント
同じく22日水曜日にCNBCのJoe Kernen氏が、21日発表されたボーイングの737MAXスケジュールついてトランプ大統領にインタビューした際のコメント。
- The Boeing situation is a ‘big disappointment’
ボーイングの状況は「大きな失望」です - “This is one of the greatest companies of the world, let’s say, as of a year ago and all of a sudden things happened.”
これは世界で最も偉大な企業の1つです、言ってみれば1年前の時点では、そして突然のことが起こりました
これは先週の米中「第一段階」通商合意調印時に、ボーイングの幹部に737MAXの問題を迅速に解決するよう促したとの報道とも関係しているのだろう。
まとめ
こういった報道が飛び交った結果、昨日のボーイングの株価終値は、
と21日に続いて続落となった。アナリストの格下げの割にはそれほど株価が下がっていない印象。
個人的には、先日不安視したボーイングの減配や配当停止がなさそうだ、ということに一安心。ただし、ここ数年続いた1年ごとの増配は途切れているのだが…。
何度も繰り返しているが、結局来週の四半期発表を待って判断するしかないのだろう。ボーイングに関しては、状況が変わり過ぎて短期的にどう判断するかは非常に難しい。
このように単一銘柄の報道・情報が数多くなされると、自分としてはそれだけで購入はしないまでも検討候補に組み入れてしまいそうになるが、実際にはボーイングの配当率が現時点で2.66%と自分の所有銘柄の中では高くないので、購入優先度はそれ程でもない、という点は忘れずに、情報収集を行い客観的な判断を心掛けたい。