はじめに
これまで以下で何度かまとめてきたが
ボーイング(BA)が16年振りにストライキ突入(2024/9)
ボーイング(BA)のストライキ現状(2024/10/8時点)
ボーイング(BA)が1.7万人規模リストラ、他(2024/10)
ボーイング(BA)2024年第3四半期決算発表(2024/10)
ボーイングの労組は現地時間2024年9月13日(金)から2008年以来約16年振りのストライキに突入していた。そのストライキが2024年11月4日(月)に合意され、ストライキは2ヶ月弱でようやく終結した。
ここではストライキの流れを簡単に振り返ってみると共に、ストライキが終結した直後の11月5日(火)のボーイング株がどう動いたかについて整理しておくことにする。
2024年ボーイングのストライキ開始から終結までの流れ
- 9月8日(日)、ボーイングは声明で、シアトルの労働者を代表する組合と合意に達し数週間に及ぶ交渉が終結した、と発表
- 9月12日(木)、ワシントン州シアトルとオレゴン州ポートランドの工場従業員約3万人の従業員による投票が行われ、ボーイングが労働組合と暫定的に合意した労働協約の拒否に94.6%が賛成、ストに96%が賛成
- 9月13日(金)、米太平洋時間午前0時から16年振りのストライキに突入
- 9月23日(月)、ボーイングがストライキを続ける労働組合に対して「最善にして最終」とする以下の内容などを含んだ提案を労組執行部に送る
- 9月23日(月)、労組はボーイングの提案を組合員の投票にかけることを拒否
- 9月24日(火)深夜、労組は月曜日に行った組合員へのアンケート結果(投票ではない)で新たな提案が圧倒的に明確(反対)であったと発表
- 10月8日(火)深夜、ボーイングはストライキを実施中の労働組合に提示していた賃上げ案を撤回し、交渉を中断
- 10月11日(金)、ボーイングは今後数ヶ月で従業員総数を約10パーセント(1万7000人)削減する予定と発表
- 10月23日(水)深夜、労働組合員は4年間で35%の賃上げを含むボーイング側の新たな労働協約案を64%の反対票で拒否し、ストライキを継続することを決定
- 11月4日、労組は4年間で38%の賃上げなどボーイング側が示した新たな労使契約案に59%が賛成票を投じストライキは終結
- 4年間で38%の賃上げ
- ストライキ前のボーイング提案は4年間で25%の賃上げ、労組は4年間で40%の賃上げを要求
- 確定給付型年金は復活しないが、401kプランの会社マッチング拠出が増額
- ストライキ前のボーイング提案は特になし、労組は確定給付型年金の復活を要求
- 4年間で38%の賃上げ
- 11月4日(月)の最高経営責任者(CEO)Kelly Ortberg氏の従業員宛てのメール及びボーイングの発表
- この数ヶ月はわれわれ全員にとって困難なものだったが、みな同じチームの一員だ
- ボーイングを象徴的な企業にした卓越性を取り戻すために、多くの仕事が待ち受けている
- 新しい4年契約終了時の機械工の平均年間給与は以前の75,608ドルから119,309ドルに増加
ボーイングのストライキ終結後の株価
ストライキが終結した直後の11月5日(火)のボーイング株は
前日比2.62%の下落。同日の米国市場が
主要3市場がいずれも1%を超える上昇であったことを考えると、懸念であったストライキが終結したにもかかわらず市場に比べて下落幅が大きいのは意外の感がある。米国市場開場直後は上昇して始まったのだが、すぐにマイナス圏に沈み右肩下がりで取引を終えている。
ストライキがようやく終結したとはいえ、航空機の生産再開までは時間がかかる(一部の労働者には再訓練が必要)との慎重な見方や賃上げがもたらす財務的な影響(4年間で約11億ドルの賃金増、確定拠出年金へのマッチングで更に4億ドル増との試算もある)がボーイング株下落の要因だったのだろうか。
今後のボーイング株だが、自分はストライキが終結したことで単純に株価が上昇すると思っていただけに、11月5日のボーイング株が下落したことは残念ながらまだまだ先が長いことを痛感させられた。しばらくはストライキ終結以降の実際の航空機生産/納入の動きを見ていく必要があるのだろう。