中東情勢鎮静化の期待から2026年3月31日の米株式市場が大幅高

はじめに

2026年2月28日に米・イスラエルがイランに大規模攻撃を行って以来、米国株式市場は状況により多少反発することはあっても、基本的には以下の自分の資産まとめで触れている様に下げ基調だった。

2026年2月の米/イスラエルによるイラン攻撃後初めての米国市場

米/イスラエルのイラン攻撃が起こった2026年3月第1週の資産

米/イスラエルのイラン攻撃から2週経過後の資産(2026/3)

米/イスラエルのイラン攻撃から3週経過後の資産(2026/3)

しかし2026年3月31日(水)の米国主要3株式株式市場は

いずれも2%を超える大幅高。2月末からのS&P 500の推移をみても

この上昇幅は際立っている。

調べてみると中東における軍事作戦が近々終了する可能性があるとの観測が出たことが、大幅反発の要因だったようだ。

以下、それらの点について簡単にまとめると共に、市場がどう反応したかについて整理しておくことにする。


2026年3月30日(火)~31日(水)の中東情勢に関する動き

  • 2026年3月30日
    • 米国株式市場閉場後、ウォール・ストリート・ジャーナル誌が、政権当局者の話として、トランプ大統領は原油輸送の要衝ホルムズ海峡がほぼ閉鎖されたままの状態でもイランに対する軍事作戦を終了し、海峡再開に向けた複雑な作戦は後日に先送りする用意があると側近に述べた、と報道
  • 2026年3月31日
    • 米国市場開場前のヘグセス国防長官とケイン統合参謀本部議長の共同記者会見におけるヘグセス国防長官の発言
      • イラン軍で大規模な離反が発生している
      • 今後数日間が決定的なものとなる
      • イランはそのことを承知しており、軍事的にできることはほとんどない
      • われわれの選択肢は増えている一方で、イランは選択肢を失っている
      • 米国がイランの脅威を低減するための取り組みの大部分を担ってきた
      • 原油輸送の要衝ホルムズ海峡の航行再開に向け他の国が一段と大きな役割を果たす必要がある
    • イスラム共和国通信(IRNA)がイランのペゼシュキアン大統領の以下の発言を報道
      • 我々はどの段階でも自分たちから緊張や戦いを求めたことはない
      • 必要な条件、特に侵略の再発を防ぐために必要な保証が得られれば、この戦いを終結させる決意がある
    • 米国市場閉場後のトランプ大統領の記者団に対する発言
      • (イランに対する軍事作戦に関して)われわれは間もなく撤退するだろう
      • ホルムズ海峡は非常に安全になると思うが、海峡で何が起ころうと我々は関与しない
    • ホワイトハウスのレビット報道官がSNS、明日の夜9時(東部時間)、トランプ大統領はイラン情勢に関する重要な最新情報を提供するため、国民向け演説を行う予定と投稿

2026年3月31日の市場の動き

米国主要3株式指数

冒頭にも触れたがいずれも大幅上昇。これは2025年5月に米中の大幅関税が一時引き下げられた際以来の上昇幅。

日中のS&P 500の動きを見てみると

前日のウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道を受けて前日比1%上昇となり1.5%まで上昇。その後やや下落し前日比1%上昇となったがまた盛り返し前日比1.5%近い上昇幅での推移が続く。そして現地時間12:30過ぎにイランのペゼシュキアン大統領の発言が報道されると一段高となり前日比2.5%の上昇に。そこからもジリジリと上昇し、結局前日比3%近い上昇で取引を終えている。

アメリカ、イラン双方から事態鎮静化の発言が見られたことが株式市場の上昇に寄与したのだろう。

米国10年債

やはり前日のウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道の影響か、開場直後から利回りは低下(債権買い)して始まる。その後はやや利回りが上昇したものの、やはりペゼシュキアン大統領の発言を受けて(米国株式市場のチャートは米東部夏時間、10年債のチャートは米中部夏時間のためズレがある)利回りはまたも大きく低下。その後再び利回りが上昇はしたが、最終的には前日比利回り低下で終えている。

株式市場とはやや異なり、当日の動きが今後の金利政策にどう反映されるかに敏感に反応したようで、利下げの確率が高まったことでそれほど大きな利回り低下にはつながっていない模様。

ドル円為替

ウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道がなされた上記チャートのGMT(英国標準時)+1の3月31日2:00頃まではドル高傾向にあり1ドル=159.9円台だったのだが、そこからドル安に転じ1ドル=159.5~7円の動き。そしてペゼシュキアン大統領の発言報道(上記チャートの12時頃)からドル安ペースが加速し、1ドル=158円半ばまで。その後は1ドル=158円台半ばから159円近くの範囲で動きの激しい取引となっているが、基本的にはドル安傾向となっている。

やはり中東情勢の鎮静化への期待が大きく、有事のドル買いが一休みしたものと思われる。

ニューヨーク原油先物

3月30日夜には1バレル=106ドル台で上昇傾向だったが、同日のウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道をキッカケに1バレル=101ドル近辺に。その後3月31日は中東情勢に関する報道や米政権の発言などから方向感が定まらないながらもやや上昇して1バレル=102~105ドルの範囲での荒い動き。そしてやはり他の市場と同様、ペゼシュキアン大統領の発言報道があった12:30頃に1バレル=100ドル台まで下落。その後は主に101~103ドルの範囲での動きとなったが、4月1日の欧州市場が本格化すると更に1バレル=103ドル近辺から98ドル程度まで下落。ただ下げ止まった後は再び上昇し、1バレル=100ドル前後での取引となっている。


まとめ

以上、2026年3月31日の米国株式市場大幅上昇の理由とその他市場の動きについて整理してみた。

各市場の動きを見てみると、ウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道とペゼシュキアン大統領の発言報道が大きく影響していたことが判る(トランプ政権関係の発言も概ねウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道と方向性は同じ)。それらを受けて事態鎮静化への期待が米・イスラエルのイラン大規模攻撃開始以来、これまでにないほど高まったためだろう。

ただあくまで期待が高まったというだけで、本当に事態が鎮静化へと向かうのかは未だ不透明。現地時間4月1日午後9時(日本時間では4月2日午前10時)に予定されているトランプ大統領の米国民向け演説がどの様な内容なのか、そしてそれを受けて市場がどう反応するかに注目したい。市場(というよりも世界全体)の期待を損なうことが無ければいいのだが・・・。

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