はじめに
2026年7月16日(木)には自分の所有銘柄であるGEエアロスペース(GE)の2026年第2四半期決算発表があった。
前回2026年4月の2026年第1四半期決算時は市場予想を上回る売上高、EPSに加え、通期見通しも維持してレンジの上限見込みとしたのだが、フライト数の見通し下方修正やジェット燃料の高騰などがエンジンを供給しているGEエアロスペースへの懸念として、より強く材料視されたようで5.56%の大幅下落。その際には
「今後のGEエアロスペース株だが、今回の第1四半期決算内容は好調だったものの、中東情勢の影響によるジェット燃料高騰、フライト便数減少見込みなどがGEエアロスペースの業績に影響を及ぼす懸念から大きく下落したことを考えると不透明感は拭えず、株価上昇には期待しない方が良さそうだ。特に短期的には決算後数日の株価が下落傾向となるのかに注意しておきたい。またGEエアロスペースの見通しに含まれている前提/仮定内で事態が落ち着き、新たなネガティブサプライズが発生しないことを願いたい。」
と書いていた。
その後も冴えない状態が続いていたのだが、5月下旬の市場全体の上昇傾向に追随して上昇傾向に転じ、年初来最高値を更新していた。しかし米イランの停戦枠組み合意が不透明になり、攻撃の応酬が再び始まった7月上旬以降は、上述した前回決算での株価下落の要因となった懸念が再燃しているのか下落傾向となっている。
そんな状況の中で今回の決算内容及びそれを受けてGEエアロスペース株はどうなったのか、以下に確認して整理しておく。
2026年第2四半期GEエアロスペース決算概要
以下の内容は、GEエアロスペースの企業サイトより引用・抜粋。
- 2026年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は133億4900万ドル、前年同期は110億2300万ドルで前年同期比21%の増加
- 2026年第2四半期の調整後売上高(Adjusted Revenues)は126億3400万ドル、前年同期は101億5100万ドルで前年同期比24%の増加
- 2026年第2四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は2.02ドル、前年同期は1.66ドルで前年同期比22%の増加
- 2026年第2四半期のフリーキャッシュフロー(純現金収支・Free Cash Flow)は30億2700万ドル、前年同期は21億2000万ドルで前年同期比43%の増加

事業部別業績
【Commercial Engines & Services(CES:商用エンジン及びサービス)】

- 受注(Orders):129億3200万ドルで前年同期比18%増加
- 売上(Revenue):97億3100万ドルで前年同期比27%増加
- 収益(Operating Profit/(Loss)):26億5700万ドルで前年同期比20%増加
- マージン(Operating Profit/(Loss) Margin):27.3%で前年同期は28.9%
【Defense & Propulsion Technologies(DPT:防衛及び推進技術)】

- 受注(Orders):41億3800万ドルで前年同期比12%増加
- 売上(Revenue):34億4300万ドルで前年同期比16%増加
- 収益(Operating Profit/(Loss)):4億7500万ドルで前年同期比18%増加
- マージン(Operating Profit/(Loss) Margin):13.8%で前年同期は13.5%
2026年通期見通し
2026年通期見通しは以下の通り。

- 調整後売上成長率(Adj. revenue growth):10%台後半(High-teens)(前回の10%台前半(Low Double Digits)から上方修正)
- 営業利益(Operating profits):105億5000万~107億5000万ドル(前回の98億5000万~102億5000万ドルから上方修正)
- 調整後EPS(Adjusted EPS):7.65~7.85ドル(前回の7.10~7.40ドルから上方修正)
- Free cash flow:89億~92億ドル(前回の80億~84億ドルから上方修正)
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 第2四半期は、堅調な商用サービスに牽引された新たな大きな成長四半期となった
- 全体の受注は17%増加し、両セグメントとも少なくとも2桁台前半の増加
- 売上高は24%増加し、CESは27%、DPTは16%増加
- 営業利益は18%増加し、両セグメントとも少なくとも10%台後半の増加
- EPSは22%増加、フリーキャッシュフローは43%増加し、コンバージョン率は140%を超えた
- これらの結果は、受注が49%増加、売上高が27%増加、EPSが24%増加、フリーキャッシュフローが31%増加し、コンバージョン率が115%という、非常に優れた上半期を締めくくるもの
- FLIGHT DECK(GEエアロスペース独自のオペレーティング・モデル)は引き続き、大幅な生産量増加を支える運用改善を推進するのに役立っている
- 上半期には商用サービス売上高が32%増加し、エンジン納入総数が31%増加、LEAPエンジンは41%増加
- FLIGHT DECKによるプロセス統合により第2四半期にマサチューセッツ州拠点のF110エンジン納入が前年比50%以上増加
- 環境は依然として変化しているが、アフターマーケットの需要は堅調
- 上半期のフライト数はほぼ横ばいだったが、顧客の行動に変化は見られなかった
- 下半期にはフライト数が緩やかな成長に徐々に戻ると予想しており、約1700億ドルの商用サービス受注残高と合わせて、2026年以降のサービス成長に向けて十分な態勢を整えている
- 最も急速に成長しているプラットフォームであるLEAPに対する需要は引き続き堅調
- エンジンの稼働時間と所有コストの削減は、お客様にとって依然として重要な優先事項だが、当社は最近、アップグレードされたHPTブレードを含むLEAP-1B耐久性キットの認証を完了するという大きなマイルストーンを達成した
- これにより稼働時間が約2倍に改善されることになり、と新規製造への切り替えは来年初めに予定されている
- またLEAPのターンアラウンドタイムも改善しており、現在は約100日で、前年比で2週間以上短縮されている
- 認証関連
- NASAの電動パワートレイン飛行実証(EPFD)プロジェクトを通じて、メガワット級ハイブリッド電気実証機の地上試験を最近完了
- これは、先進的なエンジン、電力システム、および制御を統合することで、ハイブリッド電気飛行の理解における重要なマイルストーン
- XA102適応サイクルエンジンの組立準備審査が完了
- これは、設計段階から組立・試験段階へとプログラムを進める上で重要なマイルストーン
- NASAの電動パワートレイン飛行実証(EPFD)プロジェクトを通じて、メガワット級ハイブリッド電気実証機の地上試験を最近完了
- 通期見通し
- 予想を上回る上半期、そして下半期も好調が続くと予想しているため、通期ガイダンスを全面的に引き上げた
- 質疑応答
- マクロ経済の観点からの見通しについて
- 環境が依然としてダイナミックであることは間違いないが、先ほど述べた通り、現状を見ると顧客の行動に変化がないため、当社の立場は非常に良好だと感じている
- 現時点で当社のMRO(整備・修理・オーバーホール)拠点は大幅に需要超過状態にある。納入数の増加は喜ばしいことだが、残念ながらスペアパーツの納入遅延が増加している
- フライト数に関しては比較的横ばいのパフォーマンスが見られ、90日前にガイダンスを維持せざるを得なかった不確実性が少し残っているが、2027年後半にかけて、明らかに、より力強いレベルで、より正常な環境に戻り始めると考えている
- 下半期のサービス部門について
- サービス部門は受注と売上高の両面で非常に好調な上半期で、通期成長率の見通しを20%台前半に引き上げ、サービス部門は前年比50億ドル増を見込んでいる
- これは4月時点の見通しから約10億ドル増加しており、これがCESの利益見通しを以前の見通しの上限から4億ドルほど上方修正するに至った理由
- ここ数年、我々は直線的な成長を目指して努力しており、その点でも進歩を遂げているが、それでもなお2026年上半期から下半期にかけては、段階的な成長が見込まれる
- 現在のガイダンスにおける下半期のサービス売上は、昨年の非常に好調な下半期(昨年の下半期は上半期から30億ドル増加)から10%台前半の増加となっている
- 総じて我々は非常に良い感触を得ており、この勢いは2027年まで続くはず
- 今後、売上が伸びるにつれてフリーキャッシュフローも成長し続けると予想すべきか、それともキャッシュフローの転換率が正常化し、今後数年間はフリーキャッシュフローがこの水準にとどまると予想すべきか
- 第2四半期の業績には非常に満足しており、キャッシュフローは30億ドルで、前年同期比43%増
- 最も良かったのは、24%の利益成長にもかかわらず、この四半期で運転資本を削減できたこと
- 今年のフリーキャッシュフロー見通し90億ドル超は、わずか1年前の2025年7月に2028年に達成されると予想していた額を上回っている
- 運転資本のパフォーマンスには満足しており、大きな一時的な項目はないので、収益とともにキャッシュフローが増加すると予想しているが、転換率は正常化するはず
- それでも成長に伴い、キャッシュが大幅に増加すると予想している
- 第1四半期の業績が好調だったにもかかわらず、環境への懸念から業績見通しの引き上げを見送ったが、今回は見通しを引き上げた理由について
- 我々の中では、4月をもう一度同じようにやり直すことに疑いの余地はない。紛争がまだ生々しい当時、お客様がどうするのかは分からなかった
- ここ数ヶ月で何度か触れてきたパンデミックからの教訓、不確実性の向こう側に備える必要があるという教訓が、実際に効果を発揮したことを、私たちはより明確に理解した。繰り返すが、特にアフターマーケットにおける需要の回復力を示すさまざまなデータポイントがある
- 現状の不確実性や報道内容を考えると、投資家にとって、業績見通しを早期に引き上げることは得策ではなかったと思う
- 燃料価格の高騰により航空会社が財政的なプレッシャーを受けている状況を踏まえ、CFM56、GE90、あるいは既存のエンジンプログラムの価格戦略に何らかの影響はあるか
- 実際には、航空会社は燃料価格の上昇にもかかわらず、収益性を概ね維持しているのが現状
- 大まかに言えば、今年のスペアパーツカタログの価格設定アプローチは、昨年と一貫したものになる
- マクロ経済の観点からの見通しについて
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2026年第2四半期の調整後売上高(Adjusted Revenues)は126億3400万ドル、市場予想の118億1000万ドルを上回っている
- 2026年第2四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は2.02ドル、市場予想の1.86ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてGEエアロスペースの株価は

前日比4.06%の大幅下落。同日の米国市場が

半導体株の下げが影響(フィラデルフィア半導体指数は4.3%下落)して下落していたのを差し引いても、市場予想を上回る第2四半期決算結果や、通期見通しの引き上げをGEエアロスペースの下落幅は大きい。
下落の明確な要因ははっきりしないのだが、調べてみた限りでは事前にBNPパリバのアアナリストが「航空宇宙メーカーが予想を上回り通期見通しを引き上げる可能性は高いが、株価の力強い上昇と業界ファンダメンタルズの改善を経た後、投資家は通常のガイダンス引き上げ以上のものを求めるかもしれない」としていたこと、7月の米イランの停戦枠組み合意が揺らいで以降の燃料高騰懸念からのGE株下落傾向(これは大手航空会社も同様)への懸念が今回決算での説明では拭い切れなかったことなどが主に影響したようだ。
決算後数日を含めた年初来のGE株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると

今回決算前までは冒頭に書いた通り7月上旬から下落傾向にあった中で迎えた今回決算でも大きく下落し、下げ止まる気配は見えていない。
今後のGEエアロスペース株だが、決算前の下落傾向が今回第2四半期決算の好結果にもかからわず下げ止まらず、決算後数日も下落傾向が止まらないことを考えると期待出来そうにはない。どこで下げ止まるかが注目されるが、中東情勢が落ち着くまでは下落傾向が続く可能性も拭えない。不透明な中東情勢も相まって、しばらくは我慢の時が続きそうだ。