はじめに
2023年4月3日(月)の主要米国株式市場は
とまちまちだったのだが(テスラ(TSLA)が6.1%下落したことがS&P 500とNASDAQ総合に影響したようだ)、自分の所有銘柄であるエクソン・モービル(XOM)は
6%近く大幅に上昇していた。
理由を調べてみると4月3日にはOPECプラスの会合が開かれており、その結果が影響していた模様。以下会合の結果について確認し整理しておくことにする。
2023年4月3日のOPECプラス会合及びその前後の原油関連情報まとめ
今回のOPECプラスの会合は減産の実施状況を監督する共同閣僚監視委員会(JMMC:Joint Ministerial Monitoring Committee)であり、現在は2ヶ月に1度行われ前回は2月に開催されていた。その際はそれまでの減産を維持し特に新たな決定はなされなかった。
他にもOPECプラスの会合はいわゆる閣僚級会合(OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting)と呼ばれるものがあり、COVID-19時の協調減産に関してはこちらで決定されていた。前回は2022年12月に行われており、次回は2023年6月4日の予定となっている。
そのため自分は何らかの動きがあるとすれば6月と考え、今回のJMMCは重視していなかった。
【会合前】
2023年3月に米銀破綻などがあり原油先物価格が下落した状況を
でまとめた際には、現在の原油の需要と供給は概ね均衡しており、下落の原因は銀行システム不安に起因する利上げ見込が強まって景気減速を招き、原油需要を下押しする懸念によってもたらされているとの見方だった。
【会合結果】
正確には会合自体は4月3日で、その前日4月2日にサウジアラビア等加盟国から自主減産の発表があったのだが会合結果に含めておく。
- 4月2日、サウジアラビアが日量50万バレルの自主的な追加供給削減を発表
- その後イラク(21万1000バレル)やアラブ首長国連邦(14万4000バレル)、クウェート(12万8000バレル)なども同様に減産を発表
- 減産の時期は2023年5月から年末まで
- ロシアは3~6月に実施する減産を年末まで続ける方針を表明
- これにより5月から原油供給は従来想定よりも日量約110万バレル少なくなり、7月以降はロシアの減産延長で従来想定よりも日量約160万バレル少なくなる
【会合後】
- 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官:
- OPECプラスから事前に注意を喚起されていた
- 市場不確実性を考慮すると、現時点で減産が賢明とは考えていない。われわれはそれを明確にした
- なぜ今回の決定に至ったのか憶測することさえできない
- (サウジアラビアが)戦略的パートナーシップという事実から外れるわけではない
- イエレン米財務長官:
- OPECの決定は世界成長見通しを巡る不確実性を高め、高インフレ期に消費者の負担を増大させる遺憾な行動だ。価格への影響はまだ分からない。見極めにはもう少し待つ必要があるだろう
- 米セントルイス連銀のブラード総裁(ただしブラード総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない):
- (OPECプラスの決定について)意外だった。この影響が長期的に持続するかは不明だ
- 原油価格は変動するため価格動向を正確に追うのは困難だ。一部はインフレに影響し、われわれの仕事がもう少し難しくなる可能性はある
まとめ
上述した通り今回のOPECプラスの決定は事前に想定されていなかったため、市場全般にとっても大きなサプライズだったようでニューヨークの原油先物価格も
減産の発表を受けて一気に1バレルあたり5ドル近く上昇している。一方年初来で見ると
3月中旬に大きく下落した価格が3月上旬レベルに戻っただけと見る事も出来る。産油国にとっては原油価格を高い水準で保つことが自国の利益につながるので致し方ないのだろう。
エクソン・モービル株にニューヨーク原油先物を重ねてみると
やはりエクソン株の動きは原油先物価格と連動する傾向が高くなっており、原油先物価格の上昇と相まって今回も冒頭の様に大幅上昇している。
エクソン株だけ見れば今回のOPECプラスの減産は良い方向に働いた様に見えるのだが、3月は米銀破綻が起こったり、経済指標もまちまちで今後の金利政策が不透明な状況だっただけに、今回の追加協調減産が更に先行き不透明感を増加させる要因となることが懸念される。3月下旬にはやや落ち着いた感があった米国市場が今回のOPECプラスの決定によって悪影響を受けないといいのだが。