はじめに
米日付2025年9月8日の米国市場では主要3指数が

揃って前日比やや上昇する中、自分の所有するAT&T(T)は

市場に比べてやや大きめの下落。何かAT&Tから悪材料が発表されたのかと思って調べてみたが特にそのようなことは無かった。そこで同業他社まで範囲を広げてみたところ

と同業他社も大きめの下落となっていた。更に調べてみたところ、どうもイーロン・マスク氏が会長のSpaceXがEchoStarから無線周波数帯を買収したことが要因らしい。
以下、買収の内容と関係する情報について整理しておく。
2025年9月8日のEchoStar発表概要
以下はEchoStarの企業ページより引用・抜粋。
- EchoStarはSpaceXとAWS-4およびHブロックの周波数ライセンスを約170億ドルで売却する正式契約を締結した
- この契約は、最大85億ドルの現金と正式契約締結時点で評価された最大85億ドルのSpaceX株で構成される
- 更に、正式契約ではSpaceXが2027年11月までのEchoStarの負債に対する利息として、合計約20億ドルを現金で支払うことが規定されている
- エコースターのブースト・モバイル加入者がスターリンクのダイレクト・ツー・セル・サービスにアクセスし、サービスのない地域に衛星サービスを拡大できるようにする契約にも合意
- 新たな周波数帯でSpaceXは次世代のStarlink Direct to Cellを開発し、EchoStarのBoost Mobile加入者はこれによりパフォーマンスが飛躍的に向上し、世界中のどこにいてもサービスを受けられるようになる
- このSpaceX社との取引と以前の取引により、FCC(米連邦通信委員会)からの問い合わせが解決されることを期待している*
- 取引は、必要なすべての規制当局の承認が得られ、その他の完了条件が満たされた後に完了する
- 周波数ライセンス売却後もEchoStarはDISH TV(衛星テレビサービス)、Sling(ストリーミングTVプラットフォーム)、Hughes(インターネットサービス)の運営を継続する
*補足
言及されたFCCからの問い合わせとは、FCCが2025年5月にEchoStarの5Gサービスの提供について疑義を呈し、保有する無線周波数帯の利用条件を満たしているのかどうかを調査中だと通告したことを指す。その際、保有する無線周波数帯のライセンスの一部を売却しなければ、EchoStarが権利を失う可能性があると警告していた。
その後8月26日にEchoStarは保有する平均約50MHzの低帯域および中帯域の無線周波数帯のライセンスをAT&Tに230億ドルで売却することで合意したと発表(この際AT&T株は0.6%下落と然程話題にならなかった)しており、以前の取引とはこれを指している。
SpaceXとEchoStarの利点
SpaceXは2020年以降8000基以上のStarlink衛星を打ち上げ、地球低軌道上に分散型ネットワークを構築していたが、そのStarlink Direct to Cellサービスは携帯通信事業者(T-Mobileなど)からリースされた周波数のみにを頼っていた。
しかしこの契約によりSpaceXは自社が所有する周波数でStarlink Direct to Cellサービスを運営できるようになり、ネットワークの規模は「100倍以上」拡大されるとしている。
またEchoStarは上述した通り、FCCから警告されていた保有する無線周波数帯のライセンスを売却することでFCCの懸念を解消すると共に、EchoStarのサービス契約者が、衛星とスマートフォンを直接通信できるStarlinkのサービスStarlink Direct to Cellにアクセスできるようになる。
ちなみにEchoStarの株価は

20%近く上昇している(SpaceXは非公開企業)。
まとめ
この発表後、FCCの広報担当者は「EchoStarがAT&TおよびStarlinkと結んだ取引は、競争を加速させ、革新的な新サービスを何百万人ものアメリカ人に提供し、次世代接続における米国のリーダーシップを高める可能性を秘めている」とのコメントを出しており、取引が成立する可能性も高そうである。
となるとAT&Tを含めた既存の無線通信事業者にとっては新たな競合ライバルが出現することになり、これが同日無線通信事業者の株価が下落した要因と言える。すぐに無線通信事業者が大幅に下がることは無いと(期待込みで)思うが、今後の動向や中長期的な傾向、自分が所有しているAT&T株の動きには注意を払う必要があるだろう。
AT&T株は今年2025年になって

自分の取得価額である@27.68ドルを2020年初め以来5年振りに上回り、直近7月の第2四半期決算も堅調だっただけに、この件が影響して再び長い間取得価額を下回る様な事態にならないことを願いたい。ようやくAT&T株が取得価額を上回ってホッとしていたのになあ・・・。