はじめに
2024年4月25日(木)には自分の所有銘柄であるダウ・インク(DOW)の2024年第1四半期決算発表があった。
前回2023年第4四半期決算は3%を超える上昇だったものの翌日はアナリストが投資格付けを格下げしており、
「2023年3月下旬からの低迷を脱したとは言えず、まだしばらくは我慢の時が続きそうな気がする。」
と書いていた。
以下、今回のダウ・インクの決算内容及び株価がどうなったのか確認して整理しておく。
ダウ・インク2024年第1四半期決算概要
以下の情報はダウ・インクの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第1四半期の総売上(Net Sales)は107億6500万ドル、前年同期は118億5100万ドルで前年同期比9%減
- 2024年第1四半期の一時項目を除く一株当たり利益(Operating Earnings Per Share)は0.56ドル、前年同期は0.58ドルで前年同期比3.4%減
事業部別業績
包装・特殊プラスチックの売上高は前年同期比11%減の54億3000万ドル、営業EBITマージンは前年同期比60bps増の11.1%。出荷量は3%減少し、価格(Local Price)が8%下落している。
素材・インフラストラクチャの売上高は前年比11%減の30億800万ドル、営業EBITマージンは前年同期比70bps減の2.9%。価格(Local Price)は14%下落したが、出荷量は4%増となっている。
パフォーマンスマテリアル・コーティングの売上高は前年同期比5%減の21億5200万ドル、営業EBITマージンは前年同期比40bp増の1.9%。価格(Local Price)が9%下落したが、出荷量は4%増となっている。
2024年通期見通し
2024年通期の考慮要因(FY2024 MODELING CONSIDERATIONS)は以下の通り。
主な項目:
- Net Interest Expense(純支払利息):~5.5億ドル(前回の~5億ドルから増加)
- D&A(Depreciation and Amortization:減価償却費):~29億ドル(前回の~28億ドルから増加)
- Dividends from Equity Companies (出資会社からの配当):~2億ドル(前回と変わらず)
- CapEx(設備投資):~30億ドル(前回と変わらず)
2024年第2四半期の見通しは以下の通り。
- 全体の売上:~110億ドル
- Packaging & Specialty Plastics:前四半期に比べて+2~+4%の売上
- Industrial Intermediates & Infrastructure:前四半期に比べて+1~+2%の売上
- Performance Materials & Coatings:前四半期に比べて+3~+5%の売上
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 配当と自社株買いを通じて第1四半期に株主に6億9300万ドルを還元
- 第1四半期のフリーキャッシュフローは2億5400万ドルの流出となったが設備投資によるものであり、営業キャッシュフローは4億6000万ドル
- インフレ、金利、地政学的緊張を注意深く監視しているが、いくつかの地域でマクロ経済状況が改善する兆しが見られ、慎重ながらも楽観的な見方をしている
- パッケージングやモビリティからエネルギー用途に至るまで、主要なエンドマーケットにおける需要は順次増加傾向にある
- 地域的な見通し
- 米国:今年これまでのところは改善の傾向が見られる
- 欧州:個人消費と産業活動が依然として低迷している。中東の地政学的な緊張により、世界的な輸送コストの上昇につながっている
- 中国:需要改善の兆しとともに着実な回復を続けているが、不動産セクターは低迷
- その他:引き続き堅調
- (フリーキャッシュフローの見通しについて)特に上半期は現金を運転資本へ使用する予定であるが、更なる需要/売上の改善が予想される下半期を含めた通年では過去3年と同程度のフリーキャッシュフローが見込まれる
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想を比較してみると、
- 2024年第1四半期の総売上(Net Sales)は107億6500万ドル、市場予想の107億4000万ドルをやや上回っている
- 2024年第1四半期の一時項目を除く一株当たり利益(Operating Earnings Per Share)は0.56ドルで、市場予想の0.45ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてダウ・インク株は
前日比0.95%の下落。同日の米国市場も
主要市場はいずれも下落していることを考えると可もなく不可もなくといった所だろうか。EPSは市場予想を上回ったものの、第2四半期の売上見通しが110億ドルと市場予想の116億4000万ドルに届かなかったことが伸び悩んだ原因だろうか。
決算後数日を含めた年初来のダウ・インク株の推移を見ると
冒頭に挙げた前四半期決算時の懸念は杞憂に終わり概ね市場と同じような推移。今回決算後の動きが方向性に乏しいのが不安だが、市場よりやや悪い程度のパフォーマンスで済んでいる。
今後のダウ・インク株だが、決算で特段の悪材料があった訳ではなくマクロ経済改善の兆しが見られるとしている点を期待したいところだが、個人的にそこまで確信は持てない。ダウ・インクの想定通りに物事が進むといいのだが。