はじめに
2022年7月13日(水)には注目の2022年6月米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。
発表前の7月11日(月)にカリーヌ・ジャン=ピエール米大統領補佐官が記者会見で、ガソリンと食品を含む全体の数字が「非常に高い」水準になると発言していたのである程度の上昇は覚悟しているのだが、実際の指数は市場予想と比べてどうだったのか、そしてそれを受けて市場はどう反応したのか以下にまとめておく。
2022年7月13日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2022年6月消費者物価指数(CPI)
以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。
- 2022年6月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は1.3%上昇、市場予想は1.1%の上昇
- 2022年6月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では9.1%上昇、市場予想は8.8%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除くと前年比5.9%上昇、市場予想は5.7%の上昇
- 全品目の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)9.1%上昇は、1981年11月以来40年振りの大幅な上昇
先月気になったCPI構成要素を今回も確認してみる。
- 家庭用食品(Food at home)は前年比12.2%上昇で1979年4月以来の伸び率。2022年5月は前年比11.9%上昇
- 電気代(Electricity)は前年比13.7%上昇で2006年4月以来の伸び率。2022年5月は前年比12.0%上昇
- 住居費(Shelter、主に家賃)は前年比5.6%上昇で1991年2月以来の伸び率。2022年5月は5.5%上昇
住居費はサービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の1を占めると言われている。
先月2022年5月のCPIでも家庭への影響が大きそうで気になった上記3構成要素はいずれも上昇している。
同日の米国市場
2022年6月米消費者物価指数が発表された2022年7月13日の米国市場は
いずれも前日比マイナスとなったものの、開場前に発表された市場予想を上回るCPIの影響による下落を徐々に回復して終わる結果となった。ただし持ち直した明確な理由は無し。
また今回の消費者物価指数上昇率が予想を超えたことで、連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で100ベーシスポイント(bp)の利上げに踏み切るとの観測が強まったとの報道もあった。それもあってか米国債の金利は
2年債の利回りが上昇し、10年債との利回りが逆転する逆イールド状態に拍車をかける結果となっている。
まとめ
前回2022年6月10日に発表のあった5月米消費者物価指数発表時の米国市場は
いずれも大きく下げていたのだが、それに比べると今回6月米消費者物価指数発表による市場の下げ幅は思ったよりも少なかった。考えられるのは冒頭に挙げた大統領報道官が事前に警告していたこと、変動の多いエネルギーと食品を除くとやや落ち着いた感も見受けらることが影響したのかもしれない。
今後の米国市場だが今回のCPIを受けての更なる利上げ観測、100bp利上げとなった場合の景気減速懸念、といった要素に市場がどう反応するのかが非常に気に掛かる。弱気基調で神経質な市場が続くような気がするがどうなるのだろうか。
何とか今晩7月14日から本格化する米国企業の4~6月期決算内容が悪くならずに、市場の弱気基調に耐えうるものとなってくれるといいのだが。