ボーイング(BA)の投資格付けアップデート、他(2021/9)

はじめに

2021年9月下旬は最近以下にまとめてきた様な事もあって

恒大集団デフォルト可能性と2021年9月20日の市場下落に関して

2021年9月FOMC結果と当日の米国債金利、米銀株の動き

米10年債/長期債の利率1.5%超でまた市場急落(2021/9)

米国市場は大きく上下動する日が多い気がしているのだが、昨日2021年9月29日(水)はダウ工業平均が0.26%、S&P 500が0.16%それぞれ上昇、NASDAQが0.24%下落と割と小幅な動きだった。

そんな中自分の所有株であるボーイング(BA)が

3%を超える大幅上昇となっていたのが目に付いた。

調べてみたところ、掲題のボーイング株投資格付けがアップデートされたことと、中国でのボーイング737MAX運航再開に関する情報があったためと思われる。

以下にそれらについて確認し整理しておくことにする。


2021年9月29日のBernsteinのボーイング株投資格付けアップデート

投資格付け:Market PerformからOutperformに上方修正

目標株価:252ドルから279ドルに上方修正

以下はBernsteinのアナリストDouglas Harned氏の見解要旨。

  • COVID-19ワクチンがほとんどの主要市場で投与されているため、国際的な交通と航空機の需要が改善し始めると予想
  • 一部の国では単独のCOVIDが発生した際(when single cases arise)に旅行をブロックする封鎖戦略と戦わなければならないが、現在ほとんどの主要市場で運航再開する道が見えており、中国は「ゼロトレランス(zero tolerance)」戦略で最も遅れているが、北京オリンピックは2月に開催される
  • ボーイングは「完全にきれいではない(not totally clean)」が、航空業界はついに世界的な旅行需要と旅客数の転換点に到達し、将来の傾向は有望に見える

今回Douglas Harned氏の投資格付けアップデートはボーイング単体というよりは航空業界の最悪の時期が終わったとして、同業のエアバスやサプライヤーのSpirit AeroSystemsも投資格付けを上方修正している。


中国航空規制当局向けのボーイング737 MAXテスト飛行が成功との報道(2021年9月29日)

以下はロイター通信の報道より引用・抜粋。

  • Boeing Chinaの責任者Sherry Carbary氏は先月の中国航空規制当局向けの737 MAXテスト飛行は「問題なく進んだ(It went off without a hitch)」と中国最大の航空ショーAirshow Chinaで発言
  • Carbary氏はまた、ボーイングは中国民用航空局(CAAC)と協力してデータを選別し、レポートを完成させてから、737MAXを運航に戻すことができるかどうかが決定される、と発言
  • 問題に詳しい人々がロイターに語ったところでは、西側といくつかのアジア諸国で解除された737MAXの運航禁止は11月頃に中国で緩和される可能性がある、
  • Carbary氏は「年末までにそれが起こることを期待している(We are hopeful it will happen by the end of the year)」と語るにとどまり、明確な言及は避けた
  • 「それ(737MAXの運航再開)はCAAC次第です。しかし、私たちは彼らをサポートするためにできる限りのことをしていると言うことができます。彼らが私たちとどれほど緊密に協力しているかについて私たちは勇気づけられています」とCarbary氏は述べた
  • 前日28日に米商務長官のGina Raimondo氏が、中国政府が国内航空会社によるボーイング機の「数百億ドル」の購入を阻止していると語った点に関してはCarbary氏は直接のコメントを避け、「現在、両国政府は合法的ないくつかのデリケートな問題に関していくつかの競争問題を抱えており、両国はそれらを乗り越える必要があると思う」と述べた

まとめ

上記の2点が9月29日に市場にそれ程大きな変化が無かったにもかかわらずボーイング株が大きく上昇した要因と思われる。

過去5日間のボーイング株と市場(S&P 500)の動きを比べてみると

昨日29日の上昇振りが際立っていることからも、投資格付けの上方修正と中国での737MAX運航再開に対する市場の期待がよく分かる。ちなみに27日にも市場に比べてボーイング株が大きく上昇しているのは、同日ボーイングの企業サイトで更新された商用機の8月受注件数が7月を上回った事が好感されたためと思われる。

8月の商用機受注件数は以下の様に53件で

7月の31件に比べて77.9%増加したことになる。

また27日は航空機も含まれる米国の8月前月比耐久財受注が発表され、前月がマイナス0.1%だったのに対し、予想のプラス0.6%を上回るプラス1.8%と大きく伸びたのも株価上昇を後押しした可能性はある。

年初来のボーイング株と市場の動きを見てみると

年初来ではここ数日の上昇を除くとほぼ年初の株価と変わらず。COVID-19、変異株の拡大や品質上の問題もあり少し上がっては下がってが繰り返されている。

この1年いくつか上昇基調になる契機と期待した出来事があったにも関わらず上記の通り低調な株価推移になっているので過度な期待は禁物なのだろうが、今回は米国に次ぐ第2の航空機市場である中国で運航停止されていたボーイング737MAX型機の規制当局向けテスト飛行がつつがなく終わったという事で、それが契機となって今度こそ上昇基調になって欲しいところ。

ここ1、2ヶ月ボーイング株が低調だったこともありあまり注意を払ってこなかったが、今回の報道を受けてここしばらくはボーイングの株価、報道に注意していきたい。

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