はじめに
OPECプラス加盟の有志8ヶ国は、2023年11月から日量約220万バレルの自主減産をしているのだが、11月4日にその自主減産についてのアップデートが発表された。
自分が所有する米国株式の決算発表の合間でまだ整理しきれていない銘柄もあるのだが、その一つであるエクソン・モービル(XOM。11月1日に決算発表)の今後にも影響すると思うので、以下、アップデート内容と最近の原油価格について確認し、整理しておく。
2024年11月4日発表のOPECプラス自主減産アップデート
【11月4日以前の状況】
- 9月5日に日量220万バレルの自主的追加減産について11月末まで2ヶ月延長して実施することで合意
- 8ヶ国の自主減産は2024年12月から月単位で段階的に廃止される予定
【11月4日の発表】
- 11月末までとしていた日量220万バレルの自主的追加減産を1ヶ月延長し、12月末までとすることで合意
最近のニューヨーク原油先物価格の推移
7月頭には1バレル=80ドル台だった原油先物価格は主に世界最大の原油輸入国である中国の需要増加への期待が薄らいできたこともあって、中東情勢の変化(ハマス指導者暗殺等)で上昇する局面もあったが、基本的には下落傾向。9月初に先述の通りOPECプラス有志の自主減産延長が発表されたが市場の反応は薄かった。10月に入ってからはイランがイスラエルへ弾道ミサイルを発射するなど中東情勢が一層緊迫化して原油先物価格は上昇したが、イスラエルの報復が石油関連施設を標的としなかったため再び下落。10月末からは米原油在庫が予想外に減少したことや、イランが再びイスラエルを攻撃する可能性が報道されたこと、そして今回の自主減産延長もあって上昇に転じ、1バレル=70ドル台を回復している。
まとめ
新たな自主減産延長と最近のニューヨーク原油先物価格の推移をまとめてみた。
自主減産の更なる延長発表後、原油先物価格は上昇したものの直近でニューヨーク原油先物価格が上昇しているのは
- OPECプラス有志の自主減産延長
- イランがイスラエルを攻撃するとの報道
- 米大統領選の結果
- メキシコ湾で発生した、今週中に5段階のうち4番目に強いハリケーンに発達すると予測される「Rafael 」の影響(シェルとシェブロンは、暴風雨の到来前に幾つかの石油生産プラットフォームから必要不可欠ではない人員を移動させていると発表。現時点でシェルは生産に影響あり、シェブロンは影響なしとしている)
といった複数の要素が考えられ、その中で自主減産延長は期間が1ヶ月であることを考えるとその影響は限定的に思える。
今後原油先物価格がどう推移するかは不透明だが、中国の景気刺激策が当初期待されていた程効果を発揮していないことや、来年の原油需要予測は振るわず供給過多になるとの見通し(直近ではシティグループとJPモルガン・チェースは、2025年には原油価格が60ドル台に下落すると予測)であることから原油先物価格、つまり自分が所有しているエクソン・モービル株には過剰な期待をしない方がいいのかもしれない。