OPECプラスの自主減産アップデートとエクソン株(2025/3)

はじめに

OPECプラス加盟の有志8ヶ国は2023年4月から断続的なアップデートをしながら自主減産をしているのだが、2025年3月3日にその自主減産についてのアップデートが発表された。

原油先物価格はアメリカのメキシコ、カナダ、中国への関税発動による米国市場全体の下落

米のカナダ、メキシコ、中国への関税発動前日の市場(2025/3)

米のカナダ、メキシコ、中国への関税発動当日の市場(2025/3)

や米ウ首脳会談の不調などに埋没してしまって自分もよく確認していなかったのだが、OPECプラス加盟国の自主減産の動向は、今後の原油価格や自分が所有しているエクソン・モービル(XOM)の株価にも影響を及ぼす可能性が高いので、その内容について確認しておくことにする。


2025年3月3日発表のOPECプラス自主減産アップデート

【2025年3月3日以前の状況】

  • 2024年12月のOPECプラス会合で以下の決定をしていた
    • 8ヶ国による自主的追加減産について2025年3月末まで3ヶ月延長することで合意
    • 8ヶ国の自主的追加減産は2025年4月から2026年9月末まで月単位で段階的に廃止される予定
    • また協調減産については従来の2025年末から2026年末に1年間延長することで合意

【2025年3月3日の発表】

  • OPECプラス加盟国のうち、自主的減産を実施している8ヶ国がオンライン会合を実施
  • 健全な市場の基礎と明るい市場見通しを考慮し、2024年12月5日に合意した決定を再確認し、変化する状況に適応しながら、2025年4月1日から220万バレル/日の自主調整を段階的かつ柔軟に廃止することを決定
  • 生産スケジュールは以下の通り

報道によると4月の日量増産は合計13万8000バレルとのこと。


ニューヨーク原油先物価格の推移

自主減産の段階的廃止が発表される前は1バレル=70ドル近辺だったのが、68ドル台に下落。その後もアメリカのメキシコ、カナダへの関税措置の影響から下落が拡大し1バレル=66ドルを割り込む局面も。


エクソン・モービル株及びS&P 500の推移

同期間のエクソン株及びS&P 500の動きを見てみると、やはりOPECプラスの発表があった3月3日13時に大きくエクソン株価は下落しており、ニューヨーク原油先物価格と同様の推移である一方S&P 500はそれ程反応せず。

4日はエクソン株とS&P 500は似たような動きとなったが原油先物価格も似たような動き、5日は市場の上昇に対しエクソン株はニューヨーク原油先物と類似の動きで下落。

そして3月6日にトランプ大統領が発動したメキシコとカナダに対する25%の関税について、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)対象の製品に関しては4月2日まで関税を免除すると表明したことを受けて、伸び悩むニューヨーク原油先物価格に対してエクソン株は持ち直した一方でS&P 500は先行き不透明感から下落している。


まとめ

以上、OPECプラス加盟有志8ヶ国による自主減産のアップデート情報とニューヨーク原油先物、エクソン株の動きについて整理してみた。

予定されていたとは言え、OPECプラスの自主減産の段階的廃止が発表されたことはやはり原油先物価格の下落を促したのだが、今のところは思っていたよりもエクソン株の下落幅は限定的。そしてこれに加えて最近の米国のメキシコ、カナダへの関税措置の影響が重なっているのが原油価格とエクソン株の状況を複雑にしている。

OPECプラスの自主減産の段階的廃止だけであれば、期間もある程度長く、需給のバランスを見ながら調整をしていくとしているので原油価格はある程度想像がついただろうが、それに加えて4月2日まで免除されたとは言え米国のカナダ、メキシコへの関税、それに対する両国の報復関税が、今後ニューヨーク原油先物価格そしてエクソン株にどの様な影響を与えていくのか不透明な状況となっている。

そしてそんな状況を鑑みてなのかエクソンの企業ページを確認してみたところ、いつ発表したのか不明だが、本決算に先立って4月3日の米国市場閉場後に通常は行わない2025年第1四半期決算の考慮事項(1Q25 Earnings Considerations 8-K)をSEC(米証券取引委員会)のWebサイトに掲載するとしている。

上記の様な状況を踏まえて、2025年第1四半期決算の見込みがどうなるかに要注目。恐らく悪い内容なのだろうが、どこまでの悪材料になるのだろうか・・・。

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