アルトリア(MO)の投資格付けアップデート(2021/3)

はじめに

昨日は自分の所有銘柄の一つであるアルトリア・グループ(MO)株に対するアナリストのアップデートがあった。

10日程前に別のアナリストがアルトリアに対するアップデートをしたばかりであるので、それとの比較も意識してまとめてみることにする。


2021年3月26日(金)Jefferiesのアルトリア・グループ株に関するアップデート

【Jefferies】

投資格付け:HoldからBuyへ上方修正

目標株価:40ドルから58ドルへ上方修正

以下はJefferiesのアナリストOwen Bennett氏の見解要旨。

  • “With regulators and tobacco ambitions increasingly aligned, in many countries, no smokers within a generation could become a reality”
    「規制当局とタバコ業界の野心がますます一致する中、多くの国では、世代内に喫煙者がいなくなることが現実味を帯びています」
  • “If smokefree is to happen, this is only achieved with the support of RRP*”
    「無煙が発生する場合、これはRRPのサポートによってのみ達成されます」
  • “while optically MO’s metrics would appear to be increasingly challenged if the shift away from smokers accelerates, we think this misses significant underappreciated optionality in vapour and cannabis via M&A, especially if selling its ABI stake to fund this”
    「喫煙者からの移行が加速した場合、MOの指標はますます困難になるように思われますが、我々はこの考えはM&Aによるvapour(電子タバコ)と大麻の大幅に過小評価されたオプション、特にこれに資金を提供するためにABI株を売却する場合、を見逃していると考えています」

*RRPはこの文脈ではReduced-Risk Products(リスク低減製品)だと思われる。最初はRecommended Retail Price(希望小売価格)かと思った。


10日前のシティグループの投資格付けとの比較

類似しているのは紙巻きタバコが今後市場からますます減少するという点。Jefferiesは多くの市場で10年~20年の内に(In 10 to 20 years)、シティグループは米国、ヨーロッパの一部、オーストラリア、ラテンアメリカの大部分から2050年までに紙巻タバコの喫煙が無くなるとしている。

シティはこの紙巻きタバコ市場縮小という長期的傾向に加え短期的傾向からもアルトリアの目標株価を引き下げていたのだが、Jefferiesはアルトリアが投資した電子タバコ(JUUL)と大麻(Cronos)が紙巻きタバコの失速をカバーし、必要に応じて所有するABI(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)株の売却による投資も可能と見ている点が異なっている。

論拠の大本は同じなのだが、そこから導出される結論が異なっているのは興味深い。


まとめ

昨日のJefferiesのアルトリア・グループ株アップデートを受けて株価は、

4.60%の上昇。ダウ工業平均が1.39%、S&P 500が1.66%、NASDAQが1.24%いずれも上昇しているのを差し引いてもまずまずの上昇具合だったと言える。

前回のシティによるアップデートをまとめた際には下落はしたもののさほど下落幅は大きくなく、自分も

「この投資格付け更新がアルトリア株に影響を与えたとは考えにくい」

と書いていたが、市場の見通しもタバコ市場の縮小は逃れられないにしても、アルトリア株はまだ有望というJefferiesの見方の方がシティの見方よりも強いように思われ、それが株価に反映されたのではないだろうか。

ただ個人的には電子タバコ(JUUL)と大麻(Cronos)が紙巻きタバコの減少をカバーするというJefferiesの見方には疑問が残る。どちからというと加熱式タバコ(IQOS)が紙巻タバコに置き換わってくるのではないかと思っている。

2020年第3四半期決算までで128億ドルを投資したJUULは減損処理を繰り返したため簿価が約16億ドルにまで減少しており、健康に関するFDAとの諸問題も解決したとは言えないので、JUULに関してはしばらくは期待できないと思う。

数年後に紙巻きタバコの落ち込みをIQOSとJUULの組み合わせでカバーしてくれるのがベストなのだがその実現はハードルが高いと思われるので、ここ最近のアルトリア株の上昇

【年初来株価】

はまだまだ安心はできない気がするが、しばらく大崩れもないだろうとは思う。

この個人的予想に反してアルトリアの業績・株価が持続的に上昇することを期待したい。

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