はじめに
先月から大規模なストライキが続いている自分の所有銘柄であるボーイング(BA)が、2024年10月11日(金)にストライキの影響も加味して掲題のリストラを含めたいくつかの情報を発表している。
発表は米国株式市場閉場後に行われたため株価への影響は不明だが、以下取り急ぎ発表された内容について確認し、整理しておく。
2024年10月11日のボーイング発表
以下はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。発表は2件ありタイトルはそれぞれ「Boeing Reports Preliminary Third Quarter Results(ボーイング、第3四半期の暫定業績を発表)」と「Boeing CEO Message to Employees on Positioning for the Future(ボーイングCEO による従業員向け未来へのポジショニングについてのメッセージ)」。
ボーイング、第3四半期の暫定業績を発表
- ボーイングは本日、10月23日に第3四半期の業績を発表する際に、商用機部門および防衛・宇宙・セキュリティ部門の特定プログラムに対する費用とIAMの作業停止に関連する財務実績への影響が見込まれると発表
- 売上(Revenues):178億ドル
- GAAPベースの1株当たり損失:9.97ドルの損失
- 営業キャッシュフロー:13億ドルの損失
- 四半期末の現金及び市場流動性のある資産:105億ドル
- 最高経営責任者(CEO)Kelly Ortberg氏のコメント
- 当社の事業は短期的な課題に直面しているが、当社は将来に向けて重要な戦略的決定を下しており、会社を立て直すためにやらなければならない仕事について明確な見通しを持っている
- これらの断固たる行動と事業の主要な構造的変化は、長期にわたって競争力を維持するために必要である
- 商用機部門
- 777Xと767開発プログラムで30億ドル(777Xで26億ドル、767で4億ドル)の税引前利益費用を計上する予定
- 現在777-9の初納入を2026年(以前は2025年)、777-8貨物機の初納入を2028年と予定
- 767貨物機の生産を終了する。ボーイングは2027年からKC-46Aタンカーをサポートするために767-2Cのみを生産する
- 商用機部門の第3四半期売上高は74億ドル、営業利益率がマイナス54.0%になると予想
- 防衛・宇宙・セキュリティ部門
- T-7A、KC-46A、商業乗員機、MQ-25プログラムで20億ドルの税引前利益費用を計上する予定
- 防衛・宇宙・セキュリティ部門の第3四半期売上高は55億ドル、営業利益率がマイナス43.1%になると予想
ボーイングCEO による従業員向け未来へのポジショニングについてのメッセージ
- 当社の事業は困難な状況にあり、我々が共に直面している課題は、いくら強調してもし過ぎることはない
- 現在の環境を乗り越えるだけでなく会社を立て直すには厳しい決断が必要であり、競争力を維持し、長期にわたってお客様にサービスを提供し続けるためには、構造的な変更を行わなければならない
- 我々は直面している仕事について明確な見通しを持ち、回復への道の重要なマイルストーンを達成するのにかかる時間について現実的に考える必要がある
- また、あまりに多くの取り組みに手を広げると成果が上がらず、投資も不十分になることが多いため、中核となる分野での成果と革新にリソースを集中させる必要がある
- それらを念頭に置き、今日はいくつかの難しい決断とプログラムの更新についてお知らせする
- 777Xプログラムでは、開発で直面した課題、飛行試験の一時停止、継続的な作業停止により、プログラムのスケジュールが遅れることになる。現在、最初の納入は2026年になる予定であるとお客様に通知している
- 当社は顧客から注文を受けた残りの767貨物機を製造・納入した後、2027年に商用プログラムの生産を終了する予定。KC-46Aタンカーの生産は継続される
- BDS(防衛・宇宙・セキュリティ部門)では 、固定価格開発プログラムのパフォーマンスが必要な水準に達していない。商業派生製品の作業停止、継続的なプログラム課題、767貨物機の生産完了の決定により、今四半期はBDSで大幅な新規損失が発生すると予想している
- 上記の措置に加え財務状況に合わせて、より重点を置いた優先事項に合わせて従業員数のレベルも再設定する必要がある。今後数ヶ月で従業員総数を約10パーセント(1万7000人)削減する予定である。削減対象には、幹部、管理職、従業員が含まれます。来週リーダーシップチームが、これが何を意味するかについて、よりカスタマイズされた情報を共有する
- この決定に基づき、次の一時帰休サイクルは実施しない*
*先日ボーイングのストライキ現状をまとめた際に触れたが、ストライキ期間中、一部の従業員を対象に4週ごとに1週間の一時帰休を実施していた。
まとめ
冒頭で述べた様にこれらの発表は米国株式市場閉場後に行われたため、株価にどの様な影響を与えるかは不明。
暫定決算内容と現在の市場予想を比べてみると
- 売上高:178億ドル ⇒ 市場予想は186億ドル
- GAAPベースの1株当たり損失:9.97ドルの損失 ⇒ 市場予想は1.65ドルの損失
- 営業キャッシュフロー:13億ドルの損失 ⇒ 市場予想は38億ドルの流出
となっており、これらと発表されたリストラ策や開発プログラムの変更などの情報を週明けの市場がどう判断するか、そしてこの発表を受けて労働組合(IAM)がどう反応するかについて要注目だろう。一体いつになったらストが終結するのやら・・・。
先日のストライキまとめで「現状些細な事がキッカケで株価が急落する可能性があると思っている」と書いているのだが、このボーイングの発表がそのキッカケとならないことを願いたい。
補足
ちなみに10月14日(月)米国市場開場前の時点で以下の証券会社が目標価格を引き下げている(投資格付けの変更があったかは現時点では不明)。
JP Morgan:235ドルから195ドルに引き下げ
Wells Fargo:110ドルから109ドルに引き下げ
TD Cowen:200ドルから190ドルに引き下げ
やはり下落するのだろうが、どの程度の下落となるのかに注目。