はじめに
見逃していたが2023年11月30日には年内最後のOPECプラスの会合が行われた。
今回は前回6月以来久々の閣僚級会合(OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting)となる(この間は2ヶ月に一度開催された共同閣僚監視委員会(JMMC:Joint Ministerial Monitoring Committee)で前回は10月初め)。
前回はOPECプラス会合当日ニューヨーク原油先物価格は大きく下落したのだが、それはOPECプラス会合の結果ではなく同日米エネルギー情報局(EIA)が発表した1週間の米石油在庫統計が影響していた模様。
年内最後となる今回のOPECプラス会合はどうなったのか。そしてそれを受けて原油価格がどうなったかについて確認しておく。
2023年11月30日のOPECプラス会合及びその前後の原油関連情報まとめ
以下はOPECのサイト及び主にロイター、ブルームバーグの報道などより引用・抜粋。
【会合前】
- 11月29日のロイター報道(ソースは2名のOPECプラス関係者)
- 来年第1四半期に供給量を一段と削減することが議論されているが、期間や削減幅はまだはっきりと決まっていない
- OPECプラスがこの問題で結局合意できないかもしれないし、閣僚級会合が延長されることもあり得る
- それまでの報道では新たに最大で日量100万バレルの減産が決まる可能性があるとされていた
- 11月30日の会合開始直前のブルームバーグ報道
- サウジアラビアが7月から続けている日量100万バレルの自主減産を延長し、追加でOPECプラス全体として同規模の生産を抑制することを検討
- アンゴラとナイジェリアがそれぞれの生産能力の後退を反映した生産目標引き下げを受け入れるかどうかなど、合意への障害は残っている
- こうしたグループ内の不一致により、今回の会合は当初の予定より4日間遅れて始まっている
- 問題を解消できず一段の減産で合意が成立しない場合には、現在の生産水準を維持するロールオーバーとなる可能性がある
【会合結果】
- OPECプラス閣僚級会合
- 2024年1月からブラジルがOPECプラスに参加
- 次回OPECプラス閣僚級会合は6月1日予定
- OPECプラス閣僚級会合とは別の発表として
- 来年初(2024年1月1日から2024年3月末まで)に日量約220万バレルの自主減産を実施することで合意
- サウジアラビア:日量100万バレル
- イラク:日量22万3000バレル
- アラブ首長国連邦(UAE):日量16万3000バレル
- クウェート:日量13万5000バレル
- カザフスタン:日量8万2000バレル
- アルジェリア:日量5万1000バレル
- オマーン:日量4万バレル
- ロシア連邦:日量50万バレル
- 市況が許せば第1四半期以降に段階的に減産を解除
- 来年初(2024年1月1日から2024年3月末まで)に日量約220万バレルの自主減産を実施することで合意
【会合後】
- ブラジルはOPECプラスの協調的な産油制限には参加しない見込みとの報道あり
まとめ
今回のOPEC閣僚級会合を受けてニューヨーク原油先物価格は
大きく下落。原因としては
- 発表された約220万バレルの自主減産のうち130万バレルはサウジアラビアとロシアが既に実施している自主減産の延長であり、追加の削減幅は約90万バレルと事前の予想より少ない
- これまでは減産についてはOPECプラス閣僚級会合結果として発表されていたのだが、今回は閣僚級会合とは別のリリースとして発表しており、期間も第1四半期のみと短い
- 事前に報道があったアンゴラとナイジェリアは結局減産を受け入れず、今後のOPECプラス協調減産の枠組みに対する懸念
といったことが挙げられるだろう。
今後の原油先物価格だが上記の様な状況を考えると不透明感が増したと思われる。これからのOPECプラス関連の動きにはこれまで以上に気を付けておくことにしたい。