はじめに
2024年1月23日(火)には自分の所有銘柄であるゼネラル・エレクトリック(GE)の2023年第4四半期決算発表があった。
前回の2023年第3四半期決算では2023年3回目の通期予想引き上げもあって6%を超える上昇となっていた。
まとめの際には
「この好調な決算を受けて市場が振るわない中、上昇に転じることが出来るかが気になるところ。2023年の好調さを考えるとこれ以上はさすがに高望み過ぎるので、市場が低迷してもこの程度の株価水準を維持してくれることを期待したい。」
と書いていたのだが、その後もまずまず堅調に推移していた印象がある。それでは実際の第4四半期決算の内容はどうだったか。以下に内容を確認し整理しておく。
2023年第4四半期決算概要
以下の内容は、ゼネラル・エレクトリックの企業サイトより引用・抜粋。
- 2023年第4四半期の総売上高(Total Revenues)は194億2300万ドル、前年同期は168億2800万ドルで前年同期比15%の増加
- 2023年第4四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は1.03ドル、前年同期は0.66ドルで前年同期比56%の増加
- 2023年第4四半期のフリーキャッシュフロー(純現金収支・Free Cash Flow)は29億6100万ドル、前年同期は33億3800万ドルで前年同期比11%の減少
事業部別業績
【GE Aerospace(航空)】
受注は106億2000万ドルで前年同期比10%増加、売上は85億2000万ドルで前年同期比12%増加、収益は15億9800万ドルで前年同期比11%増加、マージンは18.8%で前年同期も18.8%。
これで3四半期連続で受注、売上、収益いずれも前年比で2桁を超える増加となっている。
【Renewable Energy(再生可能エネルギー事業)】
受注は50億6900万ドルで前年同期比1%増加、売上は42億1300万ドルで前年同期比23%増加、収益/損失は3億4700万ドルの損失で前年同期は4億5400万ドルの損失、マージンはマイナス8.2%で前年同期はマイナス13.3%。
前年比では改善しているのだが、上のグラフを見ると分かるように前四半期と比べるとほぼ横ばいとなっており、今四半期は改善ペースが鈍化している。
【Power(電力事業)】
受注は57億2800万ドルで前年同期比5%増加、売上は57億8600万ドルで前年同期比10%増加、収益は7億5900万ドルで前年同期比10%増加、マージンは13.1%で前年同期は13.8%。
GE AerospaceとGE Veronaの分離について
2021年11月に発表のあったGEの分割についてだが、既に昨年2023年1月に分離したGEヘルスケア・テクノロジーズに続き2024年4月初頭にGE AerospaceとGE Vernovaが分離されることが発表された。
詳細については分離前の3月6、7日にInvestor Daysが開催されるのでそこで明らかになるのだろう。
2024年見通し
2024年の通期見通しは以下の通り。上述の通り2024年4月上旬にGE AerospaceとGE Vernovaが分離するため、別スライドで通期見通しが発表されている。
【GE Vernova】
- 売上(Revenue):340億~350億ドル
- 調整後EBITDAマージン(Adj. EBITDA margin):一桁台半ば(上方)(MSD(higher end))
- Free cash flow:7億~11億ドル
【GE Aerospace】
- 調整後売上成長率(Adj. revenue growth):二桁台前半(LDD)
- 営業利益(Operating profits):60億~65億ドル
- Free cash flow:50億ドル超
2024年第1四半期についてはスライドでは提供されていないが、EPSのみ文章で提供されている。そして当然GE AerospaceとGE Vernovaを組み合わせた見通しは今回が最後となる。
- 売上成長率(Revenue growth):一桁台後半(high-single-digit)
- Adjusted EPS:0.60~0.65ドル
- Free cash flow:純利益成長率に沿った形
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2024年は4月初旬にGE AerospaceとGE Vernovaを立ち上げる重要な年になる
- 2023年は収益が3倍以上に増加し、フリーキャッシュフローが約70%増加した
- 分離後GEの負債の大部分はGE Aerospaceに保持される
- GE Vernova関連
- 再生可能エネルギーについては今年中に利益が改善するだろう
- ただし2023年に受けた注文の納入は2024年後半に開始されるため、利益改善も2024年後半が主になる
- 再生可能エネルギーの2024年第1四半期の業績は2023第4四半期と似たようなものになるだろう
- GE Aerospace関連
- 2024年第1四半期の利益率は、前年同期比で横ばいからわずかに増加すると予想
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2023年第4四半期のGAAPベース総売上高(Total Revenues)は194億2300万ドル、市場予想の171億6000万ドルを上回っている
- 2023年第4四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は1.03ドル、市場予想の0.91ドルを上回っている
- 2024年第1四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)見通しは0.65ドル、市場予想の0.72ドルを下回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてGEの株価は
前日比0.98%の下落。同日の米国市場は
まちまちだったもののそれに比べるとGE株は見劣りがする。
2023年第4四半期決算は市場予想を上回ったものの、2024年第1四半期の見通しが市場予想に届かず、アナリストとのカンファレンスコールでも2024年第1四半期は2023年第4四半期と同程度との言及があったことがGE株が下落した原因だろう。ただし日中のGE株の動きを見てみると
開場直後に前日比3%超下落したことを考えると持ち直して取引を終えている(取引終了前に下落傾向となっているのが気にかかるが)。
過去3ヶ月の株価推移を見てみると
冒頭に書いた3ヶ月前の自分の見込みに反して、10月末から市場が持ち直したのにつれてGE株もそれを上回るペースで順調な株価推移をしていたことを考えると悪くはない。
今後のGE株だがこれまで堅調に推移していた流れが今回の四半期決算(2024年第1四半期の見込み)で変わってしまうのか、それとも今回の決算で悪材料を吸収できたのかに注目。しばらくは様子を見ていく必要があるだろう。
そして3月6、7日に予定されているInvestor Daysで発表されるだろう分社するGE AerospaceとGE Vernovaそれぞれのより詳細な情報に気を付けておきたい。