2022年10月のOPECプラス会合結果(2022/10)

はじめに

2022年10月5日には11月からの原油生産量を決定するOPECプラスの閣僚級会合が行われた。

9月半ばの8月米消費者物価指数発表以降米国市場は低調な状況となっており、そのような状況を踏まえOPECプラスが今後の原油生産をどのように決定したのか気になるところ。

以下今回のOPECプラス会合結果内容を確認し整理しておく。


2022年10月5日のOPECプラス会合まとめ

以下は主にロイター、ブルームバーグの報道などより引用・抜粋。

【会合前】

  • 10月3日にロイターが関係筋の話として、OPECプラスは日量100万バレル以上の減産を協議しており、各加盟国による自主的な減産が上乗せされれば2020年以来最大の減産幅となる可能性があると報じる
  • 10月4日にロイターが関係筋の話として、米国はOPECプラスに対し大幅な減産を行わないよう働きかけていると報じる
  • 10月4日、米国家安全保障会議(NSC)のエイドリアン・ワトソン報道官は「OPECが行動を起こすまで、そのいかなる行動についてもコメントはしない」と語る

【会合結果】

  • OPECプラスは5日の閣僚級会合で11月から日量200万バレルの減産を実施することで合意
  • 減産幅は2020年のCOVID-19のパンデミック以来最も大幅なもの
  • ただ実際には、すでにOPECプラスの8月の産油量は目標に対し日量約360万バレル未達で今回の減産幅はそれを下回っているため、実質的な減産は日量100万バレルに満たないと予想する報道が多数
  • OPECプラスの協調減産を1年間延長し、2023年末までとすることで合意
  • 減産の実施状況を監督する共同閣僚監視委員会(JMMC)を2ヶ月ごとへと移行
  • OPECプラスの閣僚級会合はこれまでの毎月から半年ごとへと移行
  • OPECプラスの次回閣僚級会合は12月4日予定

【会合後】

  • 同日発表された米エネルギー情報局(EIA)の週報によると9月30日までの週に原油在庫は135.6万バレル減少、市場予想は180万バレルの増加
  • ホワイトハウスは声明で「世界経済がプーチン大統領によるウクライナ侵攻に伴う悪影響に対処する中、バイデン大統領はOPECプラスの短絡的な決定に失望している」と発表
  • サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とディース国家経済会議(NEC)委員長は発表文で、戦略石油備蓄(SPR)から11月に1000万バレルを追加放出すると表明

まとめ

10月のOPECプラスは11月から2020年以来最大幅の日産200万バレルの減少で合意と予想外の大幅減少。ただし上述の通り実際の減産幅は100万バレル程度になる模様。

それでもやはりエネルギーのインフレが進んでいる世界経済に、今回の決定がどのような影響を及ぼすかは不透明。実際に同日の米原油在庫は市場予想に反して減少している。

事前からOPECプラス会合で大幅減産がある程度想定されていたこともあり、過去5日間のニューヨーク原油先物は

OPECプラス会合の前から上昇傾向。そして年初来では

ウクライナ侵攻前程度の水準となっている。

今回の決定で原油価格がどうなるのかは不透明だが、ナイジェリアのシルバ石油資源相がOPECプラス会合後に「OPECは90ドル前後の価格を望んでいる」と発言している。

そして原油先物価格に依存することが大きい自分が所有しているエクソン・モービル(XOM)の株価だが過去1ヶ月で見ると、

やはりニューヨーク原油先物と類似した推移となっている。ただ年初来で見ると

7月以降に原油先物価格が下落傾向にあるのに対し、エクソン株は上手く対処している様に見える。またエクソンが10月4日閉場後に開示したForm 8-Kで第3四半期の決算が市場予想を上回ることが予想され、市場が

下落する中で

4%を超える上昇となっている。

10月28日に正式に発表予定の2022年第3四半期決算には期待が持てそうだが、このForm 8-Kで既に上昇分が株価に織り込まれたかもしれないので、過度な期待はしないでおこう。

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