はじめに
2022年7月21日(木)には自分の所有銘柄であるダウ・インク(DOW)の2022年第2四半期決算発表があった。
しっかりと確認はしていないのだが、インフレ高進と共にダウ・インク株は冴えない動きをしている印象がありその決算内容が気になる所。以下にその決算内容を確認し整理しておく。
ダウ・インク2022年第2四半期決算概要
以下の情報はダウ・インクの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第2四半期の総売上(Net Sales)は156億6400万ドル、前年同期は138億8500万ドルで前年同期比13%増
- 2022年第2四半期の一時項目を除く一株当たり利益(Operating Earnings Per Share)は2.31ドル、前年同期は2.72ドル
事業部別業績は以下の通り。
包装・特殊プラスチックの売上高は16%増の82億3300万ドル。出荷量が5%、価格(Local Price)が14%上昇したのが寄与している。
素材・インフラストラクチャの売上高は前年比4%増の43億7000万ドル。価格(Local Price)が14%上昇したものの出荷量は6%減少している。
パフォーマンスマテリアル・コーティングの売上高は前年同期比22%増の30億300万ドル。価格(Local Price)が28%上昇したものの出荷量は3%減少している。
2022年通期見通し
2022年通期の考慮要因(FY2022 MODELING CONSIDERATIONS)は以下の通り。
あくまで考慮要因であるので、アップデートがいずれもポジティブとなっているが業績にどれ程好影響となるのは不明。
2022年第3四半期の見通しは以下の通り。
3事業部門いずれも今四半期に比べて売上減少を見込んでいる。事業部ごとの内容を見てみると
【包装・特殊プラスチック】
- ヨーロッパにおけるエネルギーコストや短期的な地域供給不均衡による1億2500万ドルの悪影響
- 計画された季節的なメンテナンスのターンアラウンドにより7500万ドルの悪影響
【素材・インフラストラクチャ】
- インフレが世界の耐久消費財需要に引き続き影響を与える
- ヨーロッパでのエネルギーコストの上昇、短期的なマージンに影響を与える中国でのプロピレンオキシド供給の回復による約1億2500万ドルの悪影響
- フランスでの大規模なターンアラウンド完了やテキサス、ドイツでの追加活動により2500万ドルの好影響
【パフォーマンスマテリアル・コーティング】
- 中国での産業用シロキサン供給増加、ヨーロッパでのより高いエネルギーコストにより2億ドルの悪影響
となり全体の売上は143億ドル~148億ドルと見込んでいる。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第2四半期の総売上(Net Sales)は156億6400万ドル、市場予想の155億4000万ドルを上回っている
- 2022年第2四半期の一時項目を除く一株当たり利益(Operating Earnings Per Share)は2.31ドルで、市場予想の2.14ドルを上回っている
- 2022年第3四半期の売上見通しは143億ドル~148億ドル、市場予想は147億ドル
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてダウ・インク株は
2.19%の下落。同日の米国市場が
一時前日比マイナスの局面もあったもののいずれも前日比プラスで終えているのと比べるとかなり見劣りのする株価となった。第2四半期の決算自体は売上、EPSとも市場予想を上回ったのだが第3四半期の売上予想が第2四半期に比べてマイナスとなったことが材料視されたのだろう。
年初来のダウ・インク株の推移を決算発表翌日まで含めて市場(S&P 500)と比べてみると
ダウ・インクは6月10日から大きく下落しているのが分かる。この6月10日は米国の2022年5月消費者物価指数(CPI)が発表され、市場予想を上回るインフレ圧力が明らかになっている。前四半期までは価格への転嫁などでエネルギーに代表されるインフレを上手く切り抜けていたダウ・インクだが、流石にインフレ、特にヨーロッパでのエネルギーコストが業績に影響する見込みとなったようだ。
今後のダウ・インク株だが、需要自体は決算資料を見る限り未だ堅調としているが、エネルギーに代表されるコストインフレ圧力が根強い現状からするとあまり期待できそうにはない。何とかヨーロッパも含めたインフレ(特にエネルギー)が落ち着き、この状況を乗り切ってくれるといいのだがなあ。