はじめに
2022年4月半ばからひと月程は自分の所有米国株の決算発表を確認していたが、その中で触れられる話題としては
- ロシア/ウクライナ関連
- 中国(上海)でのロックダウン
- エネルギー、原材料、人件費等のインフレ
そしてサプライチェーンの混乱に言及する企業が多かったと思う。その中でサプライチェーンに関しては先日のシスコ・システムズ(CSCO)が中国での電力不足に起因した製品出荷の遅れについて述べていた以外は具体性には乏しかった様に思う。そのため、自分の中ではサプライチェーン問題が今一つピンと来ていない側面があったのだが、昨日自分の所有株であるボーイング(BA)とゼネラル・エレクトリック(GE)に関連するサプライチェーンの混乱の具体的な報道があったので以下に整理しておくことにする。
ジェットエンジンメーカーCFMインターナショナルのサプライチェーンとフランスでの労働問題
以下は主に2022年5月23日(月)米国市場閉場後のロイター報道より引用・抜粋。
- ジェットエンジンメーカーのCFMインターナショナルは、サプライチェーンの問題とフランスの労働不安のために6〜8週間の遅延に直面している
- CFMインターナショナルはゼネラル・エレクトリックとフランスのサフランの合弁会社
- CFMは販売数で世界最大のジェットエンジンメーカーであり、ボーイングの737MAXやエアバスA320ファミリーの約半分を含むほとんどのナローボディ機にエンジンを供給している
- 匿名筋の話によると、一部のエアバスの顧客はヨーロッパの工場の混雑(congestion)により既に部分的に遅れている航空機の納入が、CFMエンジンの遅れの結果として更に遅れる可能性があると警告されている
- 匿名筋によるとボーイングへのエンジンの配送にも遅れがあったが、飛行機の納入に影響を及ぼしているという兆候はまだない
- CFMの広報担当者はロイターの質問に答えて「サプライチェーンの制約を緩和するためにサプライヤーと熱心に協力しており、納品を加速し顧客の需要を満たすためにエアフレームパートナーと緊密に連携しています」と述べた
- エアバスのスポークスマンは、四半期決算発表で提供された最近のサプライチェーンのコメントに追加するものは何もないと述べた
- ボーイングのスポークスマンはコメントをしなかった
- 壊れたサプライチェーンと格闘している(in wrestling with fractured supply chains)のはCFMだけではありません。第1四半期決算発表段階で、GEはサプライチェーンの圧力を乗り越えていると述べ、サフランはサプライチェーンとインフレが「2つの主要な監視項目」であると述べている
- ボーイングは5月11日に単一タイプの配線コネクタの不足により737の生産が遅れたと述べている
- プラット・アンド・ホイットニーのエンジンがエアバスA320neoでCFMと競合しているレイセオン・テクノロジーズは、4月26日事業全体でサプライチェーンの制約に直面していると述べている
まとめ
この報道を受けてのボーイング株とGE株はそれぞれ
となっておりS&P 500の
下げ幅よりも大きく株価を下げている。
先に述べた様に各社決算発表ではサプライチェーン問題について触れられてはいたものの具体的な事例まで踏み込むことはあまり無かったので、今回のロイター報道は具体性があり自分にとってサプライチェーン問題が企業にとって大きい問題である事を改めて認識させられるものでだった。
企業によっては自分が思っているよりもサプライチェーン問題は大きいのかもしれない。特にボーイングは787 Dreamlinerが納入停止されている現在、737MAX機の製造・納入が遅れることになると、業績・株価に更に影響を及ぼすことになる。
ただでさえボーイングとゼネラル・エレクトリックは現在取得価額に比べてマイナスになっており、ボーイングは配当停止、ゼネラル・エレクトリックは四半期配当が@0.08ドルと株価・配当共に低調な銘柄なので何とか持ち直して欲しいのだが、昨今の状況を考えるとなかなか難しいのだろう。他の所有銘柄全体の株価や配当を考慮する必要があるが、場合によっては両社の売却も考えた方がいいのかもしれない。