2026年4月1日のトランプ大統領の国民向け演説と市場の動き

はじめに

現地時間2026年4月1日(火)の21時、トランプ大統領が米国民へ向けての演説を行った。

1日前の3月31日の米国市場はウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道とペゼシュキアン大統領の発言から中東情勢鎮静化への期待が高まった事を受けて大幅上昇しており、トランプ大統領の演説内容がどういった内容になるのか非常に注目が集まっていた。

以下、トランプ大統領の演説内容とそれを受けて4月2日の市場がどう反応したかについて整理しておく。


2026年4月1日のトランプ大統領による国民向け演説の主な内容

演説は米国市場閉場後の21時頃、演説時間はおよそ17分。

  • エピック・フューリー作戦は迅速かつ決定的で、圧倒的な勝利をもたらした
  • イラン軍は壊滅的状態にある。中核的な戦略目標がほぼ達成されつつあることは喜ばしい
  • 今後2~3週間で極めて厳しい攻撃を加える。彼らを本来いるべき石器時代に引き戻すつもりだ
  • その間も協議は継続中だ。新しい(指導者)グループは以前より過激さが薄れ、はるかに理性的だ
  • この期間中に合意に至らなければ、われわれは重要な標的を狙う
  • 米国は同盟国を支援するために存在している。いかなる形であれ、損害を受けることを許さない
  • 多くの米国人がガソリン価格の上昇を懸念しているが、ガソリン価格の高騰はイランによる湾岸地域での石油タンカー攻撃の結果であり、軍事作戦とは何の関係もない
  • (事態が終結すれば)ガソリン価格は再び下がる
  • 米国は中東とは完全に独立しており、我々は彼らの石油を必要としていない
  • (ホルムズ海峡について)我々は支援するが、主導権は他国が握るべきだ。彼らはあの航路を守り、大切にし、確保しなければならない。そしてそれは容易に可能だ
  • ホルムズ海峡は、作戦が終われば自然に開通する可能性もある
  • (今回の作戦について)米国が過去に関与した幾つかの戦争に比べてはるかに短期間だ

期待されていた終結時期についての明確な見通しについては触れられず、米国内で不満が高まっているガソリン価格上昇(直近1週間で1ガロン=4ドルを超え、約4年振りの高値水準)についても具体的な対策への言及はなし。一方で事前の英テレグラフ紙とのインタビューで懸念があったNATOからの脱退については触れられなかった。


2026年4月2日の市場の動き

米国主要3株式指数

時間前取引ではトランプ大統領の演説後に大幅下落。本取引もその流れのまま前日比1.5%を超える下落で始まったのだが、その後は何故か急速に回復して前日比ほぼ変わらずで取引を終えている。

S&P 500の日中の動きを見てみると

現地時間の9:45頃に上昇に転じ、10時半過ぎに更に一段高となってほぼ前日と同等の水準となって、そのままほぼ横ばいで取引を終えている。

調べてみるとまず9:45頃の上昇は国営イラン通信(IRNA)が、イランのガリババディ外務次官の話として「イランは原油輸送の要衝ホルムズ海峡の船舶の航行を監視するため、協定文書をオマーンと共同で作成している」と報じ、10時半頃はブルームバーグなどの欧米メディアがそのニュースの詳細とガリババディ外務次官のロシア紙スプートニクへのインタビューなどを報じたためと思われる。以下主な内容をブルームバーグの報道より引用・抜粋。

  • 国営イラン通信の報道
    • イランはホルムズ海峡の通航を監視するため、オマーンと協定案を策定している
    • これらの要件は当然ながら制限を意味するものではなく、船舶の安全な通航を促進し、より良いサービスを提供することを目的としている
    • 平時であっても船舶の通航はイランおよびオマーンによる監督と調整の下で行われるべきだ
  • ロシア紙スプートニクのインタビュー報道
    • ホルムズ海峡の通航料設定を検討している
    • まだ検討段階にあるとし、具体的な料金について議論するのは時期尚早

米国10年債

やはり前日のトランプ大統領の演説への失望感から利回りは上昇(債権売り)で始まったが、こちらは米株式市場開場前の上記米中部夏時間のチャート8時(米東部夏時間では9時)頃から利回りが低下傾向に転じている。明確な理由は判然としないが売られ過ぎとの思惑からの買いが入ったものと思われる。その後株式市場で大きな動きがあった時間(上記米中部夏時間のチャートでは8:45頃と9時半過ぎ)を超えると、株式市場と同様に落ち着いた動きでの推移で取引を終えている。

ドル円為替

トランプ大統領の演説が行われた上記チャート(GMT+1)の4月2日2時頃に、それまでの1ドル=158.75円近辺から159.4円程度まで大幅にドル高に。その後トランプ大統領の演説を受けて革命防衛隊(IRGC)が報復宣言をすると1ドル=159円半ばを超える推移となった。そしてイランのガリババディ外務次官の発言報道を受けてややドル安の流れとなり1ドル=158.25円程度となったものの長くは続かず1ドル=159円台半ばを少し上回る程度での推移が続いている。

ニューヨーク原油先物

トランプ大統領の演説を受けて、それまで1バレル=98ドル近辺から103ドル程度まで上昇。その後もジリジリと上昇して一時113ドル台を突破。その後イランのガリババディ外務次官の発言報道を受けてやや値を戻したものの一時的なものにとどまり、1バレル=112ドル近辺での取引が続いている。


まとめ

以上、2026年4月1日のトランプ大統領の演説、それを受けての市場の動きについてまとめてみた。

総じてトランプ大統領の演説には目新しいものがなく、事態鎮静化へ向けての懸念が強まったことからいずれの市場も敏感に反応。翌日の米国株式市場はイランのガリババディ外務次官の発言報道を受けてやや持ち直したものの、ドル円為替やニューヨーク原油先物への影響は限定的で、トランプ大統領の演説前にあった事態鎮静化への期待が後退する結果となっている(債権市場は取引終了時間が早いので判断できず)。

結局事態の不透明さは払拭されず、まだまだ日々の情勢の変化によって市場が動く日々が続きそうだ。現地時間の4月3日(金)は米国市場はグッドフライデーのため休場だが、米雇用統計は発表される。米・イスラエルのイラン大規模攻撃開始の影響がどういった形で表れるのか(あるいは表れないのか)に注意しておきたい。

それにしても、わざわざ行ったにしては本当に期待外れの演説内容だったなあ・・・。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする