はじめに
米国市場の上下動が激しいここ数日なのだが、昨日2021年10月1日(金)はインフラ投資法案を巡ってバイデン大統領が意欲的に調整に乗り出したというニュースや、メルク(MRK)が開発中の新型コロナウイルス感染症経口治療薬「モルヌピラビル」について、重症化の恐れがある患者の入院や死亡のリスクを約50%減らす効果があるとの中間臨床試験結果を公表したことなどもあり、3主要市場は
ダウ工業平均:前日比プラス1.43%
S&P 500:前日比プラス1.15%
NASDAQ:前日比プラス0.82%
と揃って上昇。ただし前日9月30日の米主要3市場は
ダウ工業平均:前日比マイナス1.59%
S&P 500:前日比マイナス1.19%
NASDAQ:前日比マイナス0.44%
と揃って下落しており、9月30日と10月1日の動きはほぼ相殺されている感じとなっている。
こういった市場の上下動の大きさに紛れてしまいがちな個別株の動きなのだが、昨日2021年10月1日(金)は掲題の様に前日9月30日(木)の取引時間後に明らかになったエクソン・モービル(XOM)が米証券取引委員会(SEC)へ提出したForm 8-Kの中で2021年第3四半期の見通しについて言及しており、その結果
3.5%を超える上昇となっていた。以下その内容について確認しておくことにする。
エクソンの2021年9月30日開示Form 8-Kの内容
以下はエクソン・モービル企業サイトに開示されているForm 8-Kより引用・抜粋。
【2021年第3四半期へ影響を及ぼす市場要因見積もり(Estimated effects of market factors impacting 3Q21 results)】
目に付くのは石油/ガスの価格上昇により合計で7~15億ドルのプラス影響を見込んでいる点。市場要因を合算すると市場要因により3~21億ドル収益が上昇すると想定している。
【2021年第3四半期へ影響を及ぼす季節・計画要因見積もり(Estimated effects of seasonal and planned factors impacting 3Q21 results)】
季節・計画要因の合計で4~12億ドル収益が増加すると想定している。
全ての考慮事項を合算すると2021年第3四半期は第2四半期に比べて7~33億ドル収益が増加すると見込んでいることになる。
まとめ
年初来のエクソン・モービル株(10月1日の上昇は未反映)とニューヨーク原油先物価格(紫)、市場S&P 500(ピンク)の動きを確認してみると
となっており、エクソンの第3四半期(7~9月)の株価は9月半ばまでは下落気味で原油先物価格に比べて今一つのパフォーマンス。7~8月は米国でのCOVID-19変異株による感染者数の再増加、そして9月は市場全体が低調だったこともありそれに引っ張られたのだろう。
ただ9月下旬になってから市場は大きく上がることもあったが下げ気味なのに対し、原油先物価格、それにつられるようにエクソン株も大きく上昇している。
米国でのCOVID-19の新規感染者数も減少傾向に転じ、
ゴールドマンの年末原油価格予測と2021年9月27日のエクソン株
でも今後の原油需要も見込まれている。
エクソンの株価がそれ程思わしくなかった第3四半期も上記の様に実際は前四半期に比べて収益は増加となりそうで、1ヶ月半前にかなり懸念していた状況からは脱却できたのだろうか。
まだまだエクソン株の回復には懸念が残るのだが、来週10月4日のOPECプラス会合、そして10月28日に予定されている2021年第3四半期決算をうまく乗り切ってくれれば、現在取得価額比マイナス20%
となっているエクソン株への期待にもう少し自信が持てるかもしれない。