フィリップモリス(PM)の買収関連アップデート(2022/10)

はじめに

2022年10月20日(木)は自分が所有しているフィリップ・モリス(PM)の2022年第3四半期決算発表があったのだが、同日にフィリップ・モリスが買収提案をしているスウェディッシュ・マッチに関するアップデート情報も提供されていた。

以下その状況について確認しておくことにする。


これまでの経緯

今迄適宜スウェディッシュ・マッチ買収提案に関する情報は触れてきたが、

アルトリア(MO)の投資格付けアップデート(2022/5/11)

フィリップ・モリス2022年第2四半期決算(2022/7)

抜け落ちているもののもあるので再整理しておく。

  • 2022年5月11日、Philip Morris International Inc.の関連会社であるPhilip Morris Holland Holdings BVがSwedish Match AB の株式を取得する買収提案を行う。その際の価格は一株当たり106クローナ
  • スウェーデンの法律では買収には10月21日までにスウェディッシュ・マッチ株主の9割が賛成することが必要
  • 2022年7月、アクティビストのエリオット・インベストメント・マネジメントが現在の条件下でのフィリップ・モリスによる買収に反対する計画で株式取得を進める
  • EU当局による買収予備審査が10月11日の期限から延長される
  • 2022年10月4日、PMHHは買収提案受け入れ期間が2022年11月4日まで延長されたことを発表

2022年10月20日の発表

2022年10月20日に発表された主な内容は以下の通り。

  • スウェディッシュ・マッチの株主には1株あたり116クローナの現金が提供されます
  • PMHH は改訂されたオファーの価格をさらに引き上げることはありません
  • 改訂されたオファーの価格は、最初のオファーが5月に発表されてからの通貨の動きを考慮して、主に米ドルで生成されたスウェディッシュ・マッチのキャッシュフローの部分に関連するPMIのより高い正味価値を反映しています
  • 提案が失敗した場合、PMIは米国でIQOSと残りの禁煙ポートフォリオを独自に開発する準備が整っています

まとめ

このフィリップ・モリスのスウェディッシュ・マッチ買収が成功するかどうかは不透明だが、この発表前時点ではエリオット・インベストメント・マネジメントなどのヘッジファンド勢の持ち株が25%を超えているとの報道もあり、このままではフィリップ・モリスが買収に必要な90%を確保出来ないかもしれない。

その場合のフィリップ・モリスの選択肢は以下の2つが考えられる。

  1. 買収提案を撤回する
  2. 90%というしきい値を引き下げて買収を続行する

ただし2の場合はスウェーデンの法律下では完全な買収とはならず権限が限定されることになる。

元々フィリップ・モリスのスウェディッシュ・マッチ買収の目的は米国に無煙タバコ製品の販路を持っている事が大きかった訳だが、フィリップモリスは同日に現在アルトリア・グループ(MO)が保持しているIQOSの米国内独占販売権を取得したことを発表している。

フィリップ・モリスがIQOSの米国内独占販売権を取得したにもかかわらず、スウェディッシュ・マッチの買収提案を取り下げてはいないことから、まだ買収に利点を感じているのだろうが元々米国内での小売流通が目的とされていただけに、買収が不調に終わってもその影響は限定的になるのかもしれない。

10月20日は決算発表、IQOSの米国内独占販売権取得、そしてスウェディッシュ・マッチ買収のアップデートと情報過多になっており、それぞれがどの程度フィリップ・モリス株に影響を与えたかを判断するのは難しい。この買収に関しては期限の11月4日(金)の翌週11月7日(月)に何らかの発表があると思われるので、その結果とそれを受けての株価がどうなるかについて注意しておくことにしたい。

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