ワーナーブラザースディスカバリー’22年1Q決算(2022/4)

はじめに

2022年4月26日には自分が所有しているAT&Tから分離したワーナーメディアがディスカバリーと設立したワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)の初めての決算発表があった。

先日あったAT&Tの決算発表でワーナーメディアに関連する部分は触れられていたが、ディスカバリーも含めた新会社の決算内容はどうなったのか。以下に確認し整理しておく。


ワーナーブラザース・ディスカバリー2022年第1四半期決算概要

以下の内容は、ワーナーブラザース・ディスカバリーの企業サイトより引用・抜粋。

先に書いた様にワーナーブラザース・ディスカバリーの決算発表でワーナーメディアも含めた新会社全体の決算が発表されると思っていたのだが、決算資料を見ると今回のワーナーブラザース・ディスカバリーの決算資料はディスカバリーの部分のみ。冷静に考えると新会社は4月8日設立であり、今回の決算は2022年1~3月までなので統合されていないのは当然だったか。

  • 2022年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は31億5900万ドル、前年同期は27億9200万ドルで前年同期比13%増加
  • 2022年第1四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)は0.69ドル、前年同期は0.21ドル

その他

  • Discovery+の加入者を含む有料ストリーミング加入者の総数は今四半期200万増加し、合計2400万(ワーナーメディアのHBO/HBO Maxは含まず)
  • アナリストとのカンファレンスコールで最高財務責任者(CFO)のGunnar Wiedenfels氏は、2022年は間違いなく厄介な年になる(undoubtedly be a messy year)と発言
  • 他にもGunnar Wiedenfels氏は以下の様な発言をしている
    • 2022年の利益ベースラインのWarnerMedia部分は彼が予想していたよりも約5億ドル低くなる
    • 30億ドルのコスト削減を達成するという目標を再確認
    • 多くのワーナーメディアとディスカバリーの潜在的な相乗効果は、主にストリーミングビジネスのコスト回避と費用削減からもたらされる
    • 過去1年間でコンテンツに費やした230億ドルを検討し、コストを削減する方法を特定している
    • HBOは過去1年半で400億ドルの売上がありながら、実質的なフリーキャッシュフローがない($40bn in revenue and virtually no free cash flow)

ちなみにワーナーブラザース・ディスカバリーは決算発表前の4月21日に3月29日に始まったばかりのCNN+を4月末で終了することを発表している。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2022年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は31億5900万ドル、市場予想の31億4500万ドルを上回っている
  • 2022年第1四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)は0.69ドル、市場予想の0.47ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算発表を受けてワーナーブラザース・ディスカバリーの株価は

7.77%の下落。同日の米国市場が

いずれも2%を超える大幅下落だったが、ワーナーブラザース・ディスカバリーの下落幅はそれを加味してもかなり大きい。ただ、同様のストリーミングサービスを提供している企業の株価は

やはり市場と比べて下落幅が大きくなっている。先日のネットフリックス決算を受けてストリーミングサービスに対して市場の目は厳しくなっているのだろう。

ディスカバリー単体の決算では市場予想を上回る決算結果だったものの結局ワーナーブラザース・ディスカバリーの株価が大きく下落したのは、上述したアナリストとのカンファレンスコールで、ワーナーブラザース・ディスカバリー設立前のワーナーメディア事業に対する説明がネガティブであった事が原因だろう。ワーナーブラザース・ディスカバリーは設立に伴い数十億ドルの負債を抱えているので、新しい経営陣からすれば早期に負債を削減するのは当然だが、説明を聞く限りでは設立前の意思疎通が欠けており、見通しも甘かった印象が強い。これでは株価が下がるのも納得できる。

問題は今後だが、新会社が設立されてまだ一ヶ月も経過しておらず、今回の決算発表でもコスト削減以外の明確な数値目標は提示されていないのでどうなるかは不透明。ただ現在は先にも触れたストリーミングサービスに対する市場の成長への懐疑的な見方が強まっているのであまり期待はできないだろう。ちなみに決算翌日の株価も

更に5%下落している。

ワーナーブラザース・ディスカバリーについては、今回の決算で提供されると勘違いしていたワーナーメディアとディスカバリーの事業が統合された結果が出る次の決算までは確かなことは分かりにくいだろうが、何とか上手く統合の相乗効果が早く業績に出ることを期待したい。

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