はじめに
先週2023年6月2日(金)の米国市場は
アマゾン携帯プランの追加報道で再びAT&T株下落(2023/6)
でまとめた様に米債務上限停止法案が上院を通過する中で
いずれも1%超上昇し、自分の所有銘柄もAT&T(T)を覗く銘柄が全て上昇したのだが、その中でもケマーズ(CC)は
前日比24.09%の上昇となり、その他同じセクター(Basic Materials)に属している所有銘柄も
軒並み市場を上回る上昇となっていた。
理由を調べてみると掲題の件が影響したようだ。以下、その内容について確認、整理しておく。
2023年6月2日(金)のケマーズ(CC)、デュポン・ドゥ・ヌムール(DD)、コルテバ(CTVA)の発表
3社共に発表内容は同じ。以下はケマーズの企業サイトより引用・抜粋。
- Chemours, DuPont, and Corteva Reach Comprehensive PFAS Settlement with U.S. Water Systems
ケマーズ、デュポン及びコルテバが米国の水道システムと化学物質PFAS(Per- and polyfluoroalkyl substances:有機フッ素化合物)に関する包括的な和解で合意 - The class includes water systems with a current detection of PFAS at any level and those that are currently required to monitor for the presence of PFAS under EPA monitoring rules or other applicable laws
これには現在あらゆるレベルでPFASが検出されている水道システム、およびEPA監視規則またはその他の適用法に基づいてPFASの存在を監視することが現在義務付けられている水道システムが含まれます - This includes but is not limited to systems in the South Carolina aqueous film-forming foam multi-district litigation (“AFFF MDL”)
これにはサウスカロライナ州の水性フィルム形成泡沫複数地区訴訟「AFFF MDL」のシステムが含まれますが、これに限定されません - The companies will collectively establish and contribute a total of $1.185 billion to a settlement fund (“water district settlement fund”)
各社は共同で和解基金「水道地区和解基金」を設立し、総額11億8500万ドルを拠出します - Contribution rates will be consistent with the binding Memorandum of Understanding between the companies reached in January 2021, with Chemours contributing 50 percent (about $592 million), and DuPont (about $400 million) and Corteva (about $193 million) collectively contributing the remaining 50 percent
出資率は2021年1月に各社間で締結された拘束力のある覚書と一致し、ケマーズが50%(約5億9200万ドル)を出資し、デュポン(約4億ドル)とコルテバ(約1億9300万ドル)が合わせて残りの50%を出資します - Upon finalization of a definitive agreement, expected within the second quarter of 2023, the settlement will be subject to approval by the United States District Court for the District of South Carolina
この和解は2023年第2四半期に最終合意が完了した後サウスカロライナ州連邦地方裁判所の承認を必要とします
まとめ
対象3社の株価は今回の和解で上昇したものの、PFASに関する問題が全て解決したわけではない点には注意が必要だろう。同様のPFASに関する訴訟は全米の様々な州で行われており、デュポン・ドゥ・ヌムール、ケマーズ、コルテバの潜在的なリスク要因となっている(2023年5月のデュポン2023年第1四半期決算でも軽く触れている)。
今回の和解が他州の訴訟に影響を及ぼすのかどうかは定かではないが、何とか穏当に訴訟を解決してリスク要因を解決し株価・業績の上昇につなげてもらいたいものだ。
ちなみにダウ・インク(DOW)はPFASに関する訴訟の対象となっていないが、同じBasic Materialsセクターであることと以下の様な合併・分割で関連があるために上で挙げている。
2015年:デュポンからケマーズがスピンオフ