Iger氏が再びウォルト・ディズニーのCEOに(2022/11)

はじめに

昨日2022年11月21日(月)の米国市場は

NASDAQ総合を中心に下落基調だったのだが、そんな中自分の所有銘柄であるウォルト・ディズニー(DIS)は

前日比6.30%の大幅上昇。原因は掲題の通り前最高経営責任者(CEO)のRobert A. Iger氏が突然最高経営責任者に復帰することが発表されたためだろう。

ただ調べた所ウォルト・ディズニーに関して、それ以外のニュースもあったので以下確認して整理しておく。


Robert A. Iger氏がウォルト・ディズニーの最高経営責任者に復帰

発表は2022年11月20日(日)に行われている。以下はウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。

  • Robert A. Iger氏が最高経営責任者(CEO)として戻ってくることを発表
  • CEOとしての15年間を含め当社で40年以上を過ごしたIger氏は、新たな成長のための戦略的方向性を設定し、緊密に協力するという取締役会からの委任を受けてディズニーのCEOを2年間務めることに同意
  • 取締役会は、ディズニーが業界の変革というますます複雑な時期に踏み出すにあたりIger氏がこの重要な時期に当社を率いる比類ない立場にあると判断
  • Iger氏は任期満了時にウォルト・ディズニーを率いる後継者を育成するために取締役会と協力
  • Iger氏は辞任したBob Chapek氏の後任
  • 取締役会会長の役職に変更はなくSusan Arnold氏がその役職を務める

その他にはIger氏の経歴が主に紹介されている。


MoffettNathansonのアナリストMichael Nathanson氏のウォルト・ディズニー投資格付けアップデート

投資格付け:Market PerformからOutperformに上方修正

目標株価:120ドルで変わらず

以下はMichael Nathanson氏の投資格付けアップデートの要旨。

  • 新CEOのIger氏に以下の点を期待している
    • 現在のストリーミング戦略を再検討し、方向転換すること
    • ケーブルTV(Linear Networks)が直面している課題に対処し、必須ではないスポーツ放送を削減すること
    • 前CEO Chapek氏の下で確立されたコンテンツ調達の集中型アプローチを変更すること
    • 規律、健全な戦略、完璧な実行力で会社を前進させること
  • ディズニー・プラスは、恐らく最終的な加入者を高額の料金を喜んで支払う素晴らしいファン層に限定した方が上手くいき、はるかに高いマージンを生み出すだろう

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道

上記発表後にウォール・ストリート・ジャーナルがディズニーについて関係者からの情報として以下の様な事を報じている。

  • Nelson Peltz氏(いわゆるアクティビスト)が率いるTrian Fund Managementは今月初めに8億ドル以上相当の Disney株を購入している
  • 株式は5%の開示基準を下回っておりTrianが望んでいたほど大きくはないが、市場の状況に応じて成長する可能性が高い
  • 関係者によるとTrianはディズニーの取締役会への参加を求めており、業務改善とコスト削減を迫っている
  • また、TrianはIger氏が会社の支配権を取り戻すべきではないと考えている

Iger氏の報酬

2022年11月21日(月)に開示されたForm 8-KによるとIger氏の報酬は以下の通り。

  • 年間100万ドルの基本報酬
  • 基本報酬と同水準を目標とする成果反映型の賞与
  • 2500万ドルを目標とする長期インセンティブ報酬

Iger氏が組織再編を行う考えを従業員宛てのメールで通知

ロイターの報道によると、CEO就任翌日の21日にIger氏は以下の様な組織再編を行う考えを従業員宛てのメールで通知したとのこと。

  • 前CEO Chapek氏が映画・テレビ番組の販売や流通を一元化するために設立したDisney Media and Entertainment Distributionが再編の対象
  • 同部門の会長でChapek氏の補佐役だったKareem Daniel氏は退社
  • Entertainment Contentsを総括するDana Walden氏などの幹部らに、Creative部門を中心とした新しい組織構造についてアイデアを出すよう求める

まとめ

上記の様に11月20日、21日にウォルト・ディズニーに関する様々な報道がなされたのだが、冒頭の通りウォルト・ディズニー株は大幅上昇したことから、Iger氏のCEO再登場が期待込みで評価されたのだろう。

ただ、個人的にはIger氏のCEO任期が2年間と限定されておりその間に事業変革と後任も育成すること、Nelson Peltz氏が率いる投資ファンドがIger氏の再任を適切とは考えていないこと等を考えるとどれ程ディズニーが効率的になるかはやや疑問を感じる面もあり、昨日の株価は上がり過ぎな気もする。

とはいえ年初来のディズニー株の推移を見てみると

市場(S&P 500)に比べて20%程低いパフォーマンスとなっており、Iger氏がCEO着任翌日に上述の通り前CEOの戦略を早速転換した事を考えると、ディズニー株の上昇余地はまだあるのかもしれない。CEOの変更がどれだけ業績に影響を及ぼすか、その影響がどれだけ早く出てくるかに注目しておきたい。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。