はじめに
米国時間2024年6月12日(水)に2024年5月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。
前回2024年5月発表のCPIはインフレ鈍化が見られて米国株式市場は上昇したものの、その後の経済指標の多くは逆にインフレが根強いことを示唆したため5月発表CPI以降の5月後半は下落基調となった。
そして6月に入ってからは続くAIに対する期待からの大手ハイテク銘柄の上昇に支えられ米国株式市場は上昇しているものの、自分のポートフォリオには大手ハイテク銘柄が含まれていないので下落という状況。
そんな中で今回のCPI結果、そしてそれを受けて市場はどう動いたのか。以下に確認して整理しておく。ちなみに同日FOMC会合結果も公表されているが、その動きについては別途まとめることにする。
2024年6月12日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2024年5月消費者物価指数(CPI)
以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。
- 2024年5月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は前月と変わらず、市場予想は0.1%の上昇
- 2024年5月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では3.3%上昇、市場予想は3.4%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比3.4%上昇、市場予想は3.5%の上昇、前月比では0.2%の上昇、市場予想は0.3%の上昇
- 家庭用食品(Food at home)は前年比1.0%上昇。2024年4月は前年比1.1%上昇
- 電気代(Electricity)は前年比5.9%上昇。2024年4月は前年比5.1%上昇
- 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比5.4%上昇。2024年4月は5.5%上昇
ブルームバーグの算出によると住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.14%のマイナスで、2021年9月以来のマイナスとのこと。
同日の市場の動き
米国株式市場
先に書いた様に同日午後はFOMC会合結果(現地時間14時発表)があったので、CPI部分の影響が顕著な前半部分を中心に見てみると、いずれも前日比上昇して始まっているもののダウ工業平均はS&P 500やNASDAQ総合と違い1%を超える局面は無く右肩下がりで結局前日比マイナスで取引を終えている。
S&P 500とNASDAQ総合は3営業日連続で最高値を更新しているのだが、ダウ工業平均は2営業日連続で前日比下落となっている。ダウ工業平均の最高値更新は5月17日の事で以降は低調な動きを続けているのだが、これはやはりAIを中心とした大型ハイテク銘柄株がS&P 500、NASDAQ総合の上昇を支えており、その他銘柄は決して調子が良いというわけではないということなのだろう。S&P 500とNASDAQ総合が時価総額加重平均型株価指数であるのに対し、ダウ工業平均は単純に構成銘柄の株価平均型株価指数であり、そもそも現在の構成銘柄にアマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、エヌビディア(NVDA)などの好調な銘柄は含まれていないことも傾向が違う一因となっている。
米国10年債
市場予想を下回る米消費者物価指数を受け、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを実施するとの観測が高まったことから利回りは1ポイント以上低下。
ドル円為替
CPIの発表があった米EDT8:30は上記ドル円チャートのBST13:30。5月の消費者物価指数上昇率が予想を下回ったことを受けて発表から1円以上ドル安になりその後1ドル=155円台後半の水準が続いたが、別途まとめるFOMC会合を受けて再びドル高となって1ドル=156円台となっている。
まとめ
2024年6月発表のCPIは市場予想を下回りFRBの利下げ期待が高まる結果となった。まだ別途まとめる予定のFOMC会合結果は確認していないのだが、市場の動きを見ると概ねCPI結果と整合が取れる内容だったのだろう。
今後もこのままCPIがインフレ緩和を示し続け、景気後退に陥ることなくソフトランディングをしてもらいたい。そして何より自分の米国株ポートフォリオが持ちこたえることを祈るばかり。先に書いた様に米国株式市場の上昇はAIを中心とした大型ハイテク銘柄株に支えられている気がしており、配当重視の自分のポートフォリオにはそれら銘柄は含まれていないのでここ最近は目減りしているのが現状なので・・・。