2026年9月発表の米消費者物価指数(CPI)と市場の動き

はじめに

米国日付2026年9月11日(金)に2026年8月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。

前回2026年8月発表のCPIは市場予想とほぼ一致していたたこともあって、その前週に発表されていた米雇用統計と同様に利上げ観測がやや後退して9月FOMCでは金利据え置きが6:4で有力となった。

しかし8月28日にウォーシュFRB議長がジャクソンホールでの講演でインフレ抑制に強い姿勢を示したことで利上げ可能性が高まったと市場が判断し、9月FOMCでの利上げ確率は前日の据え置き優勢から利上げ確率57%と利上げ有力へと変化していた。

その後はやや利上げ確率が後退して、CMEのフェドウォッチツールでは9月FOMCでの利上げ確率が据え置き/利上げが拮抗する中で9月4日(金)に発表された米雇用統計は、非農業部門雇用者数が16万2000人増と市場予想を大きく上回る結果となり、再び9月FOMCでの利上げが有力(6:4)となっていた。

9月10日の卸売物価指数(PPI)も利上げ有力との見方を強め、今回CPI発表前日時点でのCMEのフェドウォッチツールによる9月FOMCでの政策金利確率は

  • 3.50%~3.75%(金利据え置き):27.6%
  • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):72.4%

と利上げが70%超で有力となっている。

そんな中で今回発表のCPIはどういう結果となったのか、そしてそれを受けて市場がどう反応したかについて確認し、整理しておく。


2026年9月11日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2026年8月消費者物価指数(CPI)

以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。

  • 2026年8月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は前月比0.4%の上昇、市場予想も0.4%の上昇

  • 2026年8月の前年比消費者物価指数は全品目では3.4%上昇、市場予想も3.4%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比2.4%上昇、市場予想も2.4%の上昇、前月比では0.3%上昇で、市場予想は0.2%の上昇

  • 家庭用食品(Food at home)は前年比2.2%上昇。2026年7月は前年比2.7%上昇
  • 電気代(Electricity)は前年比3.8%上昇。2026年7月は前年比4.2%上昇
  • 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比3.0%上昇。2026年7月は前年比3.2%上昇

今回の主要CPI結果(前年比/前月比総合CPI指数、前年比/前月比コアCPI指数)は前月比コアCPPI指数を除いて市場予想と一致。しかしFRBが目標としている2.0%よりも高い水準にある。


同日の市場の動き

米国主要3株式指数

CPIの発表は米国株式市場開場前の米東部夏時間8:30。

今回CPI発表後のCMEのフェドウォッチツールによる9月FOMCでの政策金利確率が

  • 3.50%~3.75%(金利据え置き):13.5%
  • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):86.5%

と利上げがCPI発表前よりもさらに有力となったにも関わらず、米主要3株式指数はいずれも上昇。CPIの主要項目が市場予想とほぼ一致したこと、CPI前からの9月FOMCでの利上げ有力と言う見方が変わらなかったこと、緩やかながらもインフレ傾向が弱まっていること等で、市場は金利上昇を嫌って下落するのではなく、インフレ抑制はまだ制御可能であるという見方で上昇という結果となったようだ。

米国10年債

CPIが発表された米国東部夏時間8:30は上記チャートのCST(米国中部夏時間)では7:30。

前日とほぼ変わらずで取引が始まったが、CPI結果を受けて9月FOMCでの利上げが有力となったためか利回りは上昇。ただし一瞬のことで発表後30分間で利回りは低下。市場予想とほぼ同等の結果であったことが影響したかもしれない。しかしその後はインフレ抑制の可能性はあるものの、FRBが目標としている2%にはまだ遠いことが意識されたのか、徐々に利回りは上昇して前日比0.63%の上昇で取引を終えている。

CPI結果を受けて利上げ有力見込みが強まりながらも上昇した株式市場に対し、債券市場は利上げ見込み有力となったことにより敏感に反応して利回りが上昇(債権売り)した様に思われる。またトランプ大統領が9月9日に、中間選挙で共和党が下院と上院の過半数を維持した場合、米国の成人に5000ドルを給付すると提案したが、それが財政赤字に繋がるのではという懸念から債券利回りが上昇傾向にある点も影響したかもしれない。

ドル円為替

CPIの発表があった米東部夏時間8:30は上記ドル円チャートのGMT+1の13:30。

CPI発表前はややドル安傾向が続いており1ドル=154円程度。CPI発表を受けて米10年債と同様に一瞬だけ大きく反応しドル高となったものの、その後はドル安となり1ドル=153.5円を割り込む展開。その後はややドル高となり1ドル=153.75円をやや下回る動きが続いたが、取引終了直前に1ドル=153.5円近辺までドル安となって週の取引を終えている。

やはり米10年債と同様にCPI発表を受けて9月FOMCでの利上げが有力となったため一瞬ドル高になったものの、市場予想とほぼ同等の結果であったためかすぐにドル安に。ただその後はややドルが買い戻される動きとなっており、先週からのドル安の流れもあって神経質な取引が続いている様子が伺える。


まとめ

以上、2026年9月発表の8月米CPI結果と市場の動きについてまとめてみた。

今回の主なCPI結果が市場予想とほぼ一致したこともあり、発表前に有力とされていた9月FOMCでの利上げ確率が更に高くなる結果となった。ただ結果を受けて米株式市場は上昇、米国債利回りも上昇、ドル円為替はドル安という自分の想定とは異なる動きとなっている。

通常米FRBの利上げ可能性が高まると、調達金利の上昇から株式市場は下落、米国債は株式からの資金流入により利回り低下(債券買い)、ドル円為替は日米金利差の拡大からドル買いへと動くのだが、今回は上述の様に真逆の結果。原因としては上述した様々理由が考えられるが、それ以外にも(中東情勢など)複数の出来事が絡んで、より複雑な状況になっていると考えられる。

そんな複雑な状況の中で、来週9月15、16日のFOMCそして9月17、18日の日本銀行金融政策決定会合でどの様な結果が出てくるのかに注目したい。そろそろ米中間選挙を睨んでの状況変化も起こり出しているし、2027会計年度の予算も本格化するので、様々な要因が絡んでの神経質な状況が続きそうな気がする。何とか自分の資産に大きな悪影響が出ない形となってくれるといいのだが、どうなるのだろうか。

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