はじめに
2022年11月2日(水)の米国市場は
とFOMC会合及びパウエル議長の会見を受けて大きく下落したのだが、そんな中自分が所有しているデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)は
と3%を超える上昇。2022年第3四半期決算を受けての事かと思ったのだが、デュポンの決算発表は11月8日(火)でまだ行われておらず、よく調べてみると掲題のRogers買収撤回の件が影響したらしい。
以下Rogers買収撤回の件について整理・確認しておくことにする。
2022年11月1日のデュポンの発表
以下はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトに11月1日米国市場閉場後に発表された内容より引用・抜粋。
- DuPont (NYSE: DD) today announced the termination of the previously announced agreement to acquire the outstanding shares of Rogers Corporation, as the companies have been unable to obtain timely clearance from all the required regulators.
デュポンは本日、ロジャース・コーポレーションの発行済株式を取得するという以前に発表された契約の終了を発表しました。必要なすべての規制当局から適時に許可を得ることが出来なかったためです。 - DuPont is paying Rogers a termination fee of $162.5 million in accordance with the agreement.
デュポンは契約に従ってロジャーズに1億6250万ドルの契約解除料を支払います。
発表文は上記のみ。得られなかった必要な規制当局の許可は明記されていないが、2022年8月の2022年第2四半期決算時に中国当局の審査を残すのみとしていたことから、中国当局の許可が得られなかったものと推測される。
発表を受けてのデュポン、ロジャース両社の株価
デュポンの株価は先述の通り市場の下落にも関わらず上昇したのだが、一方でロジャースの株価は
と40%を超える急落。
デュポン株が上昇したのは買収撤回により、買収に充てる予定の現金が財務上の柔軟性を生むことや自社株買い戻し等の株主還元が期待されるためだろう。
一方でロジャース株が急落したのは、元々の2021年11月の買収提案時はデュポンはロジャース株に対して1株当たり@277ドルのオファーであったのだが、買収撤回によりうま味が無くなったためだろう。更に言えば、ロジャースの昨年2021年の収益の約3分の1は中国市場におけるもので、明示はされていないが今回中国当局の承認が得られなかったために買収が撤回されたことも今後のロジャースの中国での事業に懸念を及ぼした可能性もある。
まとめ
自分はデュポン・ドゥ・ヌムールのみ所有しておりロジャース株は所有していないので、今回のデュポンによるロジャース買収撤回を受けての株価を見ると少なくとも短期的には良かったと言える。
先に書いた様にデュポンの2022年第3四半期決算発表は11月8日(火)に行われるので、そこでこのロジャース買収撤回のより詳しい情報が得られるだろう。
今後はデュポンが買収撤回により生まれるであろう財務上の柔軟性を上手く今後の事業に活かしてもらいたいものだ。次回のデュポンの配当発表(恐らく2023年1月)が通常であれば増配のタイミングであるので、配当据え置きではなく着実な増配かつ増配幅の拡大を望みたい。