2026年11月発表の米雇用統計と市場の動き(2026/11)

はじめに

現地日付2026年11月6日(金)には2026年10月の米雇用統計が米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)から発表された。

前回10月発表の米雇用統計は、市場予想では9万人増だった非農業部門雇用者数が2万9000人増と市場予想を大きく下回ったことで、10月FOMCでの金利据え置き可能性が有力という元々の見方が更に強化される結果となった。

しかし10月半ばの米消費者物価指数(CPI)では根強いインフレ圧力が懸念される結果となり、10月FOMCでの利上げ確率がやや高まったが、まだ据え置きが65%を超えて有力との見方だった。

以降は据え置き有力という見方が徐々に高まり、10月27、28日のFOMC前のCMEのフェドウォッチツールでは金利据え置きの確率が9割を超え、実際のFOMCでも金利は据え置きとなった。そして10月FOMC後時点では、次回12月FOMCでの金利政策は0.25%の利上げが約80%の確率となっていた。

その後は10月末のAI関連銘柄の急落などもあって、12月FOMCでの利上げ確率は約70%程度まで下がり、11月の米中間選挙での民主党大勝により11月4日の米国株式市場大幅上昇、そして翌5日の4日の上昇を帳消しにしただけでは済まない急落という大きな出来事がありながらも12月の利上げ確率に大きな変動は見られず、今回の米雇用統計発表前時点でのCMEのフェドウォッチツールにおける次回12月FOMCでの金融政策は

  • 3.75%~4.00%(金利据え置き):33.1%
  • 4.00%~4.25%(0.25%利上げ):66.9%

となっていた。

そんな状況の中、今回発表された2026年10月の米雇用統計の内容、及びそれを受けて市場がどう反応したのかについて確認し、整理しておく。


2026年11月6日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2026年10月米雇用統計

  • 2026年10月の季節調整済み失業率は4.1%、市場予想は4.2%
  • 2026年10月の非農業部門雇用者数は前月比16万5000人増、市場予想の6万5000人増を大きく上回っている

また2026年8月の非農業部門雇用者数は13万3000人増から5万3000人上方修正されて18万6000人増となり、9月は2万9000人増から3万1000人上方修正されて6万人増となっている。


同日の市場の動き

米国主要3株式指数

米雇用統計の発表は米国株式市場開始1時間前の米東部時間8:30。AI関連ハイテク銘柄の割合の大きいNASDAQ総合が1%を超える上昇で、次に比重の高いS&P 500がやや上昇、そして最も比重の少なうダウ工業平均は下落というまちまちな結果。

今回の米雇用統計を受けてCMEのフェドウォッチツールにおける12月FOMCでの政策金利確率は

  • 3.75%~4.00%(金利据え置き):23.7%
  • 4.00%~4.25%(0.25%利上げ):76.3%

と、冒頭に示した前日の利上げ見込みが更に高まっており、通常利上げ確率が高まると資金調達コストが増加するため、特にAIへの投資に費用が必要なハイテク銘柄は下落するのだが、この日は異なる傾向で、米雇用統計はあまり株式市場には材料視されなかった模様。

これは元々12月のFOMCでの利上げが有力視されていたこと、そして前日11月5日(木)に2026年米中間選挙を受けて2日目の株式市場が

民主党大勝という結果を受けて、AI投資が鈍化するのではという見込みからAI関連銘柄を中心に大きく下落したことに対する反動/買戻しが大きく影響したと思われる。

米国10年債

米雇用統計が発表された米国東部時間8:30は上記チャートのCST(米国中部時間)では7:30。

前日比で利回りは上昇(債権売り)して取引が始まり、米雇用統計が力強いもので12月FOMCでの利上げ確率が高まっあtことで更に利回りは上昇。ただ短時間に留まり、その後は方向感がやや欠ける中で利回りは低下傾向で一時前日利回りを割り込んでいる。ただそこを起点として再び利回りは上昇傾向に転じ、前日比やや利回り上昇で取引を終えている。

こちらも株式市場同様、米雇用統計を受けての12月FOMCでの利上げ見込み強化という点よりも、前日の取引で株価急落を受けて安全資産と見なされる国債に資金が流入し、利回りが低下したことの反動という側面が大きいのだろう。

ドル円為替

米雇用統計が発表された米東部時間8:30は上記ドル円チャートのGMTの13:30。

米雇用統計発表前は1ドル=158.3円前後の推移が続ていた。そして発表を受けて一瞬1ドル=158.5円を超えたものの、その後は方向感が定まらないながらもややドル安の流れで1ドル=158円台前半まで。しかしそこからはジリジリとドル高傾向が続き1ドル₌158.5円近辺での推移。最終的には週の取引終了直前にややドル安となり、結局1ドル=158.4円台で取引を終えている。

チャートの傾向としては米10年債の利回りと類似した傾向が見て取れ、前日1ドル=157円台となっていたドルに対する買い戻しが入ったということなのだろう。


まとめ

以上、2026年11月6日発表の2026年10月米雇用統計と市場の動きについてまとめてみた。

非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回ったのだが、元々有力だった12月FOMCでの利上げ見込みが強化されたに過ぎないこと、そして前日11月5日(木)の2026年米中間選挙を受けて2日目の市場の反動が顕著に表れ、米雇用統計事態はそれに埋没してしまった感がある。

今回の米雇用統計結果を経て12月FOMCでの利上げが有力の流れは変わっていないのだが、上述した様に今回の米雇用統計結果は米中間選挙の結果を受けて2日目の取引における変動に埋没している感があり、12月FOMCでの利上げが市場に十分に織り込まれているのかについてはやや懸念が残る。

特に米雇用統計前日の米国株式市場の大幅下落は、AI関連銘柄への懸念が大きな要因となっており、利上げはAIへの投資コストが嵩むそれらの銘柄の資金調達コスト増につながるため、注意が必要だと思うのだが・・・。

とりあえず米中間選挙後2日目の米国株式市場の大幅な下げは止まってくれた(ダウ工業平均は続落したが)が、週明けの市場で大きな変動がないとは言い切れず予断を許さないだろう。今回の米雇用統計の結果を受けての12月FOMCでの利上げ見込みが、市場に織り込まれており、今後の株式市場の大きな変動要素にならないでくれることを願いたい。

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