米国債イールドカーブ(逆イールド)の個人的整理(2020/2)

はじめに

2018年後半ぐらいから米国市場関連の情報を見ていると、「逆イールド」という言葉が頻繁にニュース記事に出てきているような気がする。大体その都度、自分が所有している銘柄で現在評価額が一番高いシティグループ(C)の株価が影響を受けているようにも思われる(ほぼ悪い方向に)。なんとなく理解しているつもりではあるが、今後のためにここで再度イールドカーブについて自分なりに整理しておくことにする。あくまでも自分なりなので誤りがある可能性がある点には注意。


そもそもイールドカーブとは

「1ヶ月(4週間)から30年まで、あらゆる期間の米国債の利回りの分布をつないだ線」というのが狭義の定義だろうか。広義の意味では米国債に限らず債権一般を指すようだが、米国株投資をしている自分が気にしているニュース記事では、米国債が前提になっているケースほとんど。以下にその前提となる米国債についても簡単に整理しておく。

米国債の種類

正式名称は「United States Treasury securities」で、日本語では米国財務省証券といったところ。一般的には米国債と呼ばれることが多いので、ここでは以降その通称を使うことにする。

米国債には償還期間によってタイプが3種類あって、

  • Treasury bills (T-bills)(短期債):償却期間1年以内
  • Treasury note(中期債):償却期間が2、3、5、7、または10年
  • Treasury bond(長期債):償却期間が30年

となるようだ。実際にはそれぞれ利払いの方法も異なるのだがここでは割愛。

イールドカーブに戻ると、通常のケースでは右肩上がりになる。これは一般的には短期債ほど利回りが低いため。資金をより長い期間債権に投資すればするほど、その債権に対して報われるべき(利回り)、または借り手(この場合米国財務省)が返済しないかもしれない可能性が高くなる、ということを反映している。


逆イールド

そして最近目に付く「逆イールド」だが、イールドカーブの一部もしくは全体が右肩上がりでなくなること。つまり「長短利回りが逆転すること」を指す。専門家や市場関係者によってイールドカーブの注目部分は異なるようだが、どの逆イールドも将来の経済成長が弱まるとの見通しを反映している点は共通している。

なぜ逆イールドが重要視されるのか

簡単に言うと過去の経験から逆イールドは、景気後退が迫っていると知らせる指標となっているため。

例えば、1960年以降米国10年債利回りから3ヶ月財務省短期証券利回りを引いた長短金利差が逆転し、逆イールドが発生した際には、それほど時間を置かずに景気後退局面を迎えていた。ただし1966~1967年に発生した逆イールドは景気後退とはなっていない。

以下Federal Reserve Bank of New York(ニューヨーク連邦準備銀行)のサイトに実際の米国10年債利回りから3ヶ月財務省短期証券利回りを引いた長短金利差グラフ(上)及び今後の景気後退の可能性(下)が掲載されている。

https://www.newyorkfed.org/research/capital_markets/ycfaq.html#/interactive

また逆イールドになると景気後退になるロジックとしては、

①短期債利回りが長期債利回りより高くなる

②企業/消費者の運用資金調達が短期間でも割高になる

③企業/消費者が投資/消費を抑制する

④経済が縮小し、失業者が増える

ということなのだろう。

銀行株の下落要因

冒頭に挙げた逆イールドあるいはその兆候が見られると、何故特に銀行株が下落するのかという点については、

  • 銀行は短期金利で借り、長期金利で貸し付けるため、短期債と長期債の利回り格差が狭まると、金利差による利益(純金利マージン)が低下する
  • 利益低下が見込まれるので米銀行株価が下落する

というのが主なロジックらしい。


まとめ

簡単にイールドカーブと逆イールドについて整理してみた。

過去のデータから確かに逆イールドが発生すると、景気後退が起こる可能性が高いことは納得できた気がする。

しかし個人的に重要なのは、それを受けて自分の米国株投資をどうするか、という点となる。景気後退になりそうだから株式ではなく現金保有の割合を高める、などといった施策を取るのもありだとは思うが、

  1. 今までずっとバイアンドホールドで投資してきた自分が他のやり方をするのもなあ、という感情が先立ってしまう
  2. 過去の歴史がそうだったからといって必ずしも景気後退につながるという訳でもないだろう、という思い
  3. 景気後退になり所有株の株価が下がっても、すぐに配当金が減配あるいは無配になるわけではないだろう、という考え

がある。

それではこのイールドカーブ/逆イールドをまったく気にしなくていいのか、というのもまた少し違う気がする。今の長期投資/バイアンドホールドというスタンスではあまり関係ないかもしれないが、あくまで「現時点では」というだけで、今後自分の投資スタイルが変わる可能性もあるわけだし、自分の中で分からない/納得のいかない事象というのは、自分の性格上ストレスがたまりやすいものでもある。

これからも適宜分からない用語等が出てきたら、あるいは分かったつもりでいる用語でも疑問を感じたら、自分なりに整理していこう。

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